日経新聞 人物紹介「日本電産・永守社長の本棚」(2011年10月30日付)

2015年03月29日 09時09分52秒 | 人物紹介
日経新聞 2011年10月30日(日) P.22 読書面
連載『リーダーの本棚』=日本電産(創業者)社長 永守重信氏=

『信ずるとおりになるのが人生』


 ーー京都本社の社長室。 
神棚の下に思想家・中村天風の本が3冊並ぶ。

『成功の実現』はその一冊。

 「経営者は孤独です。 

1988年に上場、しばらくして1ドルが80円を切り、50円までいくというエコノミストもいました。 

そんな、気持ちが下向きになる時、この本を開いてきました。 
心が落ち着き、勇気づけられます。 

何百回も読みました。 

 何か、とんでもないことを教えてくれるわけではありません。 
しかし、天風さんが、とても楽観的で、可能性を信じていることに共感を覚えます。 

言っていることも単純明快。

『どんな場合があっても消極的な言語表現をしないように気をつけなさいよ』『信念となると、それがいつかは具体化する』とかね。 

 それぞれ自分の言葉に言い換えます。 
『運命は自分の言葉と行動で決まる』。 

これ、私の人生訓ですな。 
もう一つは『信ずるとおりになるのが人生』」

 ーー世界を襲った2008年秋のリーマン・ショック。 
積み重ねた経営ノウハウだけでは乗り切れないと感じた。

 「会社がつぶれるかもしれないと思いました。 
行き先を言わず、1ヵ月ぐらい図書館通いをしました。 

乗り切るヒントは自分で探す外ありません。

 世界恐慌で1930年代に多くの会社がつぶれたのに、業績が急回復したところもあったのです。 

当時の海外の新聞、雑誌、関連する書籍を片っ端から当りました。
 
様々な資料の中にポロポロと出てくる米ゼネラル・エレクトリックなどの対応策がとても参考になりました。

 そして、売上げが半分になっても赤字にならない手法を編み出し、『賃下げをする。 しかし解雇はしない』と真っ先に発表、グループで危機感を共有し士気を高めました。 

おかげで業績は急回復しました。

 天風さんはギブアップしたらあかん、すべては気持ち次第だということを確認させてくれるわけです。 

この心の姿勢がすべてのベースとなります」

 ーー44年、京都府の農家に6人兄弟の末っ子として生まれた。 
父の口癖は「中学を出たら丁稚(でっち)にいけ」。

 「小・中学生のときは学校の図書館で歴史モノを借りて多読しました。 
『たくさん読んだね』。 

先生がハンコを押し、ほめてくれました。 
職業訓練大学校(現・職業能力開発総合大学校)では大学新聞の編集主幹。 

私の文章力、スピーチの表現力は若いころに感想文をいっぱい書いたのが生きているのでしょう。 

 事実ほど面白いものはありませんね。 
行動指針、実理論を求めているのでフィクションは嫌いです。

 28歳で経営者になったとき、松下幸之助さんの本も読みました。 
きれい事ばかりだと、『経営者はそんな簡単なものだけじゃない』と思いました。 

その点、日本経済新聞朝刊の『私の履歴書』で創業者が赤裸々に失敗談を語っているものはいいですね。 

例えば、オムロンの立石一真さんや京セラの稲盛和夫さん。

 うまくいっている人ほど多くの挫折を生きてきたわけです。 
若い経営者には私の失敗談も教えたい。 

大きなものはありませんが、小さいものはいくらでもあります。 
大きな石は運べないけれど、小さく砕いたら運べます。

 歴史、特に裏切りがつき物の、『戦い』の本も参考になります。 
織田信長はすごい人ですが、激情型で家臣に殺されました。 

社員は大事にしないと。
ゼロから成り上がった豊臣秀吉が人間的には好きです。 

しかし経営者としては組織を作り、質素倹約で組織を永続させた徳川家康に学ばなければいけません。 

中国の『三国志』もいいですね。 
あの(群雄割拠の)時代は濃いわけです」
                      
(聞き手は編集委員 三宅伸吾)


▲「日本電産」は永守重信氏が戦後京都で創業した新興企業。 
しかし超小型モーターに特化した経営で小型モーターの世界一の企業となる。 

買収した不振会社を従業員一人も解雇せず永守氏が一人乗り込んで、1~2年のうちに好業績会社によみがえらす経営手法には定評がある。 

京都の異色企業家として稲盛社長と双璧。 

京都で創業した好業績を維持する特異な企業には京セラ、ローム、村田製作所、オムロンなど日本電産以外にも多い。

▲永守社長の座右の書:
『成功の実現』(中村天風著、日本経営合理化協会出版局・1988年)中村の公演をまとめたもの。 

永守氏は二十数年前、知人の公認会計士からもらい「キリスト教徒にとっての聖書のように読んできた」。 

中村の『盛大な人生』『心に成功の炎を』も社長室に置いてある。


●中村天風(なかむら・てんぷう)
 1876~1968年。 

日露戦争開戦前に諜報部員として活躍。 

その後、肺結核にかかり、死を覚悟したインドで一種の悟りに達し、帰国後、生きがいのある人生を説く。 

経済人にも信奉者が多い。


◆その他の愛読書など:
①『三国志』 
吉川英治著『三国志』(講談社の吉川英治歴史時代文庫・89年)など翻案・翻訳多数。

②立石一真氏と稲盛和夫氏の『私の履歴書』の各書籍は『私の履歴書 経済人 15』(日本経済新聞社・2004年復刻版)と『稲盛和夫のガキの自叙伝』(日経ビジネス文庫・04年)。


●ことばのメモ:
 『丁稚(でっち)』
~職人、商人の家に年季奉公した少年。 手代の下。 小僧。

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京セラの稲盛和夫さん。 (shion)
2017-08-05 09:56:08
【500万ドル】僅か【5億円】基金で、
【ワシントンD.C.に本部】を置く
【民間のシンクタンク「アメリカの戦略国際問題研究所】へ、
【稲盛和夫】氏は2002年4月
【アブシャイア・イナモリ リーダーシップ・アカデミー】創設。

【CSIS】とは、
【スパイ組織・イエズス会神父エドマンド・アロイシャス・ウォルシュ】
が、
ジョージタウン大学に創設したものを改組して
学外組織として発展させたもの。

日本売買【5億円】は安価‼︎
ミサイル専門家稲盛氏は商売人だったでしょぅか?
単なる戦争屋でしょぅか?

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