日経新聞 保険・年金・税金「市場激変にらみ先手」=損保ジャパン、電光石火の米大手買収=

2016年10月14日 05時03分44秒 | 保険・年金・税金
日経新聞 2016年10月13日(木) P.2 総合1面
連載コラム『真相深層』

『損保ジャパン、電光石火の米大手買収』=市場激変にらみ先手=
『「15歳の巨人」開拓のテコに』


 SOMPOホールディングス(HD)傘下の損保ジャパン日本興亜が5日、米国で事業展開する企業保険大手エンデュランス・スペシャルティ・ホールディングスの買収を発表した。

63億ドル(約6375億円)という買収額は国内金融機関で歴代3位。

わずか半月の交渉で合意に至ったビッグディールは、激動期に入った保険業界のスピード感を象徴する。

「成立まで半月」
 「会社を売るつもりはなかった。 でも、コーヒーを飲んで話しているうちに気づいたんだ。 これはチャンスだって」。

エンデュランスのジョン・シャーマン最高経営責任者(CEO)の話し相手は、SOMPOでM&A(合併・買収)を担当するナイジェル・フラッド氏。

ディールが成立する半月前、9月中旬の出来事だった。

 2001年組ーー。

エンデュランスのほか、アライド・ワールドやアクシスキャピタルなど同年設立の保険大手をまとめて海外でこう呼ばれる。

その成り立ちは劇的だ。

きっかけは9月11日の米同時テロ。
企業財産や航空機などあらゆる分野でテロという未知のリスクが生まれた。

だがこれは同時に損害保険にとって巨大な市場が生まれた瞬間でもあった。


 世界が茫然自失(ぼうぜんじしつ)としていた01年末までのわずか3カ月間。
北大西洋に浮かぶ英領バミューダでは「ゴールドラッシュ」が起きていた。

投資ファンドなどから合計で1兆円を超える資本が注ぎ込まれ、他の保険会社から保険契約のリスクを引き受ける「再保険」を目的に、相次いで保険会社が設立された。

 そのさなかにアクシスキャピタルを創設したのが、すでに「ロンドン保険市場の王」と呼ばれていたシャーマン氏だ。

13年に01年設立のエンデュランスのCEOに就任。
15年には同じく01年組のモンペリエを買収して会社を急成長させた。

 「15歳の巨人」はいま、次のゴールドラッシュを見据える。

あらゆるモノがインターネットとつながるIoT、自動運転、人工知能(AI)
ーー。

産業構造は今後、劇的な変化が予想される。
そこで生まれる新たなリスクは、保険業界にとってフロンティアとなる。

たとえばサイバー攻撃で発生した情報漏洩などの被害を補償する保険はIoT時代には不可欠な金融商品だ。

12年に8.5億ドルだったサイバーリスク保険の収入保険料は14年に25億ドルに拡大。

プライスウォーターハウスクーパース(PwC)は25年には75億ドルまで拡大すると予想する。

 今回はジャパンマネーが成長の原資となる。

トムソン・ロイターによると15年の国内保険による海外買収は、170億ドルと過去5年平均の5倍に膨らんだ。

東京海上日動火災保険が買収したトキオマリン・キルン、三井住友海上火災保険傘下のMSアムリン、SOMPOキャノピアスーー。

英ロイズのフロアは日系傘下に入った名門企業の名前であふれている。

「即応力を磨く」

 国内損保が海外に踏み出した最大の問題はやはり人口減少だ。

損保会社の保険料収入は半分が自動車保険。
だが人口が減れば、自動車販売も先細りになる公算が大きい。

自動運転が普及すれば、ドライバーにかける保険の形も変わり、市場規模が急速に変化するとの見方もある。

 自然災害によるリスクも徐々に深刻になってきた。

ある損保大手で秘密裏に算出している台風など自然災害の発生に伴う損失の発生リスクは海面温度の上昇などで世界的に上昇する一方だという。

海外買収には自然災害リスクの地理的な分散を図る狙いもある。

 日本の損保市場は長らく鎖国状態にあった。
保険会社が企業に出資するケースが多く、外資系は企業向け取引に入りにくいためだ。

サイバーリスク保険など次代を先取りする新商品の開発力も欧米勢に比べ見劣りする。

 「グローバルな市場は変化が激しい。 顧客ニーズにいち早く対応できる体制が大事だ」。

10月5日、SOMPOの桜田謙悟社長と一緒に会見に臨んだシャーマン氏は「スピード」の大切さを強調した。

「15歳の巨人」が体現するダイナミズムを取り込めるかどうか。
国内保険に重要な転機が訪れた。

(高見浩輔記者)


●関連日経記事:2016年10月12日グー・ブログ「息子たちに読んでほしい日経記事」投稿記事参照
 日経新聞 経営「稼ぐための再編 なお遠く」=日本企業のM&A急増=』(10月8日付)

●関連日経記事:2013年8月13日グー・ブログ「同上」投稿記事参照
 日経新聞 国際「米企業 止まらぬ租税回避」=「利益最優先」経営色濃く=』(2013年8月10日付)

●関連日経記事:2016年2月9日グー・ブログ「同上」投稿記事参照
 日経新聞 保険・年金・税金「大災害債 マネー流入」=分散投資の受け皿、株と連動性低く=』(2月8日付)

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