日経新聞 国際「サウジ、強権一段と」=著名投資家のビンタラール王子も拘束=

2017年11月15日 04時33分03秒 | 国際
日経新聞 2017年11月7日(火) P.3 総合2面
『サウジ、強権一段と』=著名投資家の王子も拘束=

『不満強まる恐れ』

サウジアラビア政府は数十人の王族や閣僚を反汚職の名目で拘束した。

サルマン国王の息子、ムハンマド皇太子への権力集中を一段と進め、皇太子の国王即位を阻みかねない前国王派を排除する狙いが透ける。

だが、サウジの伝統である合意形成を省いた急進的な強権手法には王族や有力財閥、宗教界の不満も強まる。

 解任・拘束が伝えられた人物には、アブドラ前国王の息子で、将来の国王候補とみられたこともあるムトイブ国家警備相の名がある。

国防相を兼務する皇太子は有力な政敵を排除し、国防、警察、警備の3つの実力組織を掌握した。

世界的に著名の投資家のアルワリード・ビンタラール王子、経済改革を推進する重要閣僚のファキーフ経済企画相も含まれる。

 サウジ改革は2つの面を持つ。
ひとつは石油に頼った経済を見直して「普通の国」に変える国家事業。

もうひとつは、皇太子の権力を強める手段としての面だ。

皇太子への異様な権限集中はふたつめの側面を際立たせ、権力闘争による混乱のリスクを高める。

 サウジが直面する現実は厳しい。
若者の失業率は4割に上る。

人口の半分は20歳以下。
今後10年あまりで450万人が労働市場に参加する。

これは現在のサウジ人の労働人口のおよそ2倍に匹敵する数だ。

 頼みとする石油価格は低迷したまま。

電気自動車の普及や、技術革新による産油国の生産増で、石油需要は長期的な改善が見込めない。

 イスラム教の重要な聖地を国内に抱え、産油国の盟主の役割を果たしてきたサウジ。

石油に頼らない経済を築くため、ムハンマド皇太子による構造改革を成功させて体制を安定させることは世界の利益だ。

だからこそ、日本も含めた主要国はサウジを支援している。

 だが、皇太子の強権的な手法は国際社会に衝撃を与え、サウジの信用を低下させかねない。

サウジが協力を必要とする外国投資家は、今回の件で政治リスクを再認識した。

改革の目玉である、国営石油会社サウジアラムコを内外で株式上場する計画にも影を落とす。

 行き過ぎた権力掌握や急進的な改革は、将来の反乱分子を育てかねない。
増税などで痛みを強いられる国民を敵に回す危険がある。

 最悪のシナリオは、改革に対抗する一環として、過激派組織「イスラム国(IS)」など過激派の主張が支持を広げるような事態。

サウジの混乱は中東だけでなく世界に波及する。

(ドバイ=岐部秀光記者)

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