日経新聞 経営「スリーダイヤの本音」=GEなどとグローバル競争する三菱重工の決断=

2016年05月07日 08時36分35秒 | 経営
日経新聞 2016年5月3日(火) P.15 投資情報面
連載コラム『一目均衡』=編集委員 西條 都夫=

『スリーダイヤの本音』

 三菱自動車でまたも不祥事が勃発した。

軽自動車の燃費の数字を不正に操作し、カタログ燃費を実際の実力値よりも5~10%水増ししていたのだ。

かってのリコール隠しに続く同社の背信行為に対して、メディアや政財官界の声には厳しいものがある。

    ◆    ◆

 だが、ここでは一歩引いて考えたい。

今回の燃費不正が三菱自の致命傷となり、会社存亡の危機に直結するか否かを占う要素は2つある。

 1つは不正の波紋の地理的な広がりだ。
幸か不幸か三菱自の国内営業基盤はリコール隠しでやせ細り、今に至るも回復していない。

結果として同社の日本依存度は急低下し、小売販売台数でみると国内10万台に対して、東南アジアなど海外販売が90万台に及ぶ。

 不正の影響で海外の消費者まで三菱車を買い控えることになれば事態は深刻だが、騒ぎが国内のとどまれば影響はそれより小さい。

 もう1つは消費者への補償のあり方だ。

この点で車の安全を所管する国土交通省の姿勢は厳しく、石井啓一国交相は「それ(問題車両の買い取り)も含めて誠実に対応してほしい」と三菱自に注文した。

 一方で業界関係者によると「車の買い取りは、ガソリン代の差額補填(ほてん)などに比べてメーカーの負担がはるかに重い。 そんな前例ができては困るので、経済産業省は買い取りに反対している」という。

 ちなみにディーゼル不正の独フォルクスワーゲンは米国では不正車の買い取りに応じるものの、欧州では応じない。

三菱自がどちらの対応を迫られるかで、不正の後始末に必要なキャッシュの流出額が大きく違ってくる。

補償の形をめぐる行政や場合によっては司法の判断が会社の未来を大きく左右するだろう。

 では、仮に自力再建が難しくなった場合、三菱グループによる救済はあり得るのか。

前回2004年の経営危機では三菱重工業、三菱商事、東京三菱銀行(当時)のグループ中核3社が優先株の引き受けや経営人材の送り込みなど総力を挙げて支援し、三菱自は窮地を脱した。

 当時の意思決定主体は3社の会長、社長(頭取)の計6人だが、実はその中に1人だけ「支援に反対」といって言いすぎなら、消極的な意見の持ち主がいた。

三菱重工の佃和夫社長(現相談役)である。

 経済のグローバル化が進むなかで、名門の三菱重工といえども、米ゼネラル・エレクトリックやボーイングのような巨人相手に世界市場で戦わないと展望が開けない。

そんな状況下で「グループ企業を支援する余裕はない」という判断が消極姿勢の根底にあった。

その後の経営環境の変化や三菱重工の経営者の顔ぶれを見る限り、佃氏的な考え方が強まりこそすれ、弱まっているとは考えにくい。

    ◆    ◆

 日本最大の企業集団が何を考え、何を重視するのか。
三菱自の行方はスリーダイヤの本音をうかがい知る手掛かりになるだろう。


●関連日経記事:2016年5月4日グー・ブログ「息子たちに読んで欲しい日経記事」投稿記事参照
 『日経新聞 法務・犯罪「三菱自、軽販売45%減」=日産は51%マイナス=』(5月2日付)

●関連日経記事:2014年7月10日グー・ブログ「同上」投稿記事参照
 『日経新聞 経営「GE阻止 ミヤナガ動く」=アルストム争奪戦 ①=』(2014年7月8日付)

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日立金属、冶金研究所ついに境界潤滑の原理を解明 (島根安来っ子)
2016-11-12 20:48:35
 機械設計屋ならわかるとおもうが、軸受などの設計に際し、従来の面圧を踏襲して
40年もの年月が流れている、トライボロジー分野に画期的な理論「炭素結晶の 競合
モデル(CCSCモデル)」という画期的な理論を日立金属が発表した。鉄鋼材料 と
潤滑油の相互作用で出来た表面に付着しているナノレベルの炭素結晶の構造が
滑り具合を決定しているとのこと。つまりダイヤモンドが燃費を阻害している という原理である。
 この理論に基づいて開発されている自己潤滑性特殊鋼SLD-MAGICの売り上げが 一段と加速することが予想される。

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