日経新聞 経済『「止まらぬ相続・金融商品からの現金化」=「相続1000兆円時代へ」 (下)=

2017年08月12日 15時13分42秒 | 経済
日経新聞 2017年8月11日(金) P.7 金融経済面
特集連載『相続 1000兆円時代へ  (下)』

『「貯蓄から投資」に逆風』=止まらぬ資産の現金化=
「証券、金融商品離れに苦慮」


 1800兆円にのぼる個人金融資産のうち、約半分は預金が占める。
政府は長らく「貯蓄から投資」の旗を振り続けているが、思うようには進んでいない。

実は相続が多くなると、より貯蓄に傾く可能性がある。

 「(証券会社の)お客様は70歳以上が多い。 どうしても預金が増える」。
日本証券業協会の鈴木茂晴会長は7月の就任会見で危機感を示した。

 フィデリティ退職・投資教育研究所の2016年の調査では、相続した預金や預貯金で株式など金融商品に投資した人は7%。

一方、10%は金融商品を売却し、預貯金として銀行などに預けたという。

68%は相続した資産のまま残しているが放っておけばじりじりと個人の投資が減っていく。

 証券会社は対応を始めている。
「相続税の過度な軽減に傾倒すると、弊害もあります」。

8月初旬、野村證券が開いた相続セミナーに集まった約40人に語りかけたのは、グループの野村信託銀行の資産承継サービス部の水谷督部長だった。

 野村証券は15年4月に野村信託と代理店契約を結び、遺言信託など相続関連サービスの強化に乗り出した。

共同セミナーやサービス連携を深め、相続時の資産流出を食い止める狙いがある。

 東海東京フィナンシャル・ホールディングスも相続関連の助言をする東海東京ウェルス・コンサルティングを15年に設立した。

職員は当初の21人から38人に増やした。

7月には信託の代理店免許を取得、「オーダーメードの相続サービスを強化する」(東海東京ウェルスの武田正明社長)。

 大手はグループの力で備えるが、中小や地場の証券会社は厳しい。

金融庁が顧客本位の営業を求めた結果、高齢者の需要が強かった毎月分配型投信を通じた資産導入も細っており、証券会社は減っていく可能性もある。

 個人マネーが流れ込んでいるのがアパートだ。
日銀によると16年12月末のアパート向け融資の残高は22兆1668億円。

09年の統計開始以来、過去最高を更新した。
所有地にアパートを建てると土地の評価額が下がる。

融資は債務となるため財産額が圧縮され相続税の負担が減る利点がある。

 金融庁は相続時の”金融商品離れ”を防ぐため、17年度税制改正で、上場株式の相続税評価を90%に下げることを要望したが、政府・与党は見送った。

ある中堅証券会社社長は「『貯蓄から投資へ』というなら政府も対策を考えてほしい」とつぶやいた。

・・・・・・・・・・・・・・・
 奥田宏二記者、嶋田有記者が担当しました。


●関連日経記事
:2017年8月12日グー・ブログ「息子たちに読んで欲しい日経記事」
投稿記事参照
 日経新聞 経済『「争続」防ぐ信託に需要』=「相続 1000兆円時代へ」 (中)=』(8月10日付)

●関連日経記事:2017年2月12日グー・ブログ「同上」投稿記事参照
 日経新聞 経済「不動産融資 最高に」=節税アパート・REITで活況=』(2月10日付)

コメント
この記事をはてなブックマークに追加

日経新聞 経営「さらば石油依存 世界も揺れる」=EV大転換 (下)=

2017年08月12日 11時02分13秒 | 経営
日経新聞 2017年8月11日(金) P.1
特集連載『EV大転換 (下)』

『これが持続可能な未来だ』=さらば石油 世界も揺れる=

 7月上旬に横浜で開かれた太陽光発電の見本市。

目玉は米テスラだった。

「太陽光で作った電気を蓄電池でためて電気自動車(EV)で使う。 これが持続可能な未来だ」。

テスラのカート・ケルティ・シニアディレクターはこう語った。

『一気通貫めざす』
 テスラは2月に社名から「モーターズ」を外した。

16年に太陽光発電の米ベンチャーを買収。
EV用電池に加え据え置き型蓄電池にも事業を広げる。

創業者、イーロン・マスク氏の狙いは発電からEVまで一気通貫のエネルギーインフラをつくることにある。

なぜそこまでするのか。

 「発電時の二酸化炭素(CO₂)排出量まで考えれば、エンジン車はEVとの差がなくなる」。

ある国内自動車メーカー幹部はこう主張する。

背景にあるのは「ウェル・トゥー・ホイール」(油井から車輪)という考え方。
燃料を作る段階からトータルの環境負荷を見る発想だ。

 国立環境研究所の調査では、ガソリン車に対するEVのCO₂削減率はフランスで90%。

一方、中国では15%減にとどまる。

フランスは原子力発電の比率が高いのに対し、中国は7割以上をCO₂を多く排出する石炭火力発電に依存するためだ。

 いくらEVを増やしても、エネルギー源から変えなければ根本的な地球温暖化対策につながらない。

EVシフトの先には太陽光発電など再生可能エネルギーの拡大が待ち受ける。

 多くの企業がそのことに気がつき動き始めている。

 北欧では米IBMや独シーメンスなどが連携し、風力発電による電力をEVに供給するシステムの整備が進む。

日本でも一部自治体で同じような実証実験が進むが、「欧州ではすでに商用段階に入っている」(日本IBMの川合秀之スマートエネルギーソリューション部長)。

石油メジャーも「変身」に動く。

仏トタルは低炭素の液化天然ガス(LNG)などガスの生産量が発熱量ベースで原油を超えた。

仏電池メーカーを買収し再生エネ事業の拡大に走る。

 自動車に素材、そしてエネルギーまで産業構造を大きく変えようとしているEVへの大転換。

それは世界の秩序にも影響を与える。

『試される産油国』
 「40年には1日に800万バレルの石油の需要が減る」。

米調査会社ブルームバーグ・ニュー・エナジーファイナンスはEVシフトの影響をこう予測する。

800万バレルは石油輸出国機構(OPEC)の1日の生産量の4分の1に相当する。

 世界の石油消費量の65%は自動車など輸送用が占める。
発電用途は全体の4%程度。

自動車用の落ち込みを補うのは難しい。

 「各国が協調して需給調整するOPECの戦略が成り立たなくなるかもしれない」。
日本エネルギー経済研究所の田中浩一郎中東研究センター長は指摘する。

 需要減により協調が崩れれば、次世代産業にかじを切れるかどうかで産油国間の格差が広がる。

不安定な中東に新たな不協和音を生みかねない。
EVへの大転換は地政学に大きな影響を与える可能性もある。

・・・・・・・・・・・・・・・
 藤野逸郎記者、上阪欣史記者、榊原健記者、工藤正晃記者が担当しました。


●関連日経記事:2017年8月9日グー・ブログ「息子たちに読んで欲しい日経記事」投稿記事参照
 日経新聞 国際「EV革命と石油の終わり」=事業の寿命、自問続けよ=』(8月7日付)

コメント
この記事をはてなブックマークに追加

日経新聞 安心・安全「日本人旅行者 恐怖の一夜を語る」=中国・四川地震=

2017年08月12日 10時14分36秒 | 安心・安全
日経新聞 2017年8月11日(金) P.34 社会面
『悲鳴・余震 懸命の脱出』

『日本人旅行者 恐怖の一夜語る』=中国・四川地震=

中国四川(しせん)省アバ・チベット族チャン族自治州で8日夜に発生した地震。

震源地に近い世界遺産の景勝地、九寨溝を訪れ被災した浦野安邦さん(46)と長女の安里さん(20)親子が取材に応じた。

真っ暗な中で止まらない余震。
「誰か助けて」。

悲鳴におびえながら、安全な場所を求めてさまよった体験を明らかにした。

 「部屋がいきなり大きく揺れ、転がるように2つのベッドの間に逃げ込んだ」。

8日午後9時(日本時間同10時)過ぎ、ホテルの部屋で休んでいるときに地震が発生した。

「もう一度地震が起きたら、建物が倒れるかも」。
揺れが収まると、パスポートとスマートフォン(スマホ)を握りしめて一目散に外に出た。

 停電で真っ暗な中、ホテル近くの広場には約500人が集まったが、気温はセ氏10度。
布団を取りに戻り、夫に電話しようとしたがスマホは圏外の表示。

自家発電で営業を再開した商店で電話を借り無事を伝えた。

 「(支援物資がある=)避難所へ行こう」。
8日午後11時ごろ、そんな話が広まって避難所に向かった。

「布団をかぶった避難者が1万人も道路を埋め尽くして歩く風景は異様だった」と振り返った。

 ただ本当の恐怖はこれからだった。
列の前方でがけ崩れの音がして助けを求める悲鳴が上がった。

危険を感じて避難所に行くのを断念。

近くの駐車場で3時間ほど休み、ホテル近くにいた方が連絡が取りやすいと判断し、最初の広場に戻った。

9日午前5時半(=夜が明ける時間)に九寨溝から出て近隣の大都市、綿陽市平武県に向かうミニバス(=有料だと思う)に何とか乗り込むことができた。

 バスは落石をよけながら山道をゆっくりと進み、平武県のバスターミナルに着いたのは午後1時。

(有料の=)大型バスに乗り換えて、午後9時に成都のホテルに着いた。
ほっとしたが、「今でも地震が続いているようで落ち着かない」とも漏らす。

(成都=多部田俊輔記者)

『死者は20人に』
 中国四川省アバ・チベット族チャン族自治州九寨溝県で8日起きた地震で、地元政府は10日、死者が20人、負傷者が431人に上ったと明らかにした。

重慶市の日本総領事館によると、日本人の被害情報は入っていない。

(成都=多部田俊輔記者)


◆父さんコメント:
 不案内な海外で災害に遭ったとき、緊急避難の心得を教えてくれる記事だ。

まず、身分証明書となる「①パスポート」は命の次に大事な書類。
そして「②金(現地通貨と米ドル)」。

通信手段としての「③スマホ」が緊急避難時の3種の神器(じんぎ)だ。
できれば「飲料用のミネラルウォーター」も身につけておきたい。

 地震などの場合、安全は倒壊建物の恐れがない広い場所・広場に避難するのが一番。
土地勘がない海外の場合、停電した真っ暗な環境での移動は危険だ。

とりあえずの安全が確保されたら、夜が明けるまでは動かずに支援を待つのが一番。
そして、明るくなってから避難所や近隣の都市部へ移動する。

避難所や大きな都市には病院や市役所など被災者を支援する組織があるからだ。
そして、できるだけ早く日本大使館や領事館に連絡を取ろう。

災害に関する情報を入手するとともに日本人旅行者への支援も要請できる。
無事を大使館や領事館を通じて日本の家族に連絡手配もしてもらえる。 

 海外旅行時には「緊急時の米ドル(5、10ドルの小額紙幣)」は常に持参し身に付けておく習慣を付けよう。

コメント
この記事をはてなブックマークに追加

日経新聞 政治「トランプ氏の事業にもロシア系資金疑惑が」=「ロシアゲート 私はこう見る」 米ジャーナリスト J・ヘンリー氏=

2017年08月12日 09時37分51秒 | 政治
日経新聞 2017年8月10日(木) P.9 国際2面
特集連載『ロシアゲート 私はこう見る』=ジャーナリスト ジェームス・ヘンリー氏=

『トランプ氏事業にも疑惑』

 --トランプ政権への捜査が進んでいます。

 「これまでトランプ氏とプーチン大統領との個人的な関係が注目されてきたが、大統領選にロシアがトランプ陣営と共謀して干渉したかは分からない。

むしろ私の考えでは、根本的な問題はトランプ氏が自身の事業で長年ロシアや旧ソ連諸国などの投資家と関係を築き、さらに組織犯罪への関与が疑われる人たちとも事業をしてきた点だ」

 --ロシアゲートを捜査するモラー特別検察官はトランプ氏らが関与したロシア事業に調査を広げたとされています。

 「トランプ氏は1990年代に自身の経営する企業が相次ぎ破綻(はたん)し、欧米の金融機関からの資金調達が難しくなった。

そこで旧ソ連諸国からの逃避資金に頼ったと私は見ている。

私の調べでは、トランプ氏は2010年に開業したニューヨーク・ソーホー地区のホテルなど複数の不動産事業で資金洗浄などの金融犯罪への関与が疑われる旧ソ連関係者とビジネスをしてきた可能性がある」

 --この問題でトランプ氏や側近らの刑事責任が問われる可能性はありますか。

 「金融犯罪は目撃証言や自白などの証拠を得るのが難しく、数多くの状況証拠を集めることによってはじめて立証が可能となる。

トランプ氏や側近の刑事責任が問われるかは、特別検察官の捜査にかかっているとしか言えない。

ただ、資金洗浄が疑われている元選対会長のマナフォート氏と旧ソ連諸国関係者とのつながりなど、トランプ陣営には疑わしい点が多い」

 --モラー氏の捜査でトランプ氏の事業に違法行為が見つかった場合の政権への影響は。

 「仮に犯罪行為が見つかっても、憲法の解釈上現職の大統領を訴追するのは難しい。

ただ捜査結果の開示によって、最終的には議会が弾劾に値する犯罪かどうかを判断することになるだろう」

 「資金洗浄などの犯罪は弾劾の理由になり得るが、弾劾は政治的な要素が強い。
政権与党が上下両院の多数派を握り、現時点では弾劾が成立するかは疑わしい。

モラー氏が選挙干渉の共謀以外の金融犯罪を捜査する権限があるかは見方が分かれ、どこまで踏み込んで調べるかは不透明だ」

 --モラー氏はなぜ側近への捜査にも力を入れているのでしょうか。

 「訴追免除の特権はフリン前大統領補佐官(国家安全保障担当)やマナフォート氏ら大統領側近には適用されない。

モラー氏は側近への捜査を通じ、選挙干渉での共謀に関係する情報を得ようとしているのではないか」

 --ロシアゲートを巡る報道をどう思いますか。

 「本来なら選挙前に米メディアがロシアとトランプ氏の長年の資金関係について調査し報道すべきだった。

残念ながら、この問題を報じたのは主に欧州を中心とした海外メディアだ。
米メディアの多くはとても近視眼的だった。

トランプ氏の非常識な言動ばかりに踊らされ、ロシアとの問題は報道されてこなかった」

▼ジェームス・ヘンリー
 フリーランスのジャーナリスト。

昨年12月、トランプ氏とロシア事業との関係を調査した。
ハーバード大学院で修士号を取得。

67歳。

(聞き手はニューヨーク=関根沙羅記者)


●関連日経記事:2017年3月7日グー・ブログ「息子たちに読んで欲しい日経記事」投稿記事参照
 日経新聞 政治「米政権、ロシア接触 広がる疑惑」=民主、司法長官辞任を要求=』(3月4日付)

コメント
この記事をはてなブックマークに追加

日経新聞 経済『「争続」防ぐ信託に需要』=「相続 1000兆円時代へ」 (中)=

2017年08月12日 07時00分19秒 | 経済
日経新聞 2017年8月10日(木) P.7 金融経済面
特集連載『相続 1000兆円時代へ (中)』

『「争続」防ぐ信託に需要』=資産把握や遺言づくり=
「経験持つ人材確保課題」


 家庭裁判所には相続を巡り、年10万件を超す相談が寄せられる。
親兄弟でも遺産の配分に対する不満が噴出し、「争族」になるケースが後を絶たない。

金融業界では、こうした事態を防ぐニーズがあるとして、遺言づくりや遺産の配分などを代行する信託ビジネスに脚光が当たっている。

 ホケンーー。

預金通帳の引き出し記録に記された3文字を、みずほ信託銀行で遺産整理業務を担う坂本彩乃さんは見逃さなかった。

「かんぽ生命保険に入っていた可能性が大きい」とみて調べ、遺族の知らなかった保険契約を探り当てた。

 遺産整理は信託銀行の主要な業務の一つ。
個人の資産を調べて目録をつくり、相続後の名義変更や換金などを手掛ける。

 子や孫が親の資産をすべて把握しているのはまれ、坂本さんは趣味や住んだことのある場所などを聞き資産の把握を進める。

業務が完了するまで4~6カ月程度かかる。

 信託協会によると、2016年度の遺産整理の取扱件数は5186件と10年前から76%増えた。

遺言書の保管件数は11万8315件で同2倍だ。

 需要増を踏まえ、みずほ銀行は7月、吉祥寺支店にテレビモニターで信託関連の相談ができるブースを作った。

オリックス銀行も信用組合の上部組織の全国信用協同組合連合会と相続信託商品を開発。
地方銀行にも魅力だ。

奈良県地盤の南都銀行は16年末、地銀として10年ぶりに信託業務の兼営認可を受けた。
京都銀行も参入を検討する。

 「遺言業務に参入したいのですが指導してもらえませんか」。
三菱UFJ信託銀行には地銀からの相談が後を絶たない。

 リテール企画推進部の小谷亨一担当部長は「高齢化による預金の減少と金利収入に頼らない収益構造への転換という課題の両方の解決につなげる狙いがある」とみる。

 三菱UFJ信託では遺言関連の業務に200~300人規模が携わる。
遺言の作成から執行までの平均期間は7年。


争族で生じる不動産の仲介など、新たな取引や顧客開拓を含めた息の長いビジネスだ。
「資産がアクティブになるので商売の機会は増える」(小谷氏)

 経験の蓄積がモノを言うためハードルは高いが新規参入や事業拡大の動きは続きそう。
課題は担い手不足だ。

三菱UFJ、みずほ、三井住友の信託専業の3行の従業員数は合計2万人強。
金融・保険業全体の2%足らず。

どう人材を確保していくかが急拡大する市場を取り込めるかどうかを左右する大きな要素となる。


●関連日経記事:2017年8月11日グー・ブログ「息子たちに読んで欲しい日経記事」投稿記事参照
 日経新聞 経済「遺産マネー、首都圏に集中」=「相続 1000兆円時代へ」(上)=』(8月9日付)

コメント
この記事をはてなブックマークに追加

日経新聞 法務・犯罪「不正資金あぶり出しへ奔走」=仏金融、テロ続発が影=

2017年08月12日 05時52分18秒 | 法務・犯罪
日経新聞 2017年8月10日(木) P.7 金融経済面
連載『世界の現場から』

『不正資金あぶり出しへ奔走』=仏金融、テロ続発が影=

 「口座開設などの銀行手続きが厳しくなった」。

パリで最近聞く話だ。

相次ぐテロに見舞われたフランスで、政府や銀行、保険会社がテロや資金洗浄などの不正な資金のあぶり出しに動いている。

 仏経済省系の対策機関「Tracfin」が7月中旬に発表したリポートによると、2016年に「不審な資金の動きがある」などの通報が前年から43%も多い6万4815件、同機関に寄せられた。

 16年の通報のうち大半にあたる約4万7000件は銀行経由によるもので、前年比50%増と著しく増えた。

通報はソシエテ・ジェネラル、クレディ・アグリコルなど大手7行が中心だという。
保険会社、公証人などの通報も増えている。

以前からの引継ぎ案件もあるものの、通報を受けて前年比28%増にあたる1万3592件の調査に結びついた。

一定の効果を上げていると言えそうだ。

 フランスでは、金融機関などは「不正な資金の疑いがある」などの場合に、当局に通報する義務がある。

だがこれまでは危機感の薄さなどが原因で十分に通報されていない例があった。

実際BNPパリバは今年、15年までの時点で十分に不正資金のあぶり出しに協力していなかったとして、1千万ユーロの罰金支払いを命じられている。

 ただ15年11月に起きたパリ同時テロでは、犯行グループが組織的に自動小銃などの装備を集めていた。

その後も大小のテロ事件がやまず、銃器の調達にも使われかねないテロ資金源をつぶすのは必須との意識が共有されてきている。

「1カ月に1万ユーロ(約130万円)以上の引き出しがある」などの場合に当局に連絡しなければならないとの規制も始まり、通報件数の増加に結びついたようだ。

 16年春には富裕層の節税実態を暴露した「パナマ文書」も発表された。
金融機関は不審な資金の流れを見つけるべきだとの社会的な要請も強まっている。

 不正資金の隠蔽(いんぺい)は仮想通貨を使ったり、多国間の口座を経由したりするなどと年々巧妙化している。

限りある捜査当局の人数だけでは、把握しにくくなっている。
今後の継続的な民間企業の通報が欠かせなくなっている。


●関連日経記事:2015年3月7日グー・ブログ「息子たちに読んで欲しい日経記事」投稿記事参照
 日経新聞 安心・安全「国際金融から排除」=テロ資金対策の課題 ③④=』(2015年3月4日付)

コメント
この記事をはてなブックマークに追加

日経新聞 経済「公募投信2年ぶり102兆円/7月」=外国株の残高 最高=

2017年08月12日 05時02分13秒 | 経済
日経新聞 2017年8月10日(木) P.7 金融経済面
『公募投信2年ぶり102兆円』=7月末=

『外国株型の残高 最高』

 公募投資信託の資産構成が変化している。

7月末の残高は約102兆円と、過去最高だった2015年5月末(102兆円強)以来の高水準になったようだ。

2年前と比べると成長期待から外国株投信の残高が過去最高となる一方、日本株投信は13カ月連続で資金が流出している。

上場投信(ETF)が急増して公的マネーの存在感が増すなど、様変わりしている。

『日本株型、成長期待薄く』
 野村総合研究所の調べでは、7月末の外国株投信(ETFを除く)の残高は14兆6355億円と、約10年ぶりに過去最高を更新した。

2年前から4%増にとどまるが、足元の資金流出入でみると、11カ月連続の流入超過と人気が持続している。

「低金利下でも債券型も買いづらいなか、値上がりを求めると外国株投信になる」(ドイチェ・アセット・マネジメントの藤原延介氏)との声もある。

 外国株投信の中でも伸びが目立つのは新興国関連の株式で運用する投信だ。
「日本は成長が見込めないが、インドは高成長が期待できそう」。

東京都内の男性会社員(37)はこんな見立てから、小額投資非課税制度(NISA)の枠を上限まで活用し、昨年11月と今年1月にそれぞれ120万円分のインド株投信を購入した。

 対照的に勢いを失っているのが日本株投信(ETFを除く)だ。
残高は8兆7737億円となり、2年前の9兆1724億円から4%減少した。

日経平均株価は2万円前後で推移しているが、先高観が描けないなかで利益確定売りが先行しがちだ。

16年7月末以降、資金流出超過の状態だ。

 日本株関連でも、ETFに限れば大きく伸びている。
7月末の残高は25兆円と2年前の倍近くに膨らんだ。

残高を押し上げているのが日銀の買いだ。
これまで日銀は累計で15兆円余りのETFを購入した。

 ETFを除いて公募投信の残高を2年前と比べると13%減の77兆円にとどまり、公募投信で日銀の存在感が高まっている。

野村総研の金子久氏は「かって公募投信はほとんど個人が保有していたが、今は違う。 個人マネーは逆に流出している印象だ」と指摘する。

 また短期国債などで運用するMMF(マネー・マネージメント・ファンド)は2兆円からゼロになった。

日銀が昨年2月に導入したマイナス金利政策によって運用難に陥り、償還を余儀なくされたためだ。

 中長期運用を意識した投信へのシフトもうかがえる。
三菱アセット・ブレインズによると、毎月分配型投信は32兆円と11兆円減った。

毎月分配型は複利効果を得にくく長期の資産形成には向かないとされる。
金融庁の指導もあり、証券会社など販売会社が分配頻度の少ない投信へ軸足を移している。

実際、年1回分配型投信は4割増えた。


▼102兆円の中身は様変わり

        (2015年5月末) →→ (2017年7月末)
【外国株投信】 14.1兆円 →4%増→ 14.6兆円

【ETF】 14.3兆円 →75%増→ 25.0兆円
【毎月分配型投信】 43.1兆円 →24%減→ 32.6兆円

【MMF】 1.9兆円 →→ 0兆円

(注)野村総合研究所と三菱アセット・ブレインズのデータをもとに作成


●関連日経記事:2017年7月26日グー・ブログ「息子たちに読んで欲しい日経記事」投稿記事参照
 日経新聞 経済「やまぬ音楽 踊るマネー」=金融の蛇口を締めるのは容易ではない!=』(7月24日付)

●関連日経記事
:2017年2月18日グー・ブログ「同上」投稿記事参照
 日経新聞 経済「ETFで個人マネー呼べ」=東証や証券業界てこ入れ=』(2月17日付)

コメント
この記事をはてなブックマークに追加