日経新聞 国際「中央アジア、テロ対策脆弱」=ロシア対テロ特殊部隊元副司令官 ゴンチャロフ氏=

2017年04月29日 17時24分37秒 | 国際
日経新聞 2017年4月28日(金) P.11 国際2面
特集連載『緊迫する世界』=識者に聞く=

『中央アジア、テロ対策脆弱』=ロシア対テロ特殊部隊退役者協会長 セルゲイ・ゴンチャロフ氏=
「各国と連携 緊密に」


 --欧州やロシアでイスラム過激派のテロが相次いでいます。

 「ロシアを含めどの国の治安機関もテロとの戦いに成功しているとは言えない。
テロ組織は特定の国ではなく、文明社会全体への宣戦布告だ。

にもかかわらず政治的な理由で欧米がロシアなどとイスラム過激派対策で国際的な共闘体制を作れないのがテロがやまない背景にある」

 「過去のテロ組織は100人規模で、人質を取って政治的な要求を突きつけていた。
現在の組織は数人単位で、単一の指揮系統もなく、無差別な市民の殺害を目的とする。

潜入捜査もできず、治安機関はテロリストを十分に捕捉(ほそく)できていない」

 --トランプ米政権はシリアの過激派組織「イスラム国(IS)」の打倒を掲げています。

 「シリアや特定地域でテロリストを排除するだけではISを倒せない。
テロ対策は誤ったイデオロギーとの戦いでもある。

シリアでの戦闘で勝ってもテロはやまない」

 「2015年からのロシアの軍事介入で、(劣勢に立たされた)ISの戦闘員のうち旧ソ連・中央アジア諸国の出身者は本国に戻りつつある。

彼らの多くはロシアに労働移民として入り込みテロをたくらんでいる」

 --キルギス、ウズベキスタンなど中央アジア諸国がテロリストの温床との指摘があります。

 「中央アジアではカザフスタン以外は経済基盤が弱く、テロ対策にあたる特殊機関も脆弱(ぜいじゃく)だ。

ロシアは中央アジア各国とテロ対策で緊密な連携体制づくりを提案している。
両者の関係は良好で、今後は特殊機関同士の協力も進むだろう」

 「ロシアは中央アジアの100万人を超える労働移民を必要としている。
ただ、指紋登録などで彼らを厳しく管理する財政的な余力がない。

中央アジア出身者が起こしたサンクトペテルブルクのテロは問題の深刻さを浮き彫りにした」

 --なぜイスラム過激派の犯行が多いのでしょうか。

 「イスラム教は主に平和的な宗教だが、相当程度の人々が原理主義やISの過激な教義を信じている。

ロシアや中央アジアでも中東で原理主義の教育を受けたイスラム教聖職者が多数を占め、若者層に危険な考え方を植え付けている」

 --安倍首相の訪ロではテロ対策や北朝鮮問題が議題になりそうです。

 「ロシアは北朝鮮情勢を強く懸念している。
もし米朝紛争で核兵器が使われれば隣国として非常に大きな被害を受けるからだ。

日ロは領土問題を抱えるが、政治的な困難を越えてテロとの戦いなどで協力を深められる」

▼セルゲイ・ゴンチャロフ氏
 旧ソ連時代に発足した最精鋭の対テロ特殊部隊「アルファ」に15年間勤務。

副司令官などを歴任した知見を生かし、現在はテロ対策でプーチン政権に助言する。

(聞き手は
モスクワ=田中孝幸記者)

=随時掲載

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