日経新聞 国際「ドイツ銀、黒字300億円」=経営不安、ひとまず後退=

2016年10月29日 04時50分48秒 | 国際
日経新聞 2016年10月28日(金) P.7 国際2面
『ドイツ銀、黒字300億円』=7~9月最終=

『経営不安、ひとまず後退』

 ドイツの銀行最大手であるドイツ銀行は27日、2016年7~9月期の最終損益が2億7800万ユーロ(300億円強)の黒字になったと発表した。

過去の不正取引を清算するための費用が重荷となったものの、銀行業務のもうけで吸収した。

予想外の黒字決算で経営不安が深まるのはひとまず避けられたが先行きにはなお不透明感が残る。


 「四半期決算の結果は本業の強さを示している」。
27日朝、クライアン頭取が発した声明には安堵(あんど)の色がにじみ出た。

投資銀行分野を含めて本業の銀行業務は底堅く、第3四半期は何とか黒字で逃げ切った。

 市場関係者の多くは、過去の不正取引の清算に使う訴訟関連費用がかさんで赤字に転落すると予想していた。

ふたを開けてみれば予想外の結果となったことで同行の乱脈経営を連日のように批判してきた地元メディアは「つかの間の休息」(経済紙ハンデルスブラット)などと報じた。

 これを受けて27日朝の株式市場ではドイツ銀行株の買いが先行。
株価が急落するのは免れた。

 ただドイツ銀行の経営問題が解消されたわけではない。

米司法省は9月、同行が金融商品の不正販売にかかわったとして巨額の和解金支払いを求めた。

「早期に問題を解決できるように尽力している」(クライアン頭取)と言うが、出口は見えていない。

 同行はほかにも多くの訴訟を抱えているとされる。

和解金の支払いなどに充てる準備金を59億ユーロに積み増したが、「不十分」との声は残る。

 しかも欧州中央銀行(ECB)の金融緩和で欧州の銀行セクターは以前のような高収益を上げにくくなった。

同行は大胆なリストラに踏み切ったが、それだけで再生できるか分からないところに問題の根の深さがある。

 かってドイツ銀行は資本・人材の両面でドイツを代表する大企業と結びついていた。

バイエル、シーメンス、そしてダイムラーといった顧客から得た収益で潤ったからこそ「欧州最強の銀行」と呼ばれた。

 だが欧州統合が深まると、その閉鎖的な商慣行が問題になった。

そこでドイツ銀行は企業との資本・人的関係を解消し、急速なグローバル化で生き残りを図る道を選んだ経緯がある。

つまり国内ビジネスに回帰しても、かっての金城湯池(きんじょうとうち)を取り戻すのは難しい。

 幸いなことにドイツ銀行の不安は銀行セクターにとどまり、ドイツ国債や企業への不信にはつながっていない。

そこが銀行と政府、それに企業という3つの信用不安が共振したギリシャやスペインの危機と異なる。

 ドイツ銀行の台頭が著しかった20世紀初頭のドイツの経済学者ヒルファディングは著書「金融資本論」で、銀行による産業支配の危うさを説いた。

だが100年たって実際に起きたのは銀行と産業のきずなの弱体化。

それがドイツ銀行の収益力を弱める一方で不安の拡散を防ぐという背反する結果をもたらしたといえる。

▲信用不安が高まるたびにドイツ銀行の株価は下落した。
【2002年】
 同行首脳が顧客企業の経営が傾いているとメディアに暴露。
この企業が同行を提訴し、さまざまな訴訟合戦の発火点に

【12年】
 ドイツ銀などがロンドン銀行間取引金利(LIBOR)の不正操作にかかわっていたことが発覚

 独フランクフルト本店に脱税捜査。
経営陣が政治力を使ってもみ消そうとした疑いも浮上

【14年】
 米国でも脱税疑惑が浮上

【15年】
 大胆な合理化策や経営陣の刷新を打ち出す

【16年1月】
 2015年決算で大幅赤字を計上

【同2月】
 同行の高リスク社債に信用不安

【同6月】
 国際通貨基金(IMF)が経営リスクを指摘

【同9月】
 米国の司法省が不正取引の和解金として140億ドル(1兆4600億円)の支払いを要求

(ベルリン=赤川省吾記者)


●関連日経記事:2016年9月29日グー・ブログ「息子たちに読んでほしい日経記事」投稿記事参照
 日経新聞 国際「ドイツ銀行、不安再燃」=不正取引に関わり、米国が和解金140億ドル要求=』(9月28日付)

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