日経新聞 国際「息吹き返す米・豪の生産企業」=波乱の原料炭 (中)=

2016年10月17日 02時26分07秒 | 国際
日経新聞 2016年10月15日(土) P.18 マーケット商品面
特集連載『波乱の原料炭 (中)』

『採算改善、米・豪で増産機運』=息吹き返す生産企業=
「鉱山権益売却にも影響」


 原料炭の市場で「スイングプロデューサー(需給の調整役)」を担う米国で、変化の芽が見えてきた。

昨年までの石炭安で原料炭の生産量は2016年1~6月に前年比3割減にまで落ち込んだが、7月以降の急騰で生産再開機運が高まり、一部の鉱山で従業員を呼び戻す動きが起きている。

 米国の鉱山の平均生産コストは1トン当たり120ドルとされ、足元のスポット価格(約220ドル)で採算に合う。

9月には石炭生産大手のウォリアー・メット・コールが休止していた鉱山で操業を再開、生産量は昨年の水準まで戻る見通し。

 調査会社米ドイル・トレーディング・コンサルタンツ最高経営責任者、テッド・オブライエン氏によると、米国では短期間で700万トンを超える原料炭を増産できる。

欧州の製鉄所が秋波(しゅうは)を送っているほか、「調達先の多様化を進める日本の高炉も輸入拡大に動くだろう」(同氏)。

 石炭高で息を吹き返したのは、オーストラリアやカナダなどの鉱山も同じだ。

カナダではコヌマ・コール・リソーシズが14年から停止していた炭鉱で生産を始め、日本や韓国向けに原料炭を近く輸出する計画。

大手商社の石炭担当者は9月、ロシアに飛んだ。
極東の港湾整備を進めるロシアからの調達増を検討する。

 もっとも、本格的な増産には時間がかかるうえ、高品位炭は産地も限られる。

新日鉄住金の佐伯康光副社長は「供給の減少は構造的な部分があり、値上がりは一過性ではないと感じる」と警戒する。

中国での生産調整で失われた年5000万~1億トンを補うのは容易ではない。

 石炭高はM&A(合併・買収)の交渉にも影響を及ぼしている。

鉱山権益の売却価格の見直しが必至となり、売り手と買い手の妥協が難しくなっているためだ。

日本の高炉が注視している英資源大手アングロ・アメリカンの権益売却は期限を過ぎても、交渉が停滞している。

石炭高でアングロも一息つき、権益を急いで売却する必要性は薄れているもようだ。

 アングロが売りに出した高品位炭を産出する鉱山には、買い手候補として豪英資源大手BHPビりトンが取り沙汰されてきた。

BHPは原料炭をスポット市場で販売し、日本の高炉が調達の基本とする長期契約には応じない。

 国内高炉各社はBHPが一段とシェアを高めれば、長期契約交渉が成り立たなくなると懸念する。

「交渉が不調に終わり、アングロが権益を維持し続けてほしい」(調達担当者)。
価格上昇の長期化が供給体制の構造変換につながるのか。

鉄鋼メーカーは固唾(かたず)を飲んで見守っている。


●関連日経記事:2016年10月15日グー・ブログ「息子たちに読んでほしい日経記事」投稿記事参照
 日経新聞 国際『中国発「未曽有の大嵐」』=波乱の原料炭 (上)=』(10月14日付)

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