日経新聞 ことば「大陸間弾道ミサイル(ICBM)」=射程5500キロメートル以上=

2017年12月05日 06時03分53秒 | ことば
日経新聞 2017年11月30日(木) P.3 総合2面
連載『きょうのことば』

『大陸間弾道ミサイル(ICBM)』=射程5500キロメートル以上=

 射程が5500キロメートル以上ある長距離弾道ミサイルを指す。

東西冷戦下で生まれた概念で、米国北東部から北極海を超えて旧ソ連(現ロシア)に届くまでの距離が約5500キロメートルだったことにちなむ。

核弾頭を搭載すれば遠く離れた国への核攻撃も可能になる。
防衛省によると現在、米国やロシア、中国が保有している。

▽核大国をめざす北朝鮮はICBMの開発を進めてきた。

今年7月、ICBM「火星14」を発射角度を通常軌道より高くする「ロフテッド軌道」で発射。

日本海にある日本の排他的経済水域(EEZ)内に落下させた。

4月に平壌(ピョンヤン)で開いた軍事パレードには、新型ICBM用の可能性がある発射管付き車両が登場した。

▽日本政府は北朝鮮がICBMを完成させたかを慎重に分析している。
疑問視しているのがミサイルが宇宙空間を飛んだ後、大気圏に再突入する際の技術だ。

再突入時の高温に弾頭や本体が耐えられなければミサイルとしての機能を失う。

防衛省は北朝鮮が再突入技術を確立したかを「分析の焦点」(幹部)としており、29日のミサイルも「ICBM級」と呼ぶにとどめた。

▼米中ロが保有する核弾頭数と主な運搬手段

【核弾頭数】
 (米国)約4500:(ロシア)約4490::(中国)約260

【大陸間弾道ミサイル(ICBM)】
 450基: 324基:: 52基

【弾道ミサイル搭載の原子力潜水艦】
 14隻: 13隻:: 4隻

【爆撃機】
 78機: 76機:: 60機

(注)2017年版・防衛白書。 ICBMは発射装置数 


『米、高まる脅威に危機感』
『新型ICBM「深刻」』=対北朝鮮、事態打開進むか=

トランプ米政権は、北朝鮮に核・ミサイルを放棄させるため「最大限の圧力」をかける方針を崩していない。

北朝鮮が29日に発射した新型の大陸間弾道ミサイル(ICBM)は、実戦配備に時間はかかりそうだが、米全土を射程に入れる飛行距離性能を示した。

事態の打開は進むか。


 トランプ大統領は28日、ICBM発射について「事態を非常に深刻にとらえている」と語り、危機感を隠さなかった。

ティラーソン国務長官も制裁強化への同調を改めて各国に呼びかけた。

 今夏のICBM発射や核実験など北朝鮮による一連の挑発行為を受け、トランプ政権は経済制裁を格段に強めてきた。

9月には石油供給の制限などを盛った国連制裁を決議したが、核保有国へまい進する北朝鮮を方針転換させられないでいる。

 目先の焦点は、北朝鮮の息の根を止める原油の禁輸を中国に迫れるかだ。

包囲網のカギを握る中国は29日、外務省の耿爽報道局長が今回のミサイル発射に「重大な懸念と反対」を表明した。

従来より強い表現で反発したが、北朝鮮を追い込みすぎるとして石油禁輸に慎重な姿勢を崩さない。

ティラーソン氏は北朝鮮に物資を運搬する海上交通手段の禁止措置が必要だと訴えたが、石油禁輸のような決定打にはならない。

北朝鮮による挑発行為のたびに米国などの国際社会が制裁を強化するーー。

短期的にはこんな膠着状態が続いて、その間に北朝鮮は核・ミサイル技術を進めることになる。

「一転、対話も」
 「最大限の圧力」は時間との戦いだ。

北朝鮮が核弾頭の技術を確立し、米本土を攻撃できるICBMを実戦配備すれば危機のレベルは高まる。

米専門家の間では、北朝鮮を核保有国として容認せざるを得ないとの意見も出てきた。
北朝鮮が技術を完成させる前にトランプ政権が対話に応じる可能性もある。

米国は米本土に届かない核ミサイルを持つとされるパキスタンを事実上、黙認する。

 米国が北朝鮮を核保有国と認める見返りに、北朝鮮がICBMの開発を凍結する取引のシナリオは、日韓にとって最も避けたい展開だ。

中距離ミサイルは日本に照準を置いたままで、拉致問題の解決もさらに遠のきかねない。
日本や韓国の核武装論が再燃する可能性もある。

「軍事行動は最後」
 「いまのところ外交的な手段はまだ生きている」。

外交解決を訴えたティラーソン氏の声明には、こんなくだりがある。
裏返せば外交解決の手段が尽きるまで、軍事攻撃には踏み切らないことを意味する。


 米政権内では、韓国や日本に近い北朝鮮での軍事行動は数百万人規模の犠牲者が出るとの試算もあり、現実的ではないとの見方が支配的だ。

ただ、米本土に迫る脅威に米議会では強硬論もでてきた。

 与党・共和党のグラム上院議員は28日「核・ミサイル開発を止めるために戦争をしなければならないなら、我々はやる」と述べ、軍事行動もやむなしとした。

 トランプ政権は手の内を明かすことになるついて、どんな行為や挑発が「レッドライン(越えてはならない線)」にあたるのか明示していない。

米国が猛反発しているグアム沖へのミサイル発射や太平洋上での水爆実験は、事実上の宣戦布告になりかねない。

北朝鮮は米国の琴線に触れるような挑発を周到に避けているようでもある。

「ICBM管制か」
 長距離を飛ぶICBMは、小型の核弾頭の開発や大気圏への再突入時にかかる高温・高圧に弾頭部が耐えられる技術が不可欠だ。

29日に発射された新型のICBM「火星15」は高度4475キロメートルに達し、1万3千キロメートルの射程で米全土を狙える性能を持ったとされる。

ただ、ICBMの実戦配備に必要な技術は核保有国でも秘中の秘とされ、北朝鮮が現時点で確立した可能性は低い。

 ただ「このままいけば再突入の技術も確立されて1年半ほどで実戦配備の初期段階に入る」(軍事アナリストの小川和久氏)とみる向きは多い。

米国の情報機関も北朝鮮が来年中にICBMを完成させると予測する。
そうなれば、トランプ政権が対話ではなく軍事行動に出る可能性も捨てきれない。

米政権が検討している案には、米軍が金正恩(キム・ジョンウン)委員長を殺害する作戦も含まれているもようだ。

(ワシントン=永沢毅記者)


◆父さんコメント:
 米テレビニュース各社は「トランプ大統領、ティラーソン国務著官を解任か」と盛んに報じている。

 トランプ氏は政権の施策の失敗を部下の責任に転嫁する性癖がある。

もし、ティラーソン国務長官の解任が事実なら、それは対北朝鮮への外交交渉が行き詰まったことを表す。

 ティラーソン国務長官はかねてより「武力行使は最後の手段。 あくまで外交交渉によって北朝鮮から核・ミサイルを放棄させるのが第一義」と主張してきた。

そのティラーソン氏を解任するとなると、トランプ政権は「外交交渉は十分に努力したが、北朝鮮は拒否した」との言い訳を得ることになる。

 ロシアゲートの深刻な問題を抱えるトランプ氏。

国民の支持を得たいために「北朝鮮への武力行使」に踏み切る可能性も十分にある政治環境に変化しつつあることに注意したい。

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