日経新聞 経営『「3年制限」の波紋』=「未完のハケン改革」 改正派遣法施行1年 (上)=

2016年10月20日 06時11分13秒 | 経営
日経新聞 2016年10月20日(水) P.5 経済面
特集連載『未完のハケン改革』=改正派遣法施行1年 (上)=

『「3年制限」の波紋』=進まぬ周知、迫る期限=

 派遣労働者の働き方に変革を迫る改正労働者派遣法が施行されて1年が過ぎた。

雇用の安定やキャリアアップといった政府が掲げる理念は実現に向かているのか。
「ハケン改革」は安倍政権の看板政策となった働き方改革の試金石にもなる。

「専門業種に余波」

 「直接雇用するのは難しいと思います」。

栃木県で研究職の派遣社員として働く加藤良一さん(仮名、47)は8月、派遣先企業から事実上の雇い止めを通告された。

同じ職場で約10年間働いたが、改正法の規定で研究職にも派遣期間3年の上限が設けられたためだ。

 派遣会社が無期雇用してくれれば、期間の制限なく働ける道が開ける。

しかし派遣会社が雇用維持の責任を負うようになるため「反応はいまいち」(加藤さん)という。

派遣上限を一律3年とした規定を巡っては、雇用の安定や派遣で働き続けたいという希望を阻害するといった反対意見が根強かった。

実際、1年前までは例外的に上限がなかった研究職や通訳など「専門26業種」は余波を受け始めている。

これから契約の満期を迎える人たちが一定数いるとみられ、派遣会社などでは思わぬ雇い止めが相次ぐ事態がささやかれる。

 一方、法改正と人手不足が重なったことが働く人の福音(ふくいん)になった面もある。

派遣会社SPI(福島市)では、3年を待たずに派遣先に直接雇用される社員が法改正前より約3割増えた

「他社に行かれてしまう前に優秀な人材を囲い込む」(佐藤龍史社長)狙いだ。

 厚生労働省は「3年制限」を導入すれば、定期的に自分のキャリアを見つめ直す機会になると期待をかけた。

都内のメーカーで働く吉野みどりさん(仮名、36)は「どのみち3年で今の仕事が続けられなくなるなら、成果を上げて直接雇用されたい」と意気込む。

社員研修にも積極的に参加するようになった。

 ただ吉野さんのような人ばかりではないのが現実のようだ。

派遣大手のテンプスタッフが最近実施したアンケートでは、施行から1年が過ぎた現在でも約5割の派遣社員が3年制限など改正法の詳しい中身を知らなかった。

理念通りにキャリアの再考をつなげるには「周知不足が最大の問題」(同社の正木慎二取締役)との声が少なくない。

「事業は許可制に」
 1999年の派遣対象業種の原則自由化と、2004年の製造業務への解禁で派遣会社の事業所数は激増。

10年前の約4万カ所から直近では8万カ所を超えるまでになった。

健全な事業者に混じり、派遣社員への給与未払や、契約外の仕事の発注などを繰り返す悪質業者も参入してきた。

 改正法では悪質業者を排除するため、事業を届け出制から許可制に切り替えた。
厚労省は改正法の施行以降、毎月のように事業廃止を命じるなどの処分をしている。

一度に100超の事業所が廃止されることもある。

 派遣労働者として働く人は120万人に上り、今後も増える見込みだ。

重要な役割を果たすことが期待されながらも、働く側も派遣会社側も意識の改革は道半ばだ。


●関連日経記事:2016年10月18日グー・ブログ「息子たちに読んでほしい日経記事」投稿記事参照
 日経新聞 経営「正社員 5年でなれる!?」=契約社員やパート 心の準備を=』(10月17日付)

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