日経新聞 国際『中国発「未曽有の大嵐」』=波乱の原料炭 (上)=

2016年10月15日 09時56分41秒 | 国際
日経新聞 2016年10月14日(金) P.18 マーケット商品面
特集連載『波乱の原料炭 (上)』=中国発「未曽有(みぞう)の大嵐」=

『減産で価格急騰、供給不安…』=高炉、調達戦略の見直し急務=

 製鋼に使う原料炭の価格が急騰している。

高炉の2016年10~12月の調達価格は1トン200ドルと前期比2倍超に上昇した。
石炭安が長引くとの想定が崩れ、世界の鉄鋼業界では危機感が強まる。

随時契約(スポット)市場の拡大で価格が変動しやすくなり、高炉各社は対応を迫られている。


 10~12月期の高品位炭の値決めは、異例の長期交渉となった。

1トン210ドル超を求める資源メジャーと、150~180ドルを主張する高炉の溝は深く、期限の9月末を過ぎても交渉は膠着(こうちゃく)した。

 今月上旬にオーストラリアのシドニーとメルボルンで開かれた会議には高炉の石炭調達担当者や生産業者が出席、打開の糸口を探った。

英資源大手アングロ・アメリカンやグレンコア(スイス)など資源メジャーが強硬な姿勢を崩さない中、高炉の交渉役を担う新日鉄住金が接触したのは米石炭大手ピーボディ・エナジーだ。

 アングロなどと比べ規模の劣るピーボディが交渉で先行するのは異例だ。

同社は資源安で経営が悪化しており「資金確保のために妥結を急いだ可能性が高い」(大手生産企業)。

最終的にピーボディは200ドルで折り合い、他の資源メジャーも追随するもよう。

 交渉が難航した背景には、値決めの参考とする豪州産のスポット価格の急騰がある。
7月に90ドル台だった原料炭のスポット価格は、9月に200ドルを超えた。

中国政府が鉱山の操業日数を減らす方針を出し、供給不安が浮上したためだ。

米情報会社S&Pグローバル・プラッツのエドウィン・ヨー氏は「製鉄所やトレーダーは石炭の在庫を減らしていたため、パニック買いが広がった」と語る。

 今後は一段とコスト耐久力が問われそうだ。
日本の高炉は下期に原料コストが膨らみ、円高と合わせて収益押し下げ要因になる。

各社は国内で1万円超の値上げを急ぐ。

新日鉄住金の進藤孝生社長は「鋼材価格に転嫁していかないと事業活動が継続できない」と語る。

割高な豪州産石炭をスポット市場で調達するインドの製鉄所も、いち早く大幅な値上げを打ち出した。

 日本の高炉はインドや欧州勢よりも相対的に優位との指摘もある。
新日鉄住金などは新型コークス炉を投入し、割安な低品位炭の使用比率を高めてきた。

日本で低品位炭の使用比率は全体の3割とされ、海外の競合よりも大幅に高い。

 かく乱要因は中国のメーカーだ。
豪州産に比べて割安な中国の国内炭を使えるため、価格競争力が増す。

「中国メーカーが再び鋼材の安値輸出にカジを切る可能性もある」(プラッツのヨー氏)。

 高炉の調達担当者は今回の値上がりを「パーフェクトストーム(未曽有の大嵐)」と呼ぶ。

原料炭市場ではスポット取引の存在感が増し、長期契約価格への影響力を強めた。
投機的な売買もあり、価格は需給で説明できない水準に振れやすい。

固定価格による安定調達への回帰は難しく、高炉各社は新たな戦略の確立を求められている。


●関連日経記事
:2014年7月10日グー・ブログ「息子たちに読んでほしい日経記事」投稿記事参照
 日経新聞 国際「豪英BHP、鉄鉱石投資を抑制」=エネルギー・食糧に軸足=』(2014年7月8日付)

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