日経新聞 教育「地域が育てる子どもたち」=吉村昭さん、池波正太郎さんの著書に読む=

2017年05月06日 04時59分18秒 | 教育
日経新聞 2017年5月5日(金) P.1
連載コラム『春秋』

 吉村昭さんが残したエッセー「東京の下町」は、一冊まるごと、昭和戦前期の子どもたちの生活誌である。

夏祭りの興奮、ベイゴマ遊び、町内にいくつもあった映画館の匂い……。

都心からそう離れていない日暮里町での暮らしだが、庶民の営みは穏(おだ)やかでつつましい。

▼いまではすっかり消えたのは、様々な物売りだろう。
明け方の豆腐、納豆から始まっておでん、シューマイ、あめ細工。

梅雨時には青梅の笊(ざる)を担(かつ)いで商(あきな)う男、夏は金魚、朝顔、虫売り、などと紹介しているときりがないが、家の中と表との垣根は低く、子どもたちはそういう人々との付き合いを通じて成長していった。

▼同時代に育った池波正太郎さんの随筆にも似たような話が出てくる。

池波少年の場合は「どんどん焼き」のおやじに気に入られ、店番をまかされたというから一人前だ。

街路は子どもたちの遊び場であり、世間のルールやわきまえを知る場所であったろう。
もちろんそれを、町の大人がゆったりと見守っていたに違いない。

▼吉村さんも池波さんも、ことさらにそんな時代を美化してはいない。
貧富の差は激しく、矛盾も多々あったはずだ。

それでも回想から伝わってくるのは、地域が備えていた巧(たく)まざる教育力と、おおらかさである。

子どもの声が騒音扱いされる現代の「こどもの日」。
大人たちが子どもと社会について自問する日でもあろう。


●関連日経記事:2017年4月25日グー・ブログ「息子たちに読んでほしい日経記事」投稿記事参照
 日経新聞 教育「自ら勉強する子供に」=中学受験 大人の役割=』(4月24日付)

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