日経新聞 国際「欧州委、在英EU市民の保護要求」=「英EU離脱」:移民制限の英に厳しく=

2017年05月06日 09時42分23秒 | 国際
日経新聞 2017年5月4日(木) P.9 国際2面
特集連載『英EU離脱』=欧州委、在英EU市民の保護要求=

『移民制限の英に厳しく』=交渉指令案: 離脱後移住の家族も=

 欧州連合(EU)の欧州委員会は3日、英国との離脱交渉での欧州側の要求内容や優先課題の詳細を定めた「交渉指令」案を公表した。

英国で暮らすEU市民の権利保護を巡っては、現在認められている在住権などは本人だけでなく、離脱後に移住する家族なども範囲に含めるよう求める。

移民制限を進める英国への要求を一段と厳しくする内容だ。
本格交渉開始を前にEUと英国の心理的な溝も広がっている。


 交渉指令は5月22日開く、英国を除く加盟27カ国の外相らで構成するEU総務理事会での採択を目指す。 

EU側は実際の交渉は欧州委員会が担うが、交渉の範囲や権限は加盟国が縛る仕組み。
指令は加盟国が欧州委に認める交渉権限としての役割を担う。


 指令案では、当面のEU側の離脱交渉の最優先課題に、約320万人の在英のEU市民や約120万人のEU圏で暮らす英国民らの権利や地位の保護を掲げた。

 EU域内で相互に認めている在住権や移動の自由、社会福祉へアクセスできる権利などは、離脱後も英国はEU市民に対して生涯にわたり保護すべきだと要求。

本人だけでなく、離脱後に英国に呼び寄せた家族および、離脱後に結婚した配偶者や生まれた子供など「将来の家族」にも同様の権利を認めるべきだと指摘。

EU加盟国からの移民制限がEU離脱の大きな誘因だった英国にとって厳しい内容だ。

 英国に支払いを求める「清算金」を巡っては、離脱前に英国が約束した予算の分担金などに加え、英国内のEU機関の移転など離脱に伴う費用も請求する。

交渉ではまず清算対象となる費用の範囲など算出方法での合意を目指し、ユーロ建てで支払いを求める。

 具体的な請求金額は明示せず、今後の交渉で詰める。

ただEU側では欧州委が当初試算していた最大600億ユーロ(約7兆3400億円)から請求額が膨らみ、1千億ユーロになるとの見方も浮上してきた。

3日に記者会見した欧州委のバルニエ主席交渉官は「懲罰ではなくて勘定の清算だ」と訴えたが、支払いに反発する英国との交渉は難航が必至だ。

 指令案は、交渉権限を市民の権利保護や「清算金」など英国の離脱条件の交渉のみに限定。

そこで「十分な進展」が得られたと加盟国首脳らが判断した後、追加的な交渉指令を策定して、離脱後の英国との自由貿易協定(FTA)など将来協定の準備協議に入る。

バルニエ主席交渉官は3日、まずは11~12月までに離脱条件で十分な進展を得られるよう交渉を急ぐ姿勢を示した。

 ただ6月中旬にも始まる本格交渉スタートを前に、英国とEUの対立姿勢は深まっており、先行きは不透明感が強い。

 「ユンケル欧州委員長に対し、めちゃくちゃ難しい女性になる」。
メイ英首相は今月2日、欧州委との交渉に強硬姿勢で臨むと訴えた。

きっかけは4月26日に英首相官邸で開いたユンケル氏との夕食会だ。

 独紙フランクフルター・アルゲマイネが30日、EU筋の情報をもとに、会合の内幕を詳報。

メイ氏の甘い認識にあきれたユンケル氏が、交渉の成功を呼びかけたメイ氏に「離脱に成功などない」と不快感を表明。

帰り際には「官邸に来る前より10倍も懐疑的になった」とこぼした、と報じた。

▼英国のEU離脱を巡る欧州委の「交渉指令」案のポイント
【くらし:在英EU市民の権利・地位(在住権など)】

・現在認められている権利や地位を保護
・本人だけでなく、将来の家族や子どもも対象に

【お金:離脱巡る「清算金」の支払い】
・EU予算の分担金だけでなく、離脱に伴う費用も英国に請求
・支払金額は明示せず。 今後の交渉の焦点に

【ルール:英が目指すEUからの司法権独立】

・EU市民の権利などは離脱後も「EU法の番人」であるEU司法裁の管轄下に

【通商関係:離脱後のEUと英国の自由貿易協定(FTA)】
・通商など将来協定は今回の交渉指令の対象に含めず

(ブリュッセル=森本学記者)


●関連日経記事:2016年9月26日グー・ブログ「息子たちに読んでほしい日経記事」投稿記事参照
 日経新聞 海外メディア「英離脱、甘い考えは捨てよ」=英FTチーフ・コメンテーター ウルフ氏=』(2016年9月25日付)

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