日経新聞 海外メディア「中国人の国民性」=供給過剰 続く連鎖=

2016年10月17日 16時13分06秒 | 海外メディア
日経新聞 2016年10月16日(日) P.13 日曜に考える面
連載『電子版& NIKKEI ASIAN REVIEW』

『中国』=供給過剰 続く連鎖=

 中国人の行動パターンとして最もわかりやすいのが、目先の利益にとらわれ、みなが一斉に同じ方向に向かうことだ。

知人がもうかったと聞けば、庶民は不動産や株式投資に熱を上げ、企業は製品や商業施設を需要度外視で作り出す。

もうからなくなれば別の標的を探すまでーー。
過剰生産にストップがかかったはずの鉄鋼業会で、この考え方が再び頭をもたげている。

 「数年越しの夢がようやくかなう時が来た」。
中国東北地方、遼寧省鞍山の国有鉄鋼大手、鞍山鋼鉄集団。

9月、旧式の設備が稼働する古ぼけた製鉄所内で、幹部がにやりと笑った。

 1948年設立の同社は、東北地方を代表する有力企業だ。
ただ、中国経済の減速で鉄鋼需要が縮小し、業績は低迷。

人員削減を余儀なくされている。
そんな鉄鋼企業が託す「夢」とは何か。

「それはステンレスだ」。
幹部は続けた。

 布石は打っている。
2014年秋に台湾企業からステンレス会社を買収。

買収先が作ったステンレス成型設備を鞍山の製鉄所に導入し、近く自力生産に踏み切るという。

別の関係者は「自前で生産できれば、買収先は用済み。 さっさと捨てるだけ」と打ち明ける。


 鉄鋼の過剰生産で世界を混乱に陥(おとしい)れる震源地、中国。
鉄鋼大手は国内で消化しきれない鉄鋼を安価で海外に流した。

発覚逃れのため、東南アジアなどを経由し第三国に輸出する手法も常態化。
世界各地で貿易摩擦を引き起こした。

 中国の李克強首相は今年3月の全国人民代表大会(全人代、国会に相当)で「過剰生産能力の解消」を目指すと宣言。

20年までに鉄鋼生産能力を1億~1.5億トン削減する目標を立て、過剰生産解消へ重い腰を上げたかに見える。

 ただ、肝心の鉄鋼企業は生き残りに向け、新たな「飯のタネ」を追求し始めた。
目をつけたのが、北京など大都市の住宅着工で需要が堅調なステンレスだ。

 すでに中国は世界最大のステンレス製造国だ。

中国鉄鋼企業協会によると15年のステンレス粗鋼生産量は2156万トンで、世界(4155万トン)に占めるシェアは5割を超える。

 中国の粗鋼生産量は14年まで2桁増を続けたが、15年は製品価格の下落などで前年割れとなった。

しかし、今年上半期は再び増加に転じた。
それどころか、能力増強にも動き出す。

別の調査会社によると、鞍山鋼鉄など国有大手に加え、民間の製鉄所やステンレス専業大手などが内モンゴル自治区や山東省、江西省などで増強を計画している。

 中国国内のステンレス生産能力は15年時点で3636万トンだが、17年末には4626万トンに達する見通し。

全世界の粗鋼生産量を上回る能力を持てば、過剰生産は避けられない。

 一過性のブームは日本でも起きる。

だが、人口で約11倍、国内総生産(GDP)で2倍、さらに変化の激しい中国で起きれば、破壊力は世界を混乱に陥れる。

誰かがもうかってから始めても、機は逸している。
何度も痛い目に遭っているはずなのに、繰り返される行動パターン。

供給過剰問題の終わりは見えない。

(大連=原島大介記者)

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