日経新聞 経済「資源回復に投機加熱の影」=異次元金融緩和でだぶついたマネーが・・・・=

2016年12月28日 11時02分12秒 | 経済
日経新聞 2016年12月27日(火) P.15 投資情報面
連載コラム『一目均衡』=編集委員 志田 富雄=

『資源回復に投機加熱の影』

 鉄鋼業界は今秋から原料高騰の話題で持ちきりだった。

それもそのはず。
石炭のスポット価格は一時1トン300ドルを超え、年初の3倍以上に高騰した。

 2011年の最高値さえ視野に入る原料炭の急騰は、中国政府が石炭生産の過剰解消を狙い、鉱山の操業日数を制限したことがきっかけだ。

 資源市況をどん底に突き落とした中国経済の危機も、政府の景気対策で後退した。

公共投資や住宅、自動車販売の拡大で鉄鋼需要が持ち直し、中国の粗鋼生産は3月から前年同月比で増加に転じている。

 原料炭ほどのV字回復ではないにせよ、原油相場も主要産油国の協調減産を材料に1バレル50ドルを超え、ニッケルなどの非鉄金属相場も水準を切り上げた。

    ◆    ◆

 商品市況は景気の変化を映す鏡といわれる。

海外市況や自動車生産の回復を通じ、日経商品指数の前年比の変化率で読む国内景気は2月を底に回復基調が鮮明になった。

その勢いは円高修正やアベノミクスへの期待感で加速した12~13年の局面に迫るほどだ。

 実需に手応えは感じる。

それでも企業は市況回復を額面通りには信じられず、先行きへの不安から設備投資をためらう。

 英豪資源大手リオ・ティントのジャンセバスチャン・ジャック最高経営責任者(CEO)は「資源市場は低成長の時代に入り、先行きには不確実性が増した」と指摘する。

 生産性の向上に経営の軸足を移した資源大手も、以前のように量の拡大には走らない。

 米原油先物市場では、ヘッジファンドなどの買い残高が今月初めて60万枚(1枚は千バレル)を超えた。

「アラブの春」をきっかけに中東・北アフリカの情勢が不安定になり、原油相場が高騰した11年の2倍。

史上最高値を記録した08年の3倍の規模だ。


 米国が昨年から2度目の政策金利引き上げに踏み切っても、商品市場には大量の余剰資金がなだれ込む。

鉄鋼原料や鉄鋼製品の価格急騰には売買が膨張した大連、上海の先物市場の影響も無視できない。


 設備過剰の中国では政府が供給した資金は(設備投資に回らず=)投機に向かいやすい。

市況は目に見えて回復しているが、企業にはその背後にある投機加熱や民間債務の増大など危うい構図も透けて見える。

 強気に傾いた市場はトランプ政権の誕生をインフラ投資の拡大期待から買い材料ととらえる。

しかし、投機マネーは市場が弱気に転じれば一斉に買いポジションを手じまい、年初のように積極的な売りを仕掛ける可能性が高い。


    ◆    ◆

 直近の米原油先物相場は決済が最も近い来年2月物が53ドルほど、原油需給の均衡が予想される来年後半の決済で56ドル前後だ。

金利や保管コストが加味されるはずの超長期25年12月物でも57ドル強にすぎない。

 原油先物の平らなイールドカーブは、足元の強気が相場を持ち上げても期先を買うほどの先高は描けない市場心理を映している。


ジャンル:
ウェブログ
コメント   この記事についてブログを書く
この記事をはてなブックマークに追加
« 日経新聞 開発「バンダイナ... | トップ | 日経新聞 開発「科学立国の... »

コメントを投稿


コメント利用規約に同意の上コメント投稿を行ってください。

数字4桁を入力し、投稿ボタンを押してください。

あわせて読む

トラックバック

この記事のトラックバック  Ping-URL
  • 送信元の記事内容が半角英数のみのトラックバックは受け取らないよう設定されております。
  • このブログへのリンクがない記事からのトラックバックは受け取らないよう設定されております。
  • ※ブログ管理者のみ、編集画面で設定の変更が可能です。