日経新聞 国際「イラク、シリア: 戦後の利権目当てに各国の代理戦争激化」=中東、混迷の時代へ=

2017年08月05日 09時19分54秒 | 国際
日経新聞 2017年8月2日(水) P.19 マーケット総合2面
連載コラム『大機小機』

『混沌の時代』

 トランプ氏の米国大統領就任からわずか半年。

これほど世界の構図が変わるとは思わなかった。

 昨年末の本欄で、米国第一主義を掲げるトランプ氏の登場によってグローバル化を基軸とした戦後システムが大転換する可能性について触れた。

その後の変容振りは想定を大きく超えている。

 第1に、トランプ政権の議会対策の失敗や政権運営の混乱で国際政治における米国の存在感が急激に失われた。

第2に、北朝鮮が専門家の予想をはるかに超えるスピードで米大陸を射程に収める大陸間弾道ミサイル(ICBM)を完成させようとしている。

第3に、国内では歴代最高水準を維持していた安倍晋三政権の支持率が7月入って最低水準にまで急降下した。

 最近、「米国抜きの世界」といわれるようになったが、米国ばかりでなく、中東・アフリカからの難民急増問題に加え、英国の離脱問題で域内結束にきゅうきゅうとしている欧州連合(EU)も対外的な影響力を急速に低下させている。

少なくとも200年続く欧米支配の潮目が明確に変わったといっていい。

 欧米メディアで最近、イラクへのイランの浸透ぶりが報じられている。
イラクは国民の大部分がイスラム教シーア派。

ところが長期間独裁支配したフセイン元大統領とその一派、その後、主要都市モスルなどを拠点にした過激派組織「イスラム国(IS)」はスンニ派に属する。

 これらスンニ派勢力の後退の跡にシーア派のかってのペルシャ帝国、イランが浸透している。

マーケットはイラン製品であふれ、イラク政府高官(=スンニ派のフセイン政権崩壊後は、シーア派が多数を占める)の多くはイランを歓迎している、というのだ。

 イランばかりではない。

トルコ、ロシア、中国といった欧米支配以前の世界帝国がそれぞれに影響力を強めようとしているようにみえる。

そこに極東の小国(=北朝鮮)が突然、強力な軍事力をもって表舞台に登場した、ということになろう。

世界は「混沌(こんとん)の時代」に突入したといっていいだろう。

 日本はどう対応すべきか。

当面、米国、中国、ロシア、韓国と協力して北朝鮮を暴発させないことが対外政策の柱にならざるをえない。

安倍首相の積極的な外交姿勢に期待する。
内閣改造に当たりこの点を重視してほしい。

(一直)


●関連日経記事:2016年11月12日グー・ブログ「息子たちに読んで欲しい日経記事」t投稿記事参照
 日経新聞 政治「米外交、単独主義強まる」=「トランプショック」=米政治学者 イアン・ブレマー氏(2016年11月11日付)

◆父さんコメント:
 8月2日の「私の履歴書」=高村正彦氏=の中に「内政の失敗は内閣の交代で済むが、外交の失敗は国が亡びる」との言葉が紹介されていた。

 共産党独裁国家であり経済大国にのし上がった中国は強権国家を目指しているし、軍事独裁国家の北朝鮮、同じく軍事大国で領土拡張主義政策をとるロシアに囲まれている日本。

 軍事大国の米国も経済不振から対外コミットメントの見直しに入った。
早晩日米同盟も再定義が議論されることになろう。

トランプ政権が倒れても、その方向性は変わらないだろうがその経済規模は(縮小していくとしても)今後も維持していくのは間違いないだろう。

 日本はEUとの連携を深め、徐々に米国一辺倒の外交から方向を転換すべき時期に来ている。

 グルジアやウクライナにならないためには「とりあえず」「当面の方針として」などと短期の思考ではなく、「群雄割拠の混乱の時代を生き抜くための長期戦略」を政権が時間を掛けて立案し、それを数十年かけて実行していく長期の安全保障政策が必要になってきている。

そのための基盤が、長期安定政権であることの重要性を改めて指摘したい。

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