日経新聞 経済教室『貨幣には「元帳型」と「トークン型」』=仮想通貨とブロックチェーン ③=

2016年09月15日 21時21分34秒 | 経済教室
日経新聞 2016年9月14日(水) P.26 経済教室面
連載『やさしい経済学』=国立情報学研究所准教授 岡田 仁志=

『貨幣には「元帳型」と「トークン型」』

 分散型仮想通貨の代表であるビットコインは、発行主体を持たず中心がないことを特徴とします。

発行主体が存在しないお金というのは、歴史的にも恐らくまれなことでしょう。
仮想通貨は貨幣の歴史にどのように位置づけられるのでしょうか。

 英イングランド銀行の開催した勉強会で、貨幣史に仮想通貨を位置づけようとする意欲的な考察が報告されました。

貨幣の歴史を古代まで遡ってみると、貨幣というのは一冊の元帳に取引を記録するレッジャー(元帳)型と、コインのように手渡しで人から人へと移転するトークン型とに分類されます。

 古代メソポタミア文明の遺跡からは楔(くさび)型文字の刻まれた粘土板が発掘されています。

これには貸し借りの記録も刻まれており、レッジャー型の貨幣が存在したことを示唆します。

やがて小アジアのリディアで琥珀(こはく)金の貨幣が鋳造され、トークン型の貨幣が登場します。

ギリシャ・ローマ文明では、希少金属を鋳造した貨幣が流通しました。

 中世ヨーロッパでは鋳造貨幣も一部で流通しますが、経済の大半は元帳の記録や割り符で管理していました。

レッジャー型の貨幣へと逆戻りしたのです。

 絶対王政の時代を迎えるころには銀行制度が発達し、ヨーロッパ域内の取引は主に元帳で管理されますが、大航海時代の幕開けと同時に新世界では鋳造貨幣が流通します。

レッジャー型とトークン型が並存した時代と言えます。

 第2次世界大戦後の世界では銀行の機械化が進み、まもなく登場するコンピューターが世界中の取引を記録するようになります。

この時代には金属貨幣と紙幣も流通していますが、取引量の圧倒的な部分は銀行の元帳で管理されています。

イングランド銀行の考察によると、現代はレッジャー型の貨幣の時代に分類されます。

 ここで新たに登場したのが仮想通貨です。
果たして仮想通貨はレッジャー型あるいはトークン型のいずれに分類されるのでしょうか。

意外なことにイングランド銀行の答えは、仮想通貨はトークン型に分類するというものでした。


●関連日経記事:2016年9月15日グー・ブログ「息子たちに読んでほしい日経記事」投稿記事参照
 日経新聞 経済教室「汎用性と転々流通性を備える」=仮想通貨とブロックチェーン ②=』(9月13日付)

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