日経新聞 国際「南欧国債 利回り低下」=スペイン:成長で資金回帰=ギリシャ:3年ぶりに発行=

2017年07月31日 03時55分10秒 | 国際
日経新聞 2017年7月27日(木) P.9 国際2面
『南欧国債 利回り低下』

『スペイン: 成長で資金回帰』=ギリシャ: 3年ぶりに発行=

 欧州の金融市場で、財政の脆弱(ぜいじゃく)な南欧諸国の国債に資金が回帰し、利回りが低下(=国債価格は上昇)している。

金融緩和の恩恵などによる景気回復でスペインは成長が加速。
ギリシャも財政再建策への信認を背景に3年ぶりに国債市場に復帰した。

欧州中央銀行(ECB)は近く、量的緩和策の縮小に向けた準備を始める見通しだが、慎重に出口政策を進めるとの見方から買い安心感が広がっている。

『景気回復で買い安心感』
 資金流入が顕著なのがスペインだ。

ユーロ圏の長期金利の指標となるドイツの10年物国債との利回り格差は、直近で1%を下回りECBが量的緩和策を導入した2015年3月以来の水準に縮小した。

 スペインは南欧の中でも景気回復が顕著で、国際通貨基金(IMF)は今月中旬、17年の国内総生産(GDP)成長率の予想を前年比3.1%増に引き上げた。

ユーロ圏平均の1.9%増を大きく上回り、足元ではドイツなどよりも加速している。

 銀行セクターの不良債権問題などを抱え、スペインに出遅れているイタリアでも投資家の不安心理は後退している。

ドイツとの利回り格差は足元で1.5%程度と、年初来で最低水準となった。

 スペインはカタルーニャ自治州の独立問題を抱え、イタリアも来年に総選挙が予定されているが、現時点では政治リスクへの警戒感は乏しい。

フランス大統領選など、欧州の最近の選挙ではポピュリズム(大衆迎合主義)政党の退潮が鮮明となり、リスクを避けてドイツ国債などに退避していた資金が徐々に南欧諸国へと動き始めている。

 ギリシャが5日、3年ぶりに国債発行に成功したことも投資家の安心感を誘っている。

ギリシャの10年債利回りは一時5.2%台と、09年12月以来の低い水準(=国債価格は上昇)を付けた。

投資家はなお長期の財政の持続性には懐疑的だが、欧州連合(EU)の金融支援の再開などで当面の資金繰り不安は後退している。

 こうした資金流入を後押ししているのがECBの姿勢だ。

ドラギ総裁は20日の理事会で、量的緩和策の段階的縮小(テーパリング)の検討時期について「秋に議論する」と言及するにとどめた。

金融市場では9月よりも10月の理事会で決めるとの見方が増えている。

 市場はテーパリングによる国債購入の減少(=市場への資金供給量の減少)が南欧諸国の金利上昇につながると身構えていたが、イタリア銀行大手ウニクレディットのエドアルド・カンパネッラ氏は「ECBのハト派的な態度が明らかとなり、周辺国国債の利回り低下が一段と進むだろう」と説明する。

 投資家が休暇入りする夏場は、国債の償還に比べて発行が少なく、償還資金を運用するために需給が良好なことも金利低下を促している。

 もっとも、実際にECBがテーパリングを始めれば、南欧諸国の国債に再び売り圧力が高まる可能性もある。

オランダの金融大手、ラボバンクのリチャード・マクガイア氏は「金利が上昇することで財政の持続性への懸念が高まる」とみている。

(ロンドン=黄田和宏記者)


『ギリシャ債務 自力返済難しく』=独総選挙後、再び軽減交渉=
 ギリシャは25日、財政構造改革の進展を受け3年ぶりの国債発行再開にこぎ着けた。

しかし、国内総生産(GDP)比約180%に達する3100億ユーロ(約40兆円)強の公的債務を抱え、国際通貨基金(IMF)は自力での返済は「持続不可能」と指摘する。

 来年8月には現行の第3次金融支援の期限切れが迫る。
今年9月のドイツ総選挙終了を待って債務負担の軽減策を巡る綱引きが熱を帯びそうだ。

 今回は5年債で30億ユーロを発行、利回りは4.625%だった。

2014年4月に出した5年債の利回り4.95%を下回る水準での発行に成功したが、ユーロ圏からの融資金利よりも高い。

国債市場への復帰はギリシャ政府の資金繰りにはプラスだが、過剰債務克服の処方箋にはならない。

 今回の発行では既発債の繰り上げ償還に応じ、新発債に乗り換えた投資家も多かった。

投資家の需要は盛り上がりに欠け、債務軽減策の具体化など、ギリシャ支援の先行きを見極めようとの空気が根強い。

 ギリシャ支援で最大の資金の出し手であるドイツは総選挙を控え、世論の反発を警戒する。

このため債務軽減策の具体化については18年夏以降に先送りしたい立場だ。
一方、IMFは同年夏までの具体化なしでは融資再開に応じないと圧力をかける。

支持率低下に悩むギリシャのチプラス政権も約束した緊縮策の不履行をちらつかせ、軽減策を引き出そうとしている。

関係国やIMFの思惑が交錯するなか、ギリシャの債務問題は依然として市場の混乱要因となるリスクをはらんでいる。

(イスタンブール=佐野彰洋記者)


●関連日経記事
:2017年7月26日グー・ブログ「息子たちに読んで欲しい日経記事」投稿記事参照
 日経新聞 経済「やまぬ音楽 踊るマネー」=金融の蛇口を締めるのは容易ではない!=』(7月24日付)

●関連日経記事
:2017年7月13日グー・ブログ「同上」投稿記事参照
 日経新聞 国際「不良債権130兆円処理急ぐ」=EU、行動計画を採択=』(7月12日付)

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