日経新聞 開発「物流危機、製・配・販の連携で防げ」=米アマゾン「顧客第一」経営のすごさ=

2017年02月10日 10時43分45秒 | 開発
日経新聞 2017年2月9日(木) P.29 経済教室面
連載コラム『私見卓見』

『物流危機、製・配・販の連携で防げ』=メディセオ特別顧問 山岸十郎=

 インターネット通販の個人宅配が拡大し、トラックドライバーなど物流を担う人材の不足が深刻になっている。

このままではサプライチェーンの仕組みが破綻(はたん)しかねない。

 私は日用品と医薬品の卸会社に属し、半世紀にわたって流通業界に身を置いてきた。

流通網には幅広い企業が関わっており、それぞれが自らの利益を優先していては物流の効率化はおぼつかない。

流通網全体で無駄のない「全体最適」を模索しなければならない時期に来ている。

 食品や日用品、医薬品など多くの商品はメーカー(製造)から卸会社(配送)を経て小売店(販売)に並ぶ。

この製・配・販の過程で流通在庫の滞留、多頻度発注による配送コスト増加などの非効率が生まれている。

人口減で市場全体の成長が見えない今、個社の努力によるコスト吸収は限界に近づいている。

 例えば医薬品卸は病院や薬局に薬を届けるのが仕事だ。
日本では在庫管理システムの導入が遅れ、1日に何度も届けることが多い。

一方、米国の大手薬局では週1~2回の配送でも欠品が起きない仕組みができあがっている。

IT(情報技術)システムを積極活用して在庫情報や需要予測を製・配・販で共有すれば、サプライチェーン全体として大幅に無駄を省けるはずだ。

 また追加配送に対しては追加費用を徴収するといった、コストに見合った透明性の高い取引制度の確立を流通業界全体で議論する必要もある。

米国にはロビンソン・パットマン法という公正取引関連の法律がある。

もともと中小の小売業者がメーカーや卸会社から適正な取引条件で商品供給を受けられるようにするのが目的だったが、結果的に公平で合理的な流通基盤の構築につながった。

 さらに米アマゾン・ドット・コムの動きも注視すべきだ。

同社は毎年のように莫大なIT投資を実行し、人工知能(AI)を使った需要予測や物流ロボットの開発、自動決済の仕組みなど、猛烈なスピードで効率的な流通の仕組みをつくり上げている。

「顧客第一」を掲げるアマゾンの物流は無駄を徹底的に省く。
書籍でそうなったように、やがて食品や衣料などの流通を牛耳る可能性がある。

 うかうかしていると日本の流通業は「ゆでガエル」のように衰退していく。

共同配送の試みなども重要だが、もう少し俯瞰(ふかん)的な視点で全体最適を設計していく必要があるだろう。

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●関連日経記事:2016年12月30日グー・ブログ「息子たちに読んでほしい日経記事」投稿記事参照
 日経新聞 経営『中高年社員を変える「学びほぐし」』=日本みらいキャピタル社長 安嶋 明氏=』(2016年12月29日付)

●関連日経記事:2016年11月26日グー・ブログ「同上」投稿記事参照
 日経新聞 政治「ぬるま湯経済の危うさ」=安倍政権に解決する気はあるのか? 「社会保障の抜本改革」「政府債務の改革」「働き方改革」=』(2016年11月25日付)

●関連日経記事
:2016年9月4日グー・ブログ「同上」投稿記事参照
 日経新聞 海外メディア「アマゾンが握るクラウドの未来」=クラウド基盤の計算能力が圧倒的に高い=』(2016年8月30日付)

●関連日経記事
:2013年11月11日グー・ブログ「同上」投稿記事参照
 日経新聞 インターネット「グーグルの超高速ネット革命」=次の技術革新の基盤作りに=』(2013年11月10日付)

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