日経新聞 インターネット「海底ケーブル網に見る情報の集積地」=米国は中国と太くつながり、アジアのハブはシンガポール=

2016年10月25日 01時38分49秒 | インターネット
日経新聞 2016年10月23日(日) P.3  総合・経済面
連載コラム『けいざい解読』

『アジア、デジタル革命の嵐』=データ制するのは誰=

 「鉄は国家なり」と、ドイツ帝国の宰相ビスマルクが唱えたのは19世紀半ばだった。

あらゆる工業を支える戦略的な素材が、鉄鋼だった。
経済の重心がもの作りからサービスに移った21世紀の今はどうだろう。

 「データを制する者が世界を制す」。
中国の電子商取引最大手アリババ集団の馬雲(ジャック・マー)会長の言葉だ。

経済的な価値を生み出す素材は、デジタル化した情報に変わりつつある。

 世界のどこにビッグデータが集積されているかは、情報の輸送路である海底ケーブル網を見れば想像がつく。

 中国と米国が太いパイプで直結している。
東南アジア諸国連合(ASEAN)のハブ、シンガポールが無数の幹線を放射している。

太平洋の西の中継拠点として、日本の地位は安泰とはいえない。

 米グーグルとフェイスブックは12日、ロサンゼルスと香港を結ぶケーブルを2018年に設けると発表した。

通信会社だけではなく、ネット上でサービスを提供する「プラットフォーマー」が専用回線を握る。

 ソーシャル・ネットワーク・サービス(SNS)や電子商取引の米企業がアジアへの回線やデータ基地に投資を急ぐのはなぜか。

産業素材のデータを生産する主役が、企業ではなく一人ひとりの消費者だからだ。

 中国とインドにそれぞれ14億人、ASEANの6億人。
人々が携帯端末でつながる。

検索履歴、決済記録、悩み事、独り言、写真、動画……。

個人が日々せっせと情報をネットに上げる。
アジアは世界最大のデータの生産地となる。


 膨大なデータを吸い上げるのは米企業の独壇場ではない。
イノベーションが起きる舞台はシリコンバレーなど米国の西海岸とは限らない。

 アリババのネット決済、支付宝(アリペイ)の利用者は約5億人。
決済額は米大手ペイパルの3倍に上る。

対話アプリの登録者数が11億人と世界最大の謄訊控股(テンセント)も微信支付(ウィーチャットペイ)で国外利用を急速に伸ばす。

 これまで中国政府はネット空間に万里の長城を築き、外国企業の参入を阻んできた。

その壁の内側では、広大なデータの海で新事業に挑む中国企業が、着実に実力とノウハウを培(つちか)っている。

 壁は一方通行だ。
中国企業が内から外に出るのは構わない。

ニューヨークで上場したアリババを筆頭に、中国で育った巨人たちがASEANで利用者を増やし、じわりと日本市場にも踏み出す。

 データを公正に扱う国際ルールはない。
その土台となる環太平洋経済連携協定(TPP)は、米国内の政治事情で座礁したまま。

日本の国会は、自動車や農産物を巡る古典的な国益論議に明け暮れ、21世紀の経済の姿に思いが至らない。

 足元のアジアで、デジタル産業革命の嵐が吹き荒れている。
この嵐は早晩、日本経済を襲う。

(シンガポール=編集委員 太田康彦)


●関連日経記事:2014年4月2日グー・ブログ「息子たちに読んでほしい日経記事」投稿記事参照
 日経新聞 インターネット「アマゾン、クラウドで世界席巻」=米国防総省、品質に『お墨付き』=』(2014年4月1日付)

●関連日経記事:2016年10月25日グー・ブログ「同上」投稿記事参照
 日経新聞 インターネット「ソラコム: IoT向け通信基盤を提供」=発掘! 「日本版ユニコーン」=』(10月24日付)

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