日経新聞 国際「危うい英国の企業統治改革」=メイ政権、左派よりの改革へカジ取りか?=

2016年10月20日 02時57分03秒 | 国際
日経新聞 2016年10月18日(火) P.15 投資情報面
連載コラム『一目均衡』=欧州総局 黄田 和宏=

『危うい英国の企業統治改革』

 英国が企業統治(コーポレートガバナンス)のあり方を抜本的に転換しようとしている。

従来の規律ある自由市場を重んじる立場を見直し、メイ政権は労働者の権利を尊重するなど左派よりの改革に意欲を示している。

経営者の高額報酬もやり玉にあがっており、政府の介入の拡大に産業界は神経をとがらせている。


 「大企業の無責任な行動には厳しい姿勢で臨む」。
7月、メイ首相は就任直前の演説で企業に優遇的な前政権からの転換を打ち出した。

腹案の一つが、企業の取締役会に従業員や消費者の代表者を送り込むというもの。
早速(さっそく)対応を迫られたのが、英スポーツ用品店大手のスポーツダイレクトだ。
 
    ◆    ◆

 同社は労働時間に関する取り決めがなく企業の要請に応じて働く「ゼロ時間契約」を活用し、実質的に最低賃金以下での労働を強いてきたことがかねて問題視されていた。

政府の圧力もあり、同社は9月上旬、雇用慣行を改めるとともに、従業員の代表が取締役会に参加することを決めた。

 ドイツなど欧州連合(EU)の半数近い国では、企業の規模に応じ従業員の代表が取締役会や監査役会の構成員となることが義務付けられている。

一方、英国では投資家が企業をけん制するのが従来のあり方だ。

 スポーツダイレクトの場合、英大手運用会社などで構成するインベスターフォーラムが1年以上にわたり、経営陣に改革を働きかけてきた。

そのため、従業員の取締役会への参加も強制ではなく、自主性に任せるべきだとの考えが多い。

 経営者の高額報酬問題もメイ政権の重点分野だ。
特に批判さらされているのが英石油大手BPのボブ・ダドリー最高経営責任者。

過去20年で最大の最終赤字となった2015年、同氏は2割増の1960万ドル(約20億円)の報酬を受け取った。

 今年4月の株主総会では報酬議案に約6割が反対票を投じた。
否決されても拘束力がないため、会社は株主の意見を尊重してこなかった。

メイ首相は総会での決議を強制できるようにすることを目指している。

 英運用会社ハーミーズ・インベストメント・マネジメントは最近、英国の主要企業の報酬委員会に対し、総額に上限を設けることを求める文書を送り始めた。

政府の考えに理解を示しつつも、企業の自発的取り組みを促している。

 政府の権限を強める動きに対し、米調査会社ユーラシア・グループのムシュタバ・ラーマン氏は「サッチャー政権以来、例のないやり方で経済に介入しようとしている」
と懸念を示す。

    ◆    ◆

 FTSE100種株価指数は先週、ポンド安を背景に取引時間中の過去最高値を更新した。

一方、世界の投資信託の資金流出入を集計する米EPFRグローバルによると、英国株の投資信託は先週半ばまで11週連続で資金流出超(=ポンド安につながる)となった。

メイ政権の企業統治改革が行き過ぎれば、海外勢の資金流出が加速し、EU離脱の悪影響を増幅するリスクがある。


●関連日経記事:2016年10月19日グー・ブログ「息子たちに読んでほしい日経記事」投稿記事参照
 日経新聞 国際「英が演じるスローな危機」=ポンド最安値が進む経済の底流=』(10月17日付)

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