日経新聞 法務・犯罪「土地所有者 登記簿改革で把握急げ」=富士通総研経済研究所 榎並主席研究員=

2017年07月13日 04時22分01秒 | 法務・犯罪
日経新聞 2017年7月11日(火) P.27 経済教室面
連載コラム『私見卓見』

『土地所有者 登記簿改革で把握急げ』=富士通総研経済研究所主席研究員 榎並利博=

 近年、土地所有者が分からないことに伴う問題が相次いでいる。

誰が水源地を買い占めているのか分からない、所有者が不明なので震災の復興事業が進まないーーなどだ。

 水源地に関しては森林法の改正により新たな森林所有者に市町村への届け出を義務付けた。

復興事業では復興特区法の改正によって「緊急使用」で手続きが完了する前に事業開始を可能とした。

 問題が起きるたびに法改正でその場をしのいでいるが、根本的な解決は先送りにされたままだ。

すべての土地所有者を明らかにしない限り、問題は発生し続けるだろう。

 実際、地域の現場では様々な問題に直面している。

公共工事や地籍調査を進める際には地権者の了解が必要であり、所有者が分からないと事業が進められない。

これは民間の開発事業でも同じだ。

また、固定資産税が徴収できない、放置された土地が荒廃してしまう、といった事態も招いている。

近年は農業・林業の生産性向上のため、農地・林地の利用集積・集約化を進めているが、ここでも所有者が不明なので土地の有効利用が思うように進んでいない。


 所有者不明の原因は不動産登記簿にある。
相続手続きがされていない相続未登記の土地が数多くあるのだ。

理由として①登記手続きが煩雑(はんざつ)で費用がかかる ②管理不能となった土地の放棄ができない ③相続権者の間で調整ができないーーなどがあげられるが、問題の根っこには「登記簿に記載がなくとも、真の所有者の権利が保護される」という我が国独特の考え方がある。

 この考え方を覆(くつがえ)すことは難しいといわれているが、問題を放置することは、所有者(相続者)の調査という膨大な負担を後世につけ回すだけだ。

一般の市民も無関係ではない。

遺言の激増によって、戸籍だけでは相続による土地所有者を確定できなくなり、相続権のこじれで訴訟が増えているという。

 国は新たな制度などで土地利用を促す考えだが、今こそ問題を先送りせず、マイナンバーを活用して所有者を確実に特定すべきだ。

方法としては、短期的には登記簿に実質的な公信力を与え、登記を信じて取引した者を保護する制度を整備する。

同時に、長期的には憲法や民法(物権法)の議論を行い、登記簿の法的位置づけを根本から見直していく。

問題解決に向け、立法府が主導的な役割を果たしていくことが望まれる。


●関連日経記事
:2017年7月1日グー・ブログ「息子たちに読んで欲しい日経記事」投稿記事参照
 日経新聞 法務・犯罪「所有者不明 410万ヘクタール(九州の面積上回る)」=全国の土地推計=』(6月27日付)

●関連日経記事:2016年11月28日グー・ブログ「同上」投稿記事参照
 日経新聞 社会『所有者は誰? 増える「迷子の土地」』=農地集約・活用を阻害= 』(2016年11月27日付)

●関連日経記事
:2017年6月20日グー・ブログ「同上」投稿記事参照
 日経新聞 法務・犯罪「法定相続情報証明が始動」=一覧図で複数の手続き同時に=』(6月19日付)

●関連日経記事:2017年6月8日グー・ブログ「息子たちに読んで欲しい日経記事」投稿記事参照
 日経新聞 社会「登記、50年以上変更ない土地」=法務省が全国10地区で調査=』(6月7日付)

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