日経新聞 海外メディア『「トランプ王朝」に危うさ』=英FT USコメンテーター E・ルース氏=

2017年07月20日 08時32分28秒 | 海外メディア
日経新聞 2017年7月17日(月) P.6 オピニオン面
『英フィナンシャル・タイムズ』=7月13日付=

『「トランプ王朝」に危うさ』=USコメンテーター エドワード・ルース=

 昨年の米大統領選で、国民はブッシュ、クリントンという名門政治一族の候補はもう嫌だとノーを突きつけた。

だが代わりに選んだのは米史上、最も王朝と呼ぶのにふさわしい時代を築ける人物だ。

 トランプ政権は事実上、トランプ一族と、すぐに首を切れる数人の家臣からなる。

トランプ大統領がカタールを嫌うのは、同国の有力者がトランプ氏の娘婿クシュナー上級顧問に対し、5億ドル(約567億円)の融資を拒んだことが一因だとも取り沙汰される。

 先週、トランプ氏の長男、トランプ・ジュニア氏が大統領選中、ロシア政府からクリントン元国務長官に不利な情報の提供を受けようとした疑惑が明らかになった。

ジュニア氏が公表したメールを読めば、父親なら息子の孝行ぶりを感じ、ロシア関係者ならトランプ一族は取引する用意があると考えるだろう。

米国の検察官には、メールはトランプ陣営とロシアとの共謀を示す動かぬ証拠となる。

 仮に、ロシア政府に近い弁護士と会ったのが一族でない選対幹部だったら、トランプ氏は解任すればすむ。

しかしジュニア氏はそうはいかない。

ジュニア氏とともに会合に出たのが選対会長だったマナフォート氏とクシュナー氏だという事実も動かせない。

大統領選はファミリービジネスだった。

 トランプ政権にも同じことが言える。
王に話を聞いてもらうには、その子供と親しくしろーー。

中国やサウジアラビアなどがトランプ政権と外交交渉する際、実践していることだ。
ロシア疑惑を捜査するモラー特別検察官も、こうすれば疑惑の真相に迫れるはずだ。

 トランプ氏にとってはルイ14世と同様、「朕(ちん)は国家なり」なのだ。

疑惑の捜査が進むにつれ、トランプ一族の利害があらゆる決断に、一段と大きな影響を与えるようになるだろう。

 最大のゆがみが生じているのは米ロ関係だ。

7~8日の主要20カ国・地域首脳会議(G20サミット)の期間中、トランプ氏は2時間15分にわたりロシアのプーチン大統領と会談した。

同席者はティラーソン米国務長官だけだった。

両首脳はサイバー空間での互いの国への介入をやめることで合意したというが、これはあり得ない話だ。

トランプ氏がほどなくその合意をあきらめざるをえなかったのはさておき、問題は両首脳が今や道義的には同じレベルにいることだ。

 トランプ一族は米国の対外関係のあらゆる場面に顔を出す。
クシュナー氏は事実上、政権の主席外交官だ。

その妻イバンカさんは米国のソフトパワーの顔だ。

G20サミットでトランプ氏が中座すると、イバンカさんが中国の習近平国家主席とメイ英首相の間の大統領の席に着いた。

ロシア疑惑の捜査が進み、危機が深刻になれば一族は一層、守りに入るだろう。

 身内以外の者らも保身に走っている。
ジュニア氏の疑惑に関するリークはホワイトハウスが情報源だ。

バノン首席戦略官・上級顧問が関与した可能性もあるだろう。

一族ではないが最側近の同氏はクシュナー氏とは不仲であり、行政国家の転覆を狙っている。

 米政府を機能不全にしたいなら今がその時だ。

ロシアの大統領であれ、石油王国の首長であれ、政権内部のニヒリストであれ、トランプ氏はまたとない機会を与えてくれている。

同氏が大統領でいる限り、米国という行政国家は非常にもろく、危うい。


●関連日経記事:2017年2月7日グー・ブログ「息子たちに読んで欲しい日経記事」投稿記事参照
 日経新聞 人物紹介「トランプ氏側近・バノン氏に発言権」=政策を左右、省庁も無視=』(2月1日付)

◆父さんコメント:
 20日・今朝の米PBSニュースによると、「7~8日の主要20カ国・地域首脳会議の期間中にトランプ氏とプーチン大統領は2時間15分にわたり会談した」とは別に、「トランプ氏とプーチン氏、それにロシア側の通訳の3人だけで2度目の会談をしていた」と報じている。

 トランプ氏は政権発足以来、身内や政権内部からの秘密情報のリークに悩まされている。

トランプ氏が一人で、なおかつ米側の通訳も連れずに単独でプーチン大統領と会談したことは、異常事態ともいえる。

元首としての慣例にとらわれない個人プレーが目立つトランプ外交。
今後の展開に注目したい。

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