日経新聞 経営『「堅実経営」の信認失墜』=米ウェルズ・ファーゴ不正問題=

2016年10月15日 08時02分16秒 | 経営
日経新聞 2016年10月14日(金) P.6 国際1面
『米ウェルズ・ファーゴ不正問題』=「堅実経営」の信認失墜=

『CEOが引責辞任』

 米大手銀行ウェルズ・ファーゴのジョン・スタンフ会長兼最高経営責任者(CEO)が12日、不正営業問題の代償は重く、問題発覚から、1カ月余りでトップの辞任劇に発展した。

「堅実経営で高収益」を売りにしていた同行の信認が失墜しただけでなく、経済の低成長が続くなかでの金融機関経営のあり方が問われている。


 後任のCEOには、スタンフ氏の後継者とされてきたティム・スローン社長兼最高執行責任者(COO)が昇格した。

取締役会の会長には筆頭取締役のスティーブン・サンガー氏が就き、経営と業務執行を分離した。

9月の議会証言では、会長とCEOの兼任が問題視されており、分離要求に応じた形だ。

 2011年ごろから従業員の間で顧客に無断で不正に預金やクレジットカードの口座を開く行為が横行し、15年までで計200万件超に及んだ。

今年9月、米当局との間で罰金の支払いで合意したことで問題が表面化し、議会を中心に批判が集中。

スタンフ氏は報酬返上などで事態の鎮静化を図ったが、経営責任を問う声はやまず、「退くことが会社にとって最善」との判断に至った。 

 同行は金融危機後の混乱のさなか、スタンフCEOの指揮で大手銀ワコビアの買収に成功。

JPモルガン・チェースなど米四大銀行の一角となった。

いわゆる「ウォール街」の投資銀行業務とは一線を引き、地域密着型のリテール(小口)営業に専念し、健全経営と高収益を両立させた「金融危機後の成功モデル」という評価を得てきた。

ところが、無理な「ノルマ」営業に裏打ちされてきた不正行為の実態が明らかになり、「模範銀行」のイメージが崩れ信認が一気に低下した。

株価も下落し、大株主である投資会社を率いる著名投資家のウォーレン・バフェット氏も、スタンフ氏に事態の深刻さを伝えたとされる。

 スローン新CEOは「信認の回復が喫緊(きっきん)かつ最も重要」と声明で述べた。
今後は信認を早期回復し、高収益を保つ道を探ることが急務だが、簡単ではない。

 不正行為の背景には、一人の顧客に複数のサービス・商品を提供するという「クロス営業」の無理な推進が指摘される。

低い賃金の従業員に厳しいノルマを課し、実績度合いに応じて報酬を得る手法だ。

 同行はすでにノルマの廃止などの再発防止策をまとめたが、クロス営業は同行の収益向上策の柱とされ、同業も参考にしてきた経緯がある。

ノルマなしで高収益を保てるのか。

 米調査会社トレフィスは「収益への悪影響が予想される」としつつも、強い営業力や顧客基盤などの「優位性は変わらない」と指摘する。

一方で「企業文化の抜本改革が必要」(有力エコノミスト)として、構造的な収益悪化を予想する向きもある。

 金融危機で高リスクの投資銀行業務が問題視され、米国内外では金融規制が強化されてきた。

投資銀行業務での収益向上は難しくなっている。

地味ながら堅実・高収益なウェルズのモデルが揺らぐなかで、金業界は「どう稼ぐか」という根本が問われている。

(ニューヨーク=大塚節雄記者)


●関連日経記事:2016年10月3日グー・ブログ「息子たちに読んでほしい日経記事」投稿記事参照
 日経新聞 海外メディア「ドイツ銀行経営陣に報酬返上圧力」=不正行為の穴埋め/信頼回復に不可欠=』(10月2日付)

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