日経新聞 経営「企業統治でどう変わる ①②」=新たな2つのコード、個人にも利益=

2015年07月23日 05時28分43秒 | 経営
日経新聞 2015年7月20日(月) P.19 経済教室面
特集連載『ゼミナール』=山を動かす研究会=

『企業統治でどう変わる ①』=物言わぬ株主、改革必要=

 企業経営に関して「自己資本利益率(ROE)」という言葉が注目され、見ない日はないといっていいほどだ。

「山を動かす研究会」(発起人・幹事は、中神康議みさき投資社長)は2012年冬から、投資家、経済学者、運用・財務・ガバナンスの専門家らが集まって、低位に固まる日本企業のROEの「山」を動かそうと政策提言をしてきた私的勉強会である。

 この連載では「ROE経営」の意義を、日本の経済や企業社会の構造変化という大きな流れの中で捉え、関連する様々な論点を整理したい。

 日本企業のROEは、過去10年の平均でみると6%程度。
最も多くの企業が集まる最頻値で3%ほどだ。

10%を超えるのが世界標準であるなか、長期にわたり低迷している。
日本の企業統治の仕組みに構造的な問題があることを意味している。

 日本の上場企業では、1970年代までは銀行が資金を貸した先の経営を指導するかたちの企業統治が機能していた。

80年代以降は銀行の影響力が弱まったが、株主は「物言わぬ」まま四半世紀がたつ。

ようやく、株主による企業経営への規律づけの確立が日本の企業統治の課題だと意識されるようになってきた。

 企業統治改革といえば今までは、事業会社の内部組織の改革だった。
今後は、これまで手がついていなかった投資家側の改革が重要になる。

即ち資金の出し手である最終投資家(生命保険会社、年金基金など)や運用会社の行動を変える改革が必要である。

投資資金の流れ(インベストメントチェーン)に関わる全てのプレーヤーを動かす必要がある。


日経新聞 2015年7月21日(火) P.11 経済教室面
特集連載『ゼミナール』=山を動かす研究会=

『企業統治でどう変わる ②』=新たな指針、個人にも利益=

 安倍政権の成長戦略の一環として、企業と投資家の関係に関する2つの指針が相次いで策定された。

法的拘束力はないが企業や投資家が守るべきだとされている。

 まず2014年にできたのは、私たちの年金や保険料、投資した資金を運用する機関投資家が、投資先企業の価値を引き上げるために果たす役割を定めた「スチュワードシップ・コード」。

 続いて15年6月、東証が上場企業に企業統治指針(コーポレートガバナンス・コード)を適用した。

 2つの指針により、上場企業は企業価値向上の観点から、事業や組織の統治体制の改善に取り組む。

機関投資家は投資先企業との対話を通じて、価値向上を促す。

 機関投資家が企業と対話することで上場企業の価値が向上すれば、株主の利益につながる。

機関投資家が株主そのものであれば、直接投資する運用会社や、その資金を提供する年金基金などの収益に結びつく。

さらに年金基金などの受益者は私たち個人なので、国民全体の経済的な利益へと拡大する。

投資資金が循環しつつ価値を高めてゆくのが指針の狙いだ。
つきつめれば国富の増大につながることを目指す。

 15年6月の株主総会は、2つの指針ができて初めての開催となった。

企業価値を具体化する数値として、自己資本利益率(ROE)の目標設定や配当など株主還元を宣言する企業も増加した。

社外取締役の採用も増え、東証1部上場企業の65.5%で2人以上の社外取締役が選任された。

 指針に基づく行動が実効性を持つよう、企業と投資家の双方にさらなる取り組みが求められる。


●関連日経記事:2015年7月18日グー・ブログ「息子たちに読んで欲しい日経記事」投稿記事参照
 『日経新聞 経営「持ち合い株式売却へそろう足並み」=ほどける「株式持ち合い」 (上)=』(7月17日付)

●関連日経記事:2014年5月24日グー・ブログ「同上」投稿記事参照
 『日経新聞 経営「価値向上へ『働く株主』」=経営陣と対話、世界と競う=』(2014年5月23日付)

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