日経新聞 法務・犯罪『「脱秘密主義」最後の攻防』=スイス金融 迫る情報交換開始=

2017年07月01日 08時46分08秒 | 法務・犯罪
日経新聞 2017年6月29日(木) P.7 金融経済面
連載『世界の現場から』

『「脱秘密主義」最後の攻防』=スイス金融 迫る情報交換開始=

 「相手国にルール違反があれば政府は即座に情報交換協定を停止すべきだ」。

今年2月、スイス銀行家協会がこんな声明を発表した。

ルールとは、課税逃れの防止と摘発を促すために経済協力開発機構(OECD)がまとめた口座情報交換制度のことだ。

 スイスの銀行は、300年以上にわたり厳格に顧客情報を守秘してきた。
だが、脱税ほう助との批判が高まり2013年に「脱秘密主義」へと方針を転換。

スイス政府は18年から先進国を中心に38カ国・地域と銀行口座などの情報交換を始め、19年には新興国や途上国へと対象を広げて41カ国・地域を加える。

 銀行家協会が求めたのは、交換した情報が相手国で漏洩したり、悪用されたりした場合の対処。

すぐに協定を凍結し、巨額の資産を持つ富豪の家族が身代金目的で拉致(らち)されるような事態に発展するリスクを回避せよ、という主張だ。

 スイス政府は今月、要望を受け入れ19年に情報交換を始める国について状況報告書を作成することを決めた。

相手国がデータ保護などで一定の基準を満たさなければ、情報交換に応じない姿勢だ。

 スイスの銀行界が脱秘密主義を決めてから4年近く過ぎたが、負の遺産は今も尾を引く。

3月末にはオランダ主導で英独仏などの当局が一斉に、過去の脱税者を洗い出すためにクレディ・スイスの各国の拠点を捜査した。

クレディ・スイスに罪の疑いがあるわけではないようだが、今後もこうした事態が続く可能性はある。

 4月にはスイスの「スパイ」がドイツで逮捕される事件もあった。

ドイツでは一部自治体の税務当局がスイスに口座を持つ自国民の情報入手に成功しており、スイス当局の関係者が極秘にその手法の解明に当たっていた。

スイス側も「違法に情報が持ち去られたのなら、対抗する必要がある」と正当性を主張し譲らない。

 パナマ文書の表面化などで世界が隠し資産に向ける目は一段と厳しくなっている。
スイス金融の秘密主義も過去を蒸し返せば、新たなあつれきを生む可能性がある。

(ジュネーブ=原克彦記者)


●関連日経記事:2013年9月6日グー・ブログ「息子たちに読んで欲しい日経記事」投稿記事参照
 日経新聞 国際「スイス銀、秘密主義転換」=銀行口座情報、他国と交換へ=』(2013年9月5日付)

●関連日経記事
:2016年4月30日グー・ブログ「同上」投稿記事参照
 日経新聞 法務・犯罪「秘密主義の芽 スイスで再び」=衝撃 パナマ文書=』(2016年4月29日付)

●関連日経記事:2013年8月29日グー・ブログ「同上」投稿記事参照
 日経新聞 国際「ロシア富裕層 資産移転」=海外の租税回避地へ=』(2013年8月28日付)

●関連日経記事:2017年7月1日グー・ブログ「同上」投稿記事参照
 日経新聞 書籍紹介「米工作員の裏切り 克明に」=『スパイの血脈』 ブライアン・デンソン著(6月24日付)

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