日経新聞 法務・犯罪「賠償金不払い 防げるか」=被害者支援へ法改正議論=

2017年05月06日 05時44分53秒 | 法務・犯罪
日経新聞 2017年5月5日(金) P.27 社会面
『賠償金不払い 防げるか』=犯罪加害者の口座 裁判所が特定=

『差し押さえを容易に』=被害者支援へ法改正議論=

 犯罪で被害を受けながら賠償金を受け取れないといった事態を防ぐため、法制審議会(法相の諮問〈しもん〉機関)で民事執行法の改正議論が進んでいる。

裁判所が直接、支払いを命じられた加害者の預金口座などを特定できるようにすることで、差し押さえを容易にするのが見直しの柱。

被害者や遺族らの関心が高まるなか、法務省は来年度以降の法改正を目指す。


 「被害者ばかりが負担を強(し)いられる。 あまりにも理不尽だ」。

横浜市の渡辺保さん(68)は2000年、長女(当時22)を元同級生の男に殺害された。

男は10年に無期懲役の判決が確定。

民事訴訟で約5500万円の賠償金が支払われることになったが、いまだに渡辺さんは一円も受け取っていない。

 現行制度では金銭の支払いを命じる判決が確定しても、被害者側が自力で加害者の預金口座などを見つけ出さない限り、資産の差し押さえを請求することはできない。

渡辺さんは「個人での特定は、ほぼ不可能。 相手が払ってくれるのを待つしかない」と半ば支払いを諦めていた。

 「犯罪被害者支援弁護士フォーラム」の15年の調査によると、05年以降に殺人や傷害致死事件で賠償命令が確定した13件のうち、11件で賠償が全く支払われておらず、遺族が受け取ったのは命令額全体の1%超にとどまった。

 昨年9月に法制審に諮問された民事執行法の改正案は、栽培所が被害者側の指定した金融機関に対し、加害者の預貯金口座の有無(うむ)を紹介したうえで、支店名や残高などの情報開示を要請できる仕組みの導入が柱。

特定された加害者の資産から、強制的に賠償金を回収できる効果が期待される。

 法改正を目指す動きに対しては、被害者らのサポートに携わる各地の団体も注目する。

NPO法人「大阪被害者支援アドボカシーセンター」(大阪市)の木村弘子事務局長は「犯罪被害者に対する国の経済的支援はいまだ不十分。 実現すれば一歩前進ではないか」と話す。 

 一方で「裁判所が賠償を命じても、支払いに応じないケースもある。 まず国が立て替え払いをするなど、踏み込んだ対策が必要だ」とも訴える。

 被害者支援を多く手掛ける高橋正人弁護士は「殺人などの事件を起こした受刑者は、そもそも支払い能力が低いケースが多い」と指摘。

「刑務所での刑務作業の報奨金を強制的に弁済に充てるといった工夫も必要だ」と強調している。


●関連日経記事
:2015年5月24日グー・ブログ「息子たちに読んでほしい日経記事」投稿記事参照
 日経新聞 法務・犯罪「『弁護士保険』普及の功罪」=交通事故4割減、損賠訴訟は5倍=』


『離婚後の養育費も対象』=悪質業者の取り立て懸念=
 法制審議会で進む民事執行法の改正議論。

裁判所が預金口座などを照会できる対象には、犯罪の加害者だけでなく、離婚後に養育費を支払っていない元配偶者なども含まれる。

 厚生労働省の2011年の調査では、母子家庭の母親の約4割が、元夫との間で養育費の支払いを取り決めたにもかかわらず、実際に受け取れているのは半数にとどまる。

不払いが、ひとり親世帯の貧困の一因になっているとの指摘もあり、照会制度の導入で、元配偶者の収入から定期的に養育費を徴収できるケースが増えるとみられる。


 ただ、照会制度は支払い義務を負う側のプライバシーを保護する観点や、悪質な貸金業者の取り立てなどに使われかねないといった懸念から、導入に慎重な意見も出ている。

金融機関側では照会の殺到による事務負担の増加も想定され、法制審が対策を検討する。

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