日経新聞 海外メディア『独占打破へ「取引所」方式を』=英FT R・ハーディング東京支局長=

2017年08月09日 07時20分07秒 | 海外メディア
日経新聞 2017年8月7日(月) P.7 オピニオン面
連載『英フィナンシャルタイムズ』=8月2日付=

『独占打破へ「取引所」方式を』=東京支局長 ロビン・ハーディング=

 米配車アプリ最大手のウーバーテクノロジーズは数々の失策を犯したにもかかわらず、存続している。

それどころか、この事業で圧倒的に優位な立場にある同社の市場独占が進んでいる。
それは運転手にも利用者にも望ましいことではない。

これに対し、素晴らしい解決策がある。
ウーバーを自由市場資本主義を象徴する証券取引所とみなすのだ。

 ウーバーのほか、米競売大手イーベイ、民泊仲介大手エアビーアンドビービーなどのオンラインプラットフォーム企業は、利用者が増えれば増えるほど利便性が高まる「ネットワーク効果」を享受している。

ウーバーはこのおかげで時価総額が推定700億ドル(約7兆7000億円)に達し、創業者のトラビス・カラニック氏が運転手を罵倒したことが公になっても、特に事業に支障は出ていない。

 独占企業は資本主義を破壊する。

しかし事業分割命令や価格統制、規制強化といった従来の独禁法当局による措置は、ネットワーク効果を持つ企業には効かない


 我々に必要なのはプラットフォーム企業の事業の本質を考え直すことだ。

ウーバーの場合、単なるスマートフォンのアプリや配車サービスの提供会社ではないし、ソフトウエア企業でもない。

同社は”買い手”と”売り手”を取り持つ典型的な仲介業者なのだ。

 公正で開かれた市場を運営する上で、参考になるモデルがある。
米国で1975年の証券市場改革で生まれた「全米市場システム(NMS)」だ。

株式市場間の競争を促すために構築された。

 NMSには特に重要な規制が2つある。

一つは取引所などが非会員に不当なアクセス制限を課すことを禁じたアクセス規制で、もう一つは、最良の希望価格を提示した市場に売買注文を送ることを義務付けたオーダー・プロテクション規制だ。

これにより、複数の市場の価格情報と約定情報が集約され、透明性や効率性が高まった。

 ほぼ同じ規制が配車サービスにも適用できるだろう。

アクセス規制の下、ウーバーと同業各社は配車を望む利用者と、乗客を探している運転手の情報を共有する。

オーダー・プロテクション規制により、ウーバーは低料金を提示した運転手の中で利用者の最も近くにいる運転手に配車させなければならなくなる。

運転手の登録先が自社か他社かは問わない。

 つまり、どの企業のアプリを使おうと、配車取引は成立しやすくなる。
ネットワーク効果は影響力を失い、独占状態は解消する。

 プラットフォーム企業を取引所のようにするには、決済システムなどのインフラ整備が必要だ。

とはいえ、何十もの取引所を通じ、数兆ドルに相当する何千もの株式を売買できるなら、配車サービスでも同様のことが可能なはずだ。

 この原則は、ネットワーク効果を持つソーシャルネットワーク企業など、ほかのプラットフォーム企業にも通用する。

 プラットフォーム企業は利用者にも事業者にも多大な恩恵をもたらした。
これを規制で縛るのは誤りだ。

取引所への移行は、賃金の停滞や資本主義制度に対する不満が高まっている今こそ求められるリベラルで自由市場主義的な解決策だ。

ここ数年、米シリコンバレー企業はあらゆるサービスにウーバーの事業概念を応用しようとしてきた。

今後は取引所の概念を応用すべきではないか。


●関連日経記事:2017年7月27日グー・ブログ「息子たちに読んで欲しい日経記事」投稿記事参照
 日経新聞 インターネット「IT業界 競争保てるか」=「監視強化、創造に余地」 米イェルプ L・ロウ副社長=』(7月25日付)

●関連日経記事:2017年7月21日グー・ブログ「同上」投稿記事参照
 日経新聞 インターネット「米新聞、ネット2強に異議」=2000社、広告「寡占」巡り集団交渉訴え=』(7月20日付)

●関連日経記事:2017年7月17日グー・ブログ「同上」投稿記事参照
 日経新聞 インターネット「少ない雇用、処方箋見えず」=ニュー・モノポリー 米ITビッグ5 (下)=』(7月15日付)

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