日経新聞 国際「シェール増産 変調の兆し」=FRBの緩和政策の変更で、資金調達に悪影響の見方=

2017年07月17日 11時00分15秒 | 国際
日経新聞 2017年7月15日(土) P.17 マーケット総合2面
連載コラム『ポジション』=シェール増産 変調の兆し=

『資金調達に影響の見方』=米の資産縮小=

 原油が年初来安値圏でもみ合っている。

在庫は徐々に減り下値を支えるが米シェールオイルの増産が上値を抑えている。

材料難のなか、米連邦準備理事会(FRB)の保有資産縮小が緩やかに原油に波及するシナリオが市場でささやかれ始めた。

高利回りの社債発行でシェール企業に流入していたマネーが細れば増産の勢いが止まるとの観測だ。

『減産なら原油上昇の公算』

 米指標のETI(ウエスト・テキサス・インターミディエート)先物は1バレル46ドル前後と年初比1割強安い。

米エネルギー情報局(EIA)が12日発表した統計では原油在庫が減った。

一方で石油輸出国機構(OPEC)は同日、加盟国の6月の生産量が1月の減産開始後で最高水準だったと発表。

強弱の要素が交錯し1バレル45ドルを挟んだレンジ相場が続く。

 市場関係者が目配りし始めたのがFRBによる金融政策の余波だ。

保有資産の縮小と金利上昇について、国際エネルギー機関(IEA)チーフエコノミストのラズロ・バロー氏は「確実にシェール産業の資金調達に影響を及ぼす」との分析を示した。

流動性低下の打撃は大きいとみている。

 低金利下で高い利回りを求める投資家はエネルギー企業の発行が多い米ハイイールド債(=ハイリスク・ハイリターンの債券)の購入を増やした。

中小の独立系シェール企業は低コストで調達した資金を元手に、石油掘削装置(リグ)を増やしている。

資金調達が滞れば(=金利上昇でハイイールド債が発行できなくなると)「現在の原油価格水準では経営難に陥りかねない」とニッセイ基礎研究所の佐久間誠研究員は指摘する。

 コスト増も波乱材料だ。

2014年からの相場急落後、操業縮小を迫られたシェール企業は採算性の高い油井(ゆせい)に集中するほかなかった。

増産局面では採掘の難易度が高い油井にも手を出さざるを得ない。
IEAは17年の米シェール企業のコストは16%増えると予想した。

 米商品先物取引委員会(CFTC)によると、WTIで原油生産者らを含む「商業部門」の3日時点の売り建玉は118万枚強と2月のピークに比べ6%減った。

生産者が将来の原油の販売価格を固定するため先物市場で出す売り注文が減っていることを意味する。


「(将来の原油生産量に対する=)売りヘッジの比率が落ちており、相場下落に対して昨年よりもろい」(日産証券の菊川弘之主席アナリスト)との声もある。

 EIAは今月の短期エネルギー見通しで、18年の米産油量を下方修正した。

米石油サービス大手ベーカー・ヒューズによると米リグ稼働数は6月末、小幅だが24週ぶりに減った。

実際に減速が確認されれば、原油価格は膠着状態をいったん破り上がる公算が大きい。
相場が上昇すればシェール企業が息を吹き返し、再び供給を伸ばすのは必至だ。

シェールの変調が裏付けられたとしても、また別のレンジ相場に陥るだけかもしれない。

(久門武史記者)


●関連日経記事:2017年7月17日グー・ブログ「息子たちに読んで欲しい日経記事」投稿記事参照
 日経新聞 経済「緩和マネー 縮小への難路」=世界経済にブレーキも=』(7月15日付)

●関連日経記事:2017年6月27日グー・ブログ「同上」投稿記事参照
 日経新聞 国際「米メキシコ湾原油生産最高」=シェール上回る伸び=』
(6月24日付)

●関連日経記事:2016年9月4日グー・ブログ「同上」投稿記事参照
 日経新聞 経済「米シェール、再び原油安招く」=生産性向上、高まる競争力=』(2016年9月6日付)

●関連日経記事:2017年7月10日グー・ブログ「同上」投稿記事参照
 日経新聞 経営『ソフトバンク、数千億円の「ドル建て」社債発行』=「10兆円投資ファンド」に充当=』(7月7日付)

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