日経新聞 海外メディア「中国ネット巨人にリスク」=強まる影響力、共産党が警戒=

2017年08月03日 05時37分09秒 | 海外メディア
日経新聞 2017年7月30日(日) P.6 総合4面
『NIKKEI ASEAN REVIEW』=Exclusive=

『中国ネット巨人にリスク』=強まる影響力、共産党が警戒=

 中国のベンチャーキャピタル(VC)、セコイア・キャピタル中国は数カ月前、自らが投資している中国で人気のニュースサイトや交流サイト(SNS)へのアクセス数が急減していることに気付いた。

ある関係者は「すべてのネットビジネスが影響を受けている」と指摘する。

 その影響の正体とは、中国ネット業界の巨大企業、謄訊控股(テンセント)の最新オンラインゲーム「王者栄耀」だ。

このゲームには6000万~1億人のユーザーが参加し、そのうち少なくとも半数は毎日プレーしているという空前の人気を博している。

 しかし、テンセントは成功の大きな代償を支払った。

人民日報など中国共産党に近いメディアから「社会的責任を忘れ、子供たちをゲーム中毒にしている」と批判されているのだ。

 批判記事の掲載をきっかけに今月4日、香港市場でテンセント株は4%下落した。

モバイルゲームは同社の収益の3割近くを占め、「王者栄耀」は今年の第1四半期だけで60億元(約990億円)を売り上げたと推計されているからだ。

 こうした党の機関紙などを使った批判は、テンセントや中国のネット通販最大手のアリババ集団に対する政府の反発の始まりだと、多くのアナリストみている。

 両社はある意味で政府を超えるほどの力を持つに至っている。

 中国の多くの市民は日々のニュースを、人民日報や国営中央テレビ(CCTV)ではなく、アリババが出資する中国版ツイッター「微博(ウェイボ)」を通じて目にしている。

テンセントの対話アプリ「微信(ウィーチャット)」は圧倒的な支持を得ている。
大衆の好みや文化を形作るソフトパワーの面で、共産党は両社に対抗するすべがない。

 テンセントへの警告は、今年秋に5年に1度の共産党大会を控えた政治的に微妙な時期に発せられた。

中国政府は党大会前の数カ月を平穏に乗り切ることを好む。

ところが今年は共産党幹部が汚職で摘発されたり、習近平国家主席の側近が海外から不正を告発されたりしている。

 批判を受けたテンセントは、ゲームのプレー時間を制限する仕組みを新たに導入した。

こうした迅速な対応は、中央政府の潜在的な脅威を同社が深刻に受け止めている表れといえる。

 大手ネット企業に対する政府の批判が、幅広い取り締まりや厳しい規制につながるかどうかは不明だ。

ただ、単にコンテンツに対する検閲や政治的な統制でなければ、ある意味で規則は良いことなのかもしれない。

例えば独占を禁じる規制は競争を促し、中国の「ひとり勝ちの文化」を切り崩すだろう。
アリババとテンセントへの権力の集中は健全とはいえない。

 アリババ創業者の馬雲氏はテンセント創業者の馬化騰氏それぞれの、中央政府との付き合い方は異なる。

アリババの馬氏は政治の世界でも存在感があり、政府高官が国際会議を主催するのを手助けし、中国の国際的な利益を代弁する。

テンセントの馬氏はもっと控えめで、脚光を浴びることを避けている。

 しかしどちらの付き合い方でも、政府の干渉は防げないだろう。
党大会が迫るにつれ、中央政府はさらに警戒を強めるとみられるからだ。

(Nikkei Asian Reviewコラムニスト ヘニー・センダー))

●関連日経記事:2017年8月1日グー・ブログ「息子たちに読んで欲しい日経記事」投稿記事参照
 日経新聞 海外メディア「ITの競争条件、公平に」=個人情報保護、国家間で格差=』(7月28日付)

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