日経新聞 法務・犯罪『無線LAN「ただ乗り」防げ』=旧式の暗号 数秒で解読=

2017年05月12日 07時38分05秒 | 法務・犯罪
日経新聞 2017年5月11日(木) P.43 社会面
『無線LAN「ただ乗り」防げ』=旧式の暗号 数秒で解読=

『東京地裁 無罪判決に波紋』=専門家「設定確認して」=

 個人の家の無線LANの暗号を解読して勝手に使う行為の違法性が争われた刑事裁判で、東京地裁が4月、一部無罪の判決を言い渡した。

自宅での無線LANの利用が広がるなか「ただ乗り」によるサイバー犯罪への悪用をどう防ぐか。

専門家は法整備の必要性を訴える一方、解読されやすい古い暗号化方式を使わないよう利用者に呼びかける。


 「今後もただ乗りが増えれば、サイバー犯罪の発見や容疑者の追跡が難しくなる」。
大阪府警幹部は懸念する。

他人の無線LANを使えば身元が特定されにくいほか、電波は壁を越えて近隣に届くことがあり、接続に必要な「暗号鍵」が分かれば第三者でも勝手に接続できる。

 情報処理推進機構(IPA)の野沢裕一研究員は「犯罪に悪用されると、ただ乗りされた側も警察の捜査対象になりうる」と強調する。

 東京地裁は4月27日の判決で、2014年に近くの男性宅の無線LANを勝手に使ってサイバー犯罪を繰り返した男(31)に対し、不正アクセス行為などを有罪とし懲役8年を言い渡した。

 暗号鍵を解読したことについて、東京地裁判決は電波法が禁じる「無線通信の秘密の無断使用」に当たらないと判断した。

弁護側は10日、判決を不服として控訴。
検察側は控訴しないとみられ、ただ乗りを無罪とした判断が確定する見通しだ。

 男が解読したのは「WEP」という古い暗号化方式。
10年以上前から危険性が指摘され、市販ソフトを使えば数秒で解読できる。

サイバー犯罪や不法な書き込みに用いる例も相次いでいる。

 須川賢洋・新潟大助教(情報法)は「現在の法律で暗号鍵の不正取得だけを取り締まるのは難しく、電波法や不正アクセス禁止法を改正する必要がある」と指摘する。

そのうえで「WEPを使うのは、半透明の箱でパスワードを保管しているようなものだ」と利用者に注意を促す。

 IPAが昨年12月にまとめた調査によると、自宅で無線LAN利用者のうち、WEPの使用は14%で、暗号化方式を使っていない人が24%。

 最近の無線LAN機器では安全性の高い「WPA2」などの暗号化方式が初期設定されているのが一般的だが、IPAは設定画面を改めて確認するよう呼びかけている。

▼無線LANただ乗り事件に対する東京地裁の判断

【被告の男】
 ⇓
 ⇓①暗号を解読し接続  =『無罪』
 ⇓
【近所の男性宅】無線LANルーター
 ⇓
 ⇓②ただ乗りを悪用し、第三者にサイバー攻撃 =『有罪』
 ⇓
【第三者の被害者】

▼無線LAN(構内情報通信網)
 無線通信を利用したローカル・エリア・ネットワーク(LAN)。

電波が届く範囲なら移動しながら端末をインターネットに接続できる。
代表的な規格がWi-Fi(ワイファイ)。

情報処理推進機構(IPA)によると、自宅のネット利用に無線LANを用いる割合は2014年に有線を上回り、16年は約6割だった。

 初期の暗号化方式「WEP」はセキュリティー上の欠点が見つかり、ただ乗りが問題化。

多くの機器は安全性を高めた「WPA」や「WPA2」をあらかじめ設定しているが、現在も一部の利用者がWEPで無線LANを使っている。


●関連日経記事:2015年10月16日グー・ブログ「息子たちに読んでほしい日経記事」投稿記事参照
 日経新聞 インターネット「完成品、求められる『対策』」=変わるサイバー攻撃 (下)=』(2015年10月15日付)

【追加報道】
『無線LAN「ただ乗り」』
『電波法違反の可能性』=総務省見解=


 他人の無線LANの暗号を解読して勝手に使う「ただ乗り」について、東京地裁が刑事裁判で無罪としてことを受け、総務省は12日、「暗号を割り出す過程で電波法に違反する可能性がある」との見解を示した。

 裁判では無線LAN接続に必要な「暗号鍵」の解読の違法性が争点となり、東京地裁は「無線通信の秘密の無断使用」には当たらないとした。

 ただ総務省は、暗号を割り出すために他人の無線LAN機器に繰り返し情報を送受信するなどの行為は、電波法違反に当たるとの考えを示した。

ジャンル:
ウェブログ
コメント   この記事についてブログを書く
この記事をはてなブックマークに追加
« 日経新聞 国際「イタリア問... | トップ | 日経新聞 人物紹介「祭祀 ... »

コメントを投稿


コメント利用規約に同意の上コメント投稿を行ってください。

数字4桁を入力し、投稿ボタンを押してください。

あわせて読む

トラックバック

この記事のトラックバック  Ping-URL
  • 送信元の記事内容が半角英数のみのトラックバックは受け取らないよう設定されております。
  • このブログへのリンクがない記事からのトラックバックは受け取らないよう設定されております。
  • ※ブログ管理者のみ、編集画面で設定の変更が可能です。