日経新聞 自己啓発「働き方:長時間労働なぜダメ?」=「謎×経済」 ナゾノミクス ④=

2017年05月06日 06時20分56秒 | 自己啓発
日経新聞 2017年5月5日(金) P.3 総合・経済面
特集連載『謎×経済』=ナゾノミクス ④=

『働き方:長時間労働なぜダメ?』=ダラダラよりメリハリ=

 香川県の不動産会社で戸建て住宅の営業を担当する田中純一さん(仮名、29)は忙しい。

物件の下見に資料作成などを終え、帰宅するのは夜10時ごろ。

顧客にとって「一生の買い物」の住宅を売ることにやりがいは感じるが、最近は少し疲れてきた。

 今、日本では多くの企業が働き方の見直しを進めている。

早朝勤務に残業もいとわず、会社のために働いてきたビジネスパーソンたちを変えなければ、国も企業も成長しないといわれているためだ。

しかし、頑張っても成長につながらないのはなぜなのか。

『職務範囲が曖昧』

 働き方でまず問題になるのが長時間労働だ。

経済協力開発機構(OECD)によると、日本人の1週間あたりの平均労働時間(短時間労働者を含む)は33時間29分と、フランス人の2倍。

先進国が集まるOECD加盟国で最も長い。

 そもそも日本人はいつから「働き過ぎ」なのか。
古くは江戸時代に、武士の家に住み込んで働いた奉公人の習慣が起源との説もあるようだ。

企業でも時間を忘れて「滅私奉公(めっしほうこう)」する部下を上司が褒(ほ)めることがある。

 これが効率の良い働き方かどうかは別問題だ。

同じOECDのデータで労働者が1人あたりどれだけの付加価値を生み出しているかを示す「労働生産性」をみると、日本は米国の6割にとどまる。

日本人は働く時間が短い海外の人に、成果で見ると負けている。

 効率が悪い原因の一つが、「日本は個人の仕事の範囲が曖昧(あいまい)」であることだ。

欧米の企業で働く人は、仕事の範囲を定めた「職務記述書」を入社時に示されることが多い。

しかし、日本では自分と同僚の仕事にはっきりとした境目がない。

このため、「自分だけ帰るのが忍びないという気持ちになりやすい」(作家・人事コンサルタントの城繁幸氏)。

『残業45時間まで』 
 長時間労働の弊害は多い。

早稲田大学の黒田祥子教授によると、「1週間あたりの労働時間が50時間を超える人は、所定内時間で働く人に比べてメンタルヘルスが悪化する傾向がある」。

疲れて働く意味を見失うと、仕事の効率は下がる。
健康を損なえば働けなくなる。

このため政府は働き方改革の第一歩として、残業の上限を月45時間にすることを決めた。

 従業員が気持ちよく働き、十分な成果を出せば、企業は業績が良くなる。

黒田氏は「働き方の見直しをすることで優秀な人材が集まる企業は、生産性が高まる可能性がある」とみる。

 今後は年老いた両親を介護する人も増えてくる。
長時間労働をしていては、家族に目配りできないことはいうまでもない。

従業員の頑張りを長時間労働ではなく、効率よく成果につなげる環境をつくることが、日本の経営者の課題であり、日本経済の課題となる。

(古賀雄大記者)


●関連日経記事:2017年4月4日グー・ブログ「息子たちに読んでほしい日経記事」投稿記事参照
 日経新聞 自己啓発「ママの残業回避策」=限られた時間で効率的に=』(4月3日付)

●関連日経記事
:2017年5月6日グー・ブログ「同上」投稿記事参照
 日経新聞 経済学「低金利: ローン安く、お得だけど」=「謎×経済」 ナゾノミクス③=』(5月4日付)

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