日経新聞 国際「英が演じるスローな危機」=ポンド最安値が進む経済の底流=

2016年10月19日 06時59分26秒 | 国際
日経新聞 2016年10月17日(月) P.16 景気指標面
連載コラム『景気指標』=編集委員 菅野幹雄=

『英が演じるスローな危機』

 冷え込みが急に進む10月の欧州。

だが欧州連合(EU)からの離脱を決めた英国の経済は、冬めく気候とは裏腹の堅調さを保つ。

 9月に入り、消費者心理や小売業の景況感が改善に転じ、一部は6月の国民投票前に戻った。

ロンドンの繁華街のにぎわいは、EU離脱などどこ吹く風、という印象を残す。
テロの余波で観光客が減り、レストランやホテルが音を上げるパリと対照的な光景だ。

 英国のメイ首相は今月保守党大会で、EUの単一市場への残留よりも外国からの移民規制を重視する姿勢をほのめかした。

英国が単一市場や関税同盟からも離れる強硬なEU離脱に進むとの見方が広がり、英ポンド相場は一時、国民投票直後の水準を下回った。

 ポンド安は外国人観光客に歓迎され、英国の輸出産業にとって追い風になる。
大混乱を予感させた英経済が意外な粘り腰を見せていると理解しがちだ。

離脱決定後も目先は堅調な経済が、メイ首相の強気な姿勢の背景にあろう。

 だが、輸出入とも5割前後を占めるEUの単一市場から実際に退出することが決まったときの英経済への波及は計り知れない。

英国が選ぼうとする「独り相撲」の影響は、直ちには目に見えた形で表れない。
そこに問題がある。

 英EU離脱の悪影響は「スローモーションだ」と、英王立国際問題研究所(チャタムハウス)のパオラ・スバッチ国際経済調査部長は表現する。

ポンド安をもたらしている真の要因は「不確実性を嫌った外国資本の流出が原因だ」と同氏はいう。

 英国商工会議所が約7000の企業に実施した7~9月の景況感調査では、特にサービス業の弱気な心理が表れ、投資や人の採用にも影響を及ぼしているという。

 外部からの資金流入に頼る英国で英国債の金利が上昇(価格が低下)している。

開放型の経済を自ら閉ざそうとする英国の路線転換は、緩慢だが重苦しい低迷を長い期間にわたって招きかねない。

世界の随所に目立つ反グローバル化の動きへの警鐘として、英経済の今後に注視すべきだ。


●関連日経記事:2016年10月6日グー・ブログ「息子たちに読んでほしい」投稿記事参照
 日経新聞 国際「英ポンド急落、31年ぶり安値」=EU単一市場離脱を警戒=』(10月5日付)

●関連日経記事
:2016年10月20日グー・ブログ「同上」投稿記事参照
 日経新聞 国際「危うい英国の企業統治改革」=メイ政権、左派よりの改革へカジ取りか?=』(10月18日付)

●関連日経記事:2016年10月20日グー・ブログ「同上」投稿記事参照
 日経新聞 国際「英ポンド安、物価に波及」=実効為替レート最低/インフレ率1%=』(10月19日付)

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