日経新聞 経済「適温相場に潜む悪魔」=レバレッジに波乱の種=

2018年01月12日 14時27分17秒 | 経済
日経新聞 2018年1月8日(月) P.6 オピニオン面
連載コラム『核心』=編集委員 滝田洋一=

『適温相場に潜む悪魔』=レバレッジに波乱の種=

 2018年を迎えた世界の株式、債券市場が適温相場を楽しんでいる。

その傍らで、国際通貨基金(IMF)など世界の当局者はちょっと居心地が悪そうな様子である。

 投資家が次第に大胆に金融資産を積み上げているからだ。

少しでも運用利回りを高めようと、実際の市場を上回る価格変動率を目標にした投資が急増。

その際、手元資金に加え、他人からお金を借りて取引を膨らませていること(=借金で投資をするレバレッジ取引)に、金融当局は気をもむ。


    ◆    ◆

 株や債券の運用成績に基づき年金額が変わる変額年金。

 高度な投資プログラムを頼りに高い運用利回りを狙う商品投資顧問(CTA)取引。

 各資産の金額でなく値動きの大きさに基づいて配分を決めるリスク均等型ファンド。

 近年、存在感が増すこれらの投資家は、価格変動率の目標を定めて取引する。
だが実際の株価や債券価格の変動率は小さくなる一方だ。

 以前と同じもうけをあげるには運用額を積み上げるほかない(=前年同期比の伸び率をマイナスにしたくないのが運用担当者の性癖/個人評価につながるから)。

折しも金利は低く、お金はだぶつく。

他人から借りたお金をレバレッジ(てこ、負債を拡大して投資する手法)にして投資を拡大する動きが増えているのは自然だろう。

 年12%の価格変動率を目標に、全体の6割を世界の株式で、残り4割を世界の債券で運用する。

そんなファンドを想定し、目標達成に必要な運用額をIMFが試算した。

 純資産に対して何倍の投資が必要か。

16年1月は1倍ちょっとで済んだのに、17年7月の運用額は2倍を超え、純資産に匹敵する金額を外部から借り入れる勘定となった。

 実際の価格変動率はといえば、株式は16年1月の12%から17年7月には7%と大幅に低下した。

債券も4%前後と低位で安定。

目標に達するには、負債でレバレッジを利かせることで純資産より大きい金額を動かすほかないのだ。

 市場の買い手が増える分、短期的には相場は安定し、価格変動率は抑えられる。
すると投資家は目標の収益を確保するため、ますます外部負債を元手に投資を膨らませる。

こんな循環がグローバルな適温相場の底流に見て取れる。


    ◆    ◆

 もう一つ見逃せないのは価格変動率がある水準より低ければ、手数料が受け取れる金融取引の横行だ。

オプションの一種であるこの取引は、保険会社が顧客に保険を売って保険料を得るようなもの。

保険の場合はいったん事故が発生すれば、保険会社は保険金の支払いを迫られる。
 
 このオプション取引も仕組みは同じ。
実際の価格変動率が跳ね上がったら、逆回転する。

15年8月24日にそうしたショックが起きた。
15年8月に中国は突然の人民元切り下げに踏み切り、折から原油相場も急落した。

米連邦準備理事会(FRB)による量的緩和の手じまい観測も重なり、市場は疑心暗鬼となった。

 恐怖指数と呼ばれる米国株の変動率(VIX指数)はその日に40を超え、米国が同時テロに襲われた01年9月並みの高水準に跳ね上がった。

オプション取引の損失拡大を恐れた投資家は我先にと株式を売ったのである。

 株式投資家は水鳥の羽音に驚く平家のように振る舞い、相場変動を増幅させた。

価格変動率を目標にした投資はいったん縮んだが、市場が波静かになるとともに再び息を吹き返し、拡大の一途をたどる。

足元では5000億ドル以上の米国株が価格変動率を目安に運用されているという。

 株式ばかりでない。

多くの先進国で国債の利回りがゼロないしマイナスになったことで、機関投資家は低格付けの高利回り債へと駆け込んだ。

高利回り債に占める投資信託の保有比率は、米国では30%。
欧州でも20%にのぼる。

 仮に長期金利がいきなり1%上昇したとしよう。

IMFの試算によると、その際の債券投信の損失額は、米国で2000億ドル、ユーロ債で3200億ドル、英国で1100億ドルにのぼる。

米国の場合、債券保有額の7%の損失が生じる勘定となる。


 当然、高利回り債で運用する投信からは資金流出も起きるだろう。

08年のリーマン・ショック以降の経験では、債券相場の下落率が累積して5%を超えると、大量の資金流出の引き金となる。

 実際、11年8~9月、15年6~9月、15年11月~16年1月に、そうした資金流出が起きた。

FRBの金融政策のカジ取りがきつめになるとの疑心暗鬼が、投資家をたびたび走らせた。

 高利回り債は国債に対し流動性が低く、まとまった売りが出ると相場の下げを加速させる悪循環が働く。

08年当時に比べて高利回り債の保有者に占める投信の比率は、米国で10ポイント、欧州では15ポイント高まってるだけに油断は禁物だ。

    ◆    ◆

 18年の年明けに際し、ブローバルな投資家は「今年も株式と債券の適温相場が続く」とみている。

世界景気の同時拡大に異論を唱える向きはほとんどない。
もうひとつの前提は緩和気味の金融環境の継続。

端的にいえば、FRBの利上げが年3回の緩やかなペースとなることだ。

 2月に就任するFRBのパウエル新議長は、金融政策のカジ取りで無茶をするような人ではない。

それでもリスクが残るとすれば、完全雇用の下で米国のインフレ率が思いのほか高まる場合だろう。 

そのときは債券市場の乱が繰り返され、株式市場にも波及しないとは限らない。

 宴(うたげ)の裏にレバレッジという打ち出の小づちを振るう悪魔が潜む。
金融緩和の出口にさしかかった世界の金融当局者は気が気でない。


●関連日経記事:2017年8月31日グー・ブログ「息子たちに読んで欲しい日経記事」投稿記事参照
 日経新聞 経済『「適温相場」忍び寄る影』=株価下落サインに身構え=』(2017年8月29日付)

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日経新聞 経済「国内不動産に海外マネー、3年ぶり最高」=超低金利が後押し/過熱感に危うさ=

2018年01月12日 11時12分17秒 | 経済
日経新聞 2018年1月7日(日) P.7 総合5面
『国内不動産に海外マネー』=取得額1.1兆円 3年ぶり最高=

『超低金利が後押し』=過熱感に危うさ=

 海外投資家が日本での不動産購入を加速している。

2017年の海外勢の取得額は1兆1000億円と前年の約3倍に増え、3年ぶりに最高を更新した。

投資マネーの流入で世界主要都市で不動産価格が上昇するなか、日本は借入金利を勘案した不動産の投資利回りが相対的に高いためだ。


海外マネーの流入は不動産市況に追い風だが、日銀のマイナス金利政策が後押しした側面も大きく、危うさを指摘する声もある。


 みずほ信託銀行系の都市みらい総合研究所が企業や機関投資家による17年の不動産取引の公表データを集計した。

海外勢による購入額はデータを遡れる00年以降で最高だった14年(9872億円)を超え、初めて1兆円台に乗せた。

取得額全体に占める海外勢の比率は過去最高の24%に達した。

 17年は1件あたり500億円を超える大型取引が目立つ。

世界最大級の政府系ファンドであるノルウェー政府年金基金は昨年12月、東急不動産と共同で東京の表参道・原宿地区にある商業ビル5棟を一括購入した。

売り手は香港の不動産ファンドで取得金額は計1325億円。
ノルウェー年金基金がアジアの不動産に投資するのは初となる。

 同基金は原油販売収入から得た100兆円超の資金を世界で運用し、運用資産の5%を不動産に振り向ける方針。

東京には15年にオフィスを構え投資先を探してきた。

 不動産運用部門のノルウェー・バンク・リアル・エステートのカーステン・カレビッグ最高経営責任者は「東京の不動産市場は世界有数の規模で経済成長も見込める。 今後も投資を続けたい」と話す。

 シンガポール政府系ファンドのシンガポール政府投資公社(GIC)も昨年12月、東京・新宿駅前のオフィスビル、新宿マインズタワー(東京・渋谷)の43%の持ち分を大和証券グループ本社系の不動産投資信託(REIT)から625億円で取得すると発表した。

 海外勢による日本の不動産取得が拡大したのは13年前後から。

金融緩和で不動産市況が上向いたのを機にリーマン危機後に安値で買収されていた物件の利益確定売りが広がり、主に海外勢がその受け皿となった。

ただ15年以降は売りに出される物件が減り、取引全体は低調になっていた。

 昨年再び売買が活発になったのは、18年以降の東京都心のオフィス大量供給などでビル賃料が弱含むとの見方からオーナーの一角が売却に動いたからだ。

米不動産サービス、ジョーンズ・ラング・ラサール(JLL)の赤城威志リサーチ事業部長は「海外勢はなお先行きに強気で高値でも取得に踏み切った」とみる。

 もっとも日本の不動産価格は過熱感が漂う。

不動産サービスのCBREによると、賃料収入を取得価格で割った投資利回りは東京・大手町のオフィスで3.55%。

03年の調査開始以来で最低水準だ。
GICによる投資案件の利回りは3%台半ば、ノルウェー年金基金は2%台と推測される。

 それでも購入に突き進む理由が日本の超低金利だ。
投資利回りが低くても購入資金を調達する際の借入金利がさらに低ければ収益は得られる。

JLLによると、東京の高級オフィスビルの投資利回りから長期金利を引いた利回り差は2.8%。

2%台前半のロンドン、1%台のニューヨークや香港に比べて大きい。

 マイナス金利は日本の不動産に海外マネーを呼び込み、市況を押し上げた。

ただ米国などで利上げを機に売りに出る物件が増えれば「投資対象の多い他国に資金が振り向けられ、日本は取り残される可能性がある」(米クッシュマン・アンド・ウェイクフィールド)。

海外マネーが過熱気味の市況を押し上げ続けるかどうかは不透明だ。

▼海外政府系ファンドの積極購入が目立った

・(買い手)安邦保険集団(中国):(物件名)全国の賃貸マンション約200棟 = 2600億円

・ノルウェー政府年金基金: 表参道・原宿の商業ビル5棟 = 1325億円

・シンガポール政府投資公社:シェラトン・グランデ・トーキョーベイ・ホテル = 1000億円
       :新宿マインズタワーの一部 = 625億円

・ガウキャピタル(香港): みなとみらいセンタービル = 800億円
・グリーンオーク(米): 銀座シックス8階のオフィスフロア = 200億円

(注)金額は単位億円。概算、国内企業の共同出資分も含む 

(和田大蔵記者)


●関連日経記事
:2018年1月9日グー・ブログ「息子たちに読んで欲しい日経記事」投稿記事参照
 日経新聞 経済「短期国債 外国人が支え」=保有率、6割に迫る=』(1月5日付)

●関連日経記事:2018年1月11日グー・ブログ「同上」投稿記事参照
 日経新聞 経済学「投資用マンション価格: 賃料横ばい、今後も上昇可能性がない理由は・・・」=「マネー研究所」 セレクション=』(1月6日付)

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日経新聞 経済『「旧素材」に思わぬ需要』=「足りない時代 ②」 デフレ脱却最前線=

2018年01月11日 09時38分42秒 | 経済
日経新聞 2018年1月6日(土) P.20 マーケット商品面
特集連載『足りない時代 ②』=デフレ脱却最前線=

『「旧素材」に思わぬ需要』=EV・有機EL用が拡大=

 昨年12月、鉄筋を生産する電炉業界に衝撃が走った。

鉄筋を生産する電気炉に欠かせない資材の黒鉛電極が大幅に値上がりする見通しになったからだ。

「2倍強の値上げ」
 大手の東海カーボンが2018年4月から2倍強の1トン90万円に引き上げると表明。

最大手の昭和電工や日本カーボンも追従するとみられる。
「ここまで急激な電極高騰は経験したことがない」。

中堅鉄筋メーカー、三興製鋼(神奈川県平塚市)の鈴木俊之取締役は驚きを隠さない。

 価格高騰の背景としてささやかれるのが、意外にも電気自動車(EV)ブームだ。

実は電極の主原料であるニードルコークスは、EVの主要部材のリチウムイオン電池にも使われる。

昭和電工の森川宏平社長は「EVブームで実需以上にニードルコークスの価格が上昇している」と指摘する。

 17年4月に1トン400ドル前後だったニードルコークスの価格は現在、2000ドル超。

東海カーボンの長坂一社長は「原料上昇分を吸収できるまで電極価格を上げる」と強気だ。

 EVとは無関係なはずの鉄筋メーカーが自動車メーカーのEVシフトのあおりを受けた。
国内の電極大手は4社に集約され価格交渉で優位に立つ。

一般的に鉄筋メーカーの製品1トンに占める電極コストは2~4%とされる。

鉄筋大手、伊藤製鉄所(東京・千代田)の白井雅彦執行役員は「製品価格への転嫁は非常に難しい」と話す。

「液晶と主役交代」
 新需要創出のあおりを受けるのは鉄筋メーカーにとどまらない。

 「供給を受けられるなら価格はいくらでもいい」。

都内の半導体商社にはデジタルカメラメーカーから旧来型フラッシュメモリーのNOR型の注文がひっきりなしに舞い込む。

 NOR型は耐久性が高く「ガラケー」といった旧世代携帯電話のプログラム保存に使われていた。

現在主流のスマートフォン(スマホ)は容量が大きいため、大容量化に適したNAND型を用いる場合が多い。

 なぜNOR型が足りないのか。
見えてくるのは液晶に変わる有機ELパネルの存在だ。

 米アップルが昨年11月に発売した「iPhoneX(テン)」にも採用され有機ELの需要は右肩上がり。

一方でパネルの制御に使うNOR型は供給が限られ、不足が一気に表面化した。

有機EL以外でNOR型を使う自動車、産業機器メーカーなど既存の需要家に供給不足懸念が広がる。

 調査会社の富士経済(東京・中央)によると、21年のEV世界販売台数は152万台と、17年見込み(61万台)の2.5倍に達する見通し。

有機ELを用いたテレビやスマホも今後、普及が進む。
技術革新は新たな需要を生みだす一方、思わぬところで「足りない」をもたらす。

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日経新聞 経済「成長アジア、素材大食い」=「足りない時代 ①」 デフレ脱却最前線=

2018年01月10日 05時54分08秒 | 経済
日経新聞 2018年1月5日(金) P.23 マーケット商品面
特集連載『足りない時代 ①』=デフレ脱却最前線=

『成長アジア、素材大食い』=LNG・木材価格に波及=

 鉄鋼やセメント、石油化学など主要素材の価格上昇が続いている。

過剰設備の廃棄が進み、技術革新が新たな市場を生み出した。
アジアの需要拡大という外部要因も大きい。

一方、日本は少子高齢化のあおりで人手不足も表面化している。
2018年は平成に入って30年。

デフレ脱却の最前線で何が起きているのかを探る。


 17年11月11日、中国の「独身の日」。

年間最大のインターネット通販セールが催され、現地の物流施設では従業員が大量の段ボール箱の仕分けに取り組んでいた。

日本以上に電子商取引(EC)化が進む中国。

丸紅の松村浩産業用紙部長は「EC市場の拡大に比例して段ボール需要も大きく伸びている」と話す。

「古紙高騰に警戒」
 旺盛な需要を背景に段ボール古紙の価格は17年に高騰。

指標となる関東製紙原料直納商工組合(東京・台東)の輸出価格は7月に前年同月比で75%上昇した。

 全国ダンボール工業組合連合会(東京・中央)によると、18年の段ボール需要は3年連続で過去最高を更新する見通し。

全段連理事長でレンゴーの大坪清会長兼社長は「原料の古紙は18年からまた高騰する」と警戒する。

 「液化天然ガス(LNG)は世界的に供給が増えたが、中国の需要増で想定していたほど需給が緩まなかった」。

三井物産グローバルガストレーディング室の西川裕紀室長補佐は17年のLNG需給を振り返る。

米国やオーストラリアで新規設備が稼働し供給過剰になるとみられていたが、中国の脱石炭の動きが流れを変えた。

 中国は17年に大規模な環境対策を導入した。

丸紅経済研究所の李雪連シニア・アナリストは「経済成長で中間層が増えPM2.5対策が不可欠になった」と指摘する。

農村まで大気汚染が広がり、石炭から環境負荷の小さいLNGへ発電燃料を転換している。
アジアのLNGのスポット(随時契約)価格は昨秋から上昇基調を強めている。

「丸太はインドへ」
 経済発展と人口増に伴い、家具や建物の内装材向けといった木材需要が大きく伸びているのがインドだ。

国連食糧農業機関(FAO)統計では、インドの16年の産業用丸太輸入量は10年前と比べて1.7倍に増えた。

 「日本はインドに完全に買い負けている」。
マレーシアやインドネシアで伐採する南洋材丸太を輸入する商社担当者の表情は険しい。

主産地、マレーシア・サラワク州はかって日本が最大の買い手だったが現在の主役はインドだ。

 サラワク州木材協会(STA)の調べでは、16年の原木輸出量はインド向けが全体の48%を占めた。

日本は2%に過ぎない。

日本木材輸入協会(東京・江東)の岡田清隆専務理事は「南洋材丸太の輸入量がゼロになる日が来るかもしれない」とつぶやく。

 アジアの成長はこの先も止まらない。
旺盛な需要は日本の素材不足の常態化と価格の上昇をもたらす可能性が高い。

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日経新聞 経済「短期国債 外国人が支え」=保有率、6割に迫る=

2018年01月09日 05時38分24秒 | 経済
日経新聞 2018年1月5日(金) P.5 経済面
『短期国債 外国人が支え』=保有率、6割に迫る=

 日本国債を保有する外国人投資家が増えている。
発行から1年以下の短期国債でその流れが加速し、保有率は60%に迫ってきた。

日本の投資家などから(金利が高い米国での投資に必要な=)ドルの引き合いが強い中、外国人投資家が手持ちのドルを円に換え、そのうえで日本国債を買っている。

資金を一時的に振り向けているだけとの見方も多い。
何気ない動きで金利が大きく振れる危うさもある。

『金利変動にリスクも』
 日銀統計などによると海外勢が持つ短期国債の保有比率は2017年9月末時点で55.2%になった。

比率は過去最高を更新し続けている。
同じ時期の短期国債の残高は約109兆円で、60兆円ほどを海外勢が持つ。

 背景には、為替の取引が関係する。

 マネーは金利が上がる国に流れやすい。
米国では17年に3度の利上げがあった。

今後も利上げが続くとみてドルが欲しい投資家との間で、海外勢は手元に持つドルを円と交換する。

ドルを求めている投資家は、運用難に悩む日本の生命保険会社などで、これに伴う為替取引には(上乗せ=)金利がつく。

 ニッセイ基礎研究所の福本勇樹氏によると、この金利は(ドル調達コスト)は3カ月分で約9年ぶりの高い水準にある。

海外勢にとっては、ドルを貸すだけで利益が出せる構造と言える。

 結果、ドルとの交換で得た円の資金は、(安全性が高い=)日本国債に流れ込む。
アジアや欧州の中央銀行でも日本国債を買う動きが加速した。

国債の利回りがマイナスであっても、「ドルの貸付料」が高ければ、利ざやを取り続けられるというわけだ。

 償還まで1年を超える日本国債(財投機関債含む)では、17年9月末の時点で海外勢の保有比率は約6%。

こちらも、日銀が異次元緩和を始める直前の13年3月から1.5ポイント超上がっている。

 国債を保有する人が多様になること自体、国債を安定的に消化する点で利点はある。

しかし足元の海外勢の動きは「(長期投資を目的とした=)円建て資産が欲しいからではなく、(短期間投資である=)さや抜きの目的が多い」(東短リサーチの加藤出氏)。

 米国の利上げの動きが鈍ったり、ドルの需要が弱まったりすればドルと円を交換する取引が細りかねない。

取引上のうまみが薄まれれば、資金を国債から引き上げる可能性が高まる。

また、いわゆる地政学リスクへの意識など短期的な動きで短期債の金利が大きく変動する懸念も拭えない。

 日本の投資家はマイナス金利を背景に国債投資に距離を置く。
17年9月末時点で、ゆうちょ銀行は3年前に比べて保有額を4割以上減らした。

メガバンクなども運用額に占める国債投資の比率を減らす。
金利水準が収益に直結する国内投資家は、低金利の日本国債を敬遠。

ある大手生保の担当者は「日本国債は当面買う予定がない」と見切ったように話した。

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日経新聞 経済「現金大国、コスト2兆円」=銀行のATM維持や輸送、構造改革の課題に=

2018年01月01日 06時20分59秒 | 経済
日経新聞 2017年12月25日(月) P.3 総合・経済面
連載コラム『エコノフォーカス』

『現金大国 コスト2兆円』
「銀行、構造改革の課題に」=ATM維持や輸送=


同僚と楽しく飲み、最後に割り勘。
そんな場面はまだ多い。

クレジットカードや電子マネーが浸透したとはいえ、便利な決済手段として現金は重宝される。

だが、現金決済を支えるのに年間2兆円ものコストがかかっていることをご存じだろうか。
フィンテックや銀行の構造改革の影響がATMなど既存の決済網にも及びつつある。

(大島有美子記者)

 日本人は現金好きといわれる。

ボストン・コンサルティング・グループの推計によると、日本の現金決済の比率は決済全体の65%ほどで、先進国の平均(32%)の2倍以上だ。

現金の取り扱いが多いからATM網が張り巡らされ、便利ゆえに現金決済が減らないーー。
そんな構図が浮かぶ。

「通帳がネックに」 
 全国銀行協会によると、銀行や信用金庫、ゆうちょ銀行などを合わせると2016年9月末時点で13万7千台のATMがある。

セブン銀行やイオン銀行などコンビニ型5万5千台を加え、ざっと20万台が稼働している。

 銀行は顧客サービスに「どこでも現金を出し入れできる」という利便性を掲げ、ATMの設置台数やサービス機能を競い合い、各行のATMが乱立。

銀行にとっては膨れたATMの維持コストが今やずしりとのしかかる。

削減はそう簡単にできず、せめて複数行、もしくは銀行全体で共有するATMにしたいところだが、これも難しい。

 ATMの仕様が各行で異なるためだ。
「日本工業規格(JIS)などで通帳が統一されていれば」。

コスト削減のため、他行とのATM統合を模索したことがある大手銀の幹部はつぶやく。
通帳の仕様の違いで諦めざるを得なかったという。

 各銀行の通帳を見比べると、磁気を読み取る位置などが異なる。

新生銀行が6月、自前のATMをやめ、セブン銀に置き換えられたのは「通帳がなかったことが大きい」と新生銀幹部も話す。

 これはサービス競争の負の遺産ともいえる。
そもそもATMが現金を引き出す設備ならば、記帳機能はいらない。

しかし「零細企業では通帳を会計簿代わりに使っている会社もまだまだ多い」(大手銀首脳)。

一度充実したサービスを削減するのは容易ではない。

「地銀見直し先行」
 ある銀行関係者は「ATM1台の価格は300万円ほど。 それに警備費や監視システムだけで1台に毎月約30万円の費用がかかる」と明かす。

大量発注して1台当たりのコストを抑えたくても「メーカーは皆、銀行の取引先でもあり、一本化しにくい」(銀行関係者)。

こうしてメガ銀が複数のATMメーカーの機械を使うことも、ATMの共通化を阻むという悪循環だ。

ボスコンの佐々木靖シニア・パートナー&マネージング・ディレクターは金融界でこうしたATMの管理・維持コストで年間7600億円程度、さらに現金輸送や現金の取扱事務の人件費などを考慮すると、日本の金融界で2兆円もの現金取り扱いコストがかかっていると試算する。

 佐々木氏は「消費者にキャッシュレスの意識が浸透するにつれ、銀行が自前でATMを提供する優位性は薄れてきている」と指摘する。

 地銀などは、コンビニATMの有効活用に動く。

愛媛銀行は来年3月、コンビニATMの時間外手数料を108円と、今の半分にして顧客を誘導する。

より体力の弱い地銀では、自前のATMを減らし、コンビニATMへの置き換えを打診する動きも出始めた。

 ATMの維持コストが下がれば、より付加価値の高い業務に振り向けることもできる。
各行が進める大規模な構造改革は、ATM網の再編も焦点になりそうだ。


●関連日経記事:2017年12月12日グー・ブログ「息子たちに読んで欲しい日経記事」投稿記事参照
 日経新聞 経営「これまでの仕事は一体・・・」=もう「メガ」じゃない ②=』(2017年12月6日付)

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日経新聞 経済「スマホが生む新たな消費」=アジアのヒット商品 (上)=

2017年12月29日 08時44分39秒 | 経済
日経新聞 2017年12月21日(木) P.13 アジアBiz面
特集連載『アジアヒット商品 (上)』=決済から宅配まで=

『スマホが生む新たな消費』=中国:シェア自転車、1000万台超=インド:割り勘、音だけでOK=

 日本経済新聞社はアジアの11カ国・地域で2017年に人気、話題となった商品・サービスをまとめた。

貧しさから銀行口座を持つ人が少なく、偽札も多く出回るアジア。

そこにスマートフォン(スマホ)が急速に普及し、日本と比べ現金を介さない決済手段が一般化し、新たな商品やサービスが生まれている。

中間所得層を対象としたヒット商品も多く、アジア全体の生活水準の高まりも見て取れる。


 2017年はアジアでスマホを使った決済方法が急速に広がった年になった。
インドでは米グーグルが9月、同国限定でユニークなモバイル決済を導入した。

 人の耳には聞こえない周波数の音で近くにいる人のスマホ端末を認識し、相互にお金を受け渡しできるというもの。

QRコードをいちいち読み込む必要もなく、お金を支払う側と受け取り側がそれぞれアプリ上で「送る」「受け取る」と選び、払う側が金額を入力すれば完了だ。

飲み会やタクシー利用の際などの割り勘に便利で、利用者は1200万人に上る。

 庶民の生活を支える屋台でも使えるスマホ決済の仕組みもアジアで次々と普及した。

 中国で急成長したシェア自転車。

スマホのアプリで自転車の場所を確認して予約、車体のQRコードを読み込むと解錠できる。

「摩拝単車(モバイク)」と「ofo(オッフォ)」の大手2社だけで総台数は約1000万台に増えた。

 このサービスは日本やマレーシアなどにも広がりをみせる。

 台湾でもスマホは活躍の場が拡大している。
電動スクーター「ゴゴロ」は車体は個人所有だが、電池をシェアする。

スマホで街中の電池交換ステーションを探して、それまで自分が使った電池と充電済みのものを交換する仕組みだ。

 5月に発売したモデルは補助金があるため、従来の半額近い4万台湾ドル(約15万円)ほどと手ごろになった。

11月の販売台数は過去最高の約6700台に達した。

 現在、スマホの普及率は中台韓で9割超、東南アジアで5~8割程度に高まった。

スマホ決済のほか、アプリを使って集荷の際に近くの宅配業者を探して呼んだり、荷物を受け取りのときには時間や場所を指定したりできるベトナムの宅配サービスも注目だ。

 ヒット商品の誕生を後押しするのは、台頭する中間所得層だ。

三菱自動車の7人乗りミニバン「エクスパンダー」がインドネシアで、スズキの7人乗り「エルティガ」がミャンマーで売れたのも、中間層に自家用車が普及し始めたことを象徴している。

 格安航空会社(LCC)の広がりに伴って、アジア域内の国や地域を超えて行き来する人が急増したことを背景に生まれたヒット商品も多い。

シンガポールでは、台湾などではやったチーズ風味の泡を載せた茶飲料が話題になったり、インドネシアでタイ風の料理を出すレストランが増えた。

◆2017年アジア11カ国・地域のヒット商品・サービス
【中国】
①(商品名)スマホゲーム『王者栄耀』
 (寸評)騰訊控股(テンセント)が開発したスマホ用対戦ゲーム。 利用者2億人に。 共産党機関紙が批判も

②シェア自転車 
 スマホを使ったシェア自転車サービス。 摩拝単車(モバイク)以外も参入し、総台数1000万台以上

③ミニカラオケ
 商業施設の空きスペースを活用した2人用カラオケボックス。 3万台超と前年の1.5倍

【韓国】
①サムスン電子の新型スマホ「ギャラクシーS8」
 発火事故以降、初めて発売した旗艦機種。 有機ELパネルが話題。 世界販売約4000万台

②平昌冬季五輪のダウンコート
 18年の平昌冬季五輪の公式ダウンコート。 3万着限定ながらアイドルが着て話題に

③LGの有機テレビ

 液晶テレビより高精細。 9月の韓国での販売は1万台と年初の2倍に急増

【台湾】
①電動スクーター「ゴゴロ」
 専用ステーションで電池交換できる新発想のスクーター。11月の販売台数は過去最高

②日本産牛肉

 16年ぶりに輸入が解禁され消費者が飛びつく。 米国産の5~7倍と高価だが、品薄続く

③UFOキャッチャー
 夜市や街角で設置が増え、会社員らが熱中。1回約40円で日本より簡単

【インド】
①モバイル決済「グーグルTez」
 グーグルがインドで導入した”音”によるモバイル決済。割り勘に便利。1200万人利用

②クラフトビール「ビラ」
 地元のクラフトビールで、欧州系の味わいがありながら価格が安いのが魅力

③ガラケー風スマホ「ジオ・フォーン」

 見た目はガラケーながら第4世代通信に対応し、動画も見られる。 端末代は実質無料

【インドネシア】
①三菱自動車「エクスパンダー」
 三菱自動車が8月発売した新興国向け戦略車。7人乗りのミニバンで、デザイン性が高い

②ジャカルタ郊外の低価格マンション

 ジャカルタ郊外の大型都市開発で100万円程度から買えるマンションに中間層が注目

③タイ風レストラン
 マンゴースムージー、甘い紅茶などタイ風をうたう商品が人気。 タイ人観光客増加が背景

【シンガポール】
①マクドナルド「ナシレマバーガー」
 ココナツミルクで炊いた米を使ったマレー料理「ナシレマ」風のご当地商品。売り切れ続出

②米アマゾン「プライムナウ」

 米アマゾンによる注文2時間以内の配達サービス。注文相次ぎ、一時中断した

③チーズティー

 台湾などで流行したチーズ風味の泡を載せたアイスティーをシンガポールのチェーン店が提供

【マレーシア】
①シェア自転車
 中国の「モバイク」などスマホを活用したシェア自転車が相次ぎ進出。観光客にも人気

②トラック型屋台
 トラックを改造した屋台に会社員らが集まる。トラックを集めた常設広場も全国に登場

③おしゃれヒジャブ

 ムスリム女性の頭部を覆う布「ヒジャブ」におしゃれな柄などのデザインを加えた商品

【タイ】
①モバイル決済「プロンプトペイ」
 携帯電話の番号だけで銀行間送金できるサービス。登録者は3600万人に

②ナイキのスニーカーなどマラソングッズ
 人気歌手が走る寄付金集めのマラソンが話題に。使用するナイキのスニーカーなどが売れた

③ミシュラン食堂「ジェイ・ファイ」
 バンコク初のミシュランガイドで星を取った地元食堂。一時は4時間待ちに

(フィリピン)
①ヤマハ発動機のバイク「Mio」
 AT(自動変速機)付きバイク。1~11月の二輪車市場は前年同期比15%増

②半屋外型フードパーク
 世界各国の料理を出す半屋外型フードパークが相次ぎ登場。マニラだけでも10以上

③ドライブレコーダー
 中国の小米(シャオミ)などがドライブレコーダーを発売。自動車と事故の増加に対応

【ベトナム】
①宅配アプリ「ザオハン・ニャイン」
 「ウーバー」方式で宅配用のバイクを呼べるアプリ。ネット通販普及で利用者急増

②外資カジュアル衣料「ザラ」「H&M」

 9月に「H&M」が進出、11月には「ザラ」も2号店を開業。繊維製造大国に消費の波

③有機野菜専門店「バックトム」「ソイビエン」

 減農薬、有機栽培の野菜専門店が急増。両社の店舗数は16年比倍増の40店に

【ミャンマー】
①スズキ「エルティガ」「シアズ」
 右ハンドル車の輸入規制で現地生産の左ハンドル車が売れる。税制優遇も追い風。

②ウーバーのタクシー配車アプリ

 配車アプリのウーバーがライバルのグラブに対抗するために開始。タイにも広がる

③ヤンゴン水上バス
 交通渋滞対策の一環として10月に開始。通勤だけでなく観光に利用する人も

(アジア総局・支局)

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日経新聞 経済「フリー経済と物価ファースト」=物価低迷の「謎」探す=

2017年12月25日 06時24分11秒 | 経済
日経新聞 2017年12月19日(火) P.21 マーケット総合2面
連載コラム『大機小機』

『フリー経済と物価ファースト』

 「物価さえ上がればなあ」。

日が差し始めた景気を見ながら、黒田東彦日銀総裁はそんな気分ではないだろうか。

 欧米のセントラルバンカーたちも同じ心境のようだ。

米連邦準備理事会(FRB)のイエレン議長は物価低迷を「ミステリー」と語り、次期議長のパウエル氏も「驚きだ」という。

欧州中央銀行(ECB)のドラギ総裁も物価目標達成に「忍耐が必要だ」と語る。

 先進国共通の物価低迷の犯人は誰か。

構造的需要不足、途上国安値品の氾濫・・・・・・など諸説あるが、ここへきて聞こえてくるのがデジタル革命容疑説である。

 半導体・コンピュータ・インターネット技術を組み込んだデジタル財には ①技術進歩がとてつもなく速い ②限界生産コストが直ちにゼロになるーーという大きな特徴がある。

新商品が次々と登場し価格破壊が起きている。
価格ゼロのサービスも出てきた。

消費者にとっては喜ぶべきフリー経済の出現ともいえる。

 日本の消費者物価指数から過去10年間のデジタル関連商品の推移をみてみると震度の大きさがよくわかる。

カメラ、ビデオカメラ、パソコンは軒並み80%前後値下がりした。
冷蔵庫や洗濯機、掃除機、テレビなども40~70%の下落である。

機能向上分を価格換算して差し引いているが、差し引き方はなお不十分という声すらある。

 極端に安い新商品が登場すれば競合する既存商品にも下落圧力が働く。
ネットで音楽や動画が配信されればレンタルビデオやCDの料金にも下方圧力が働く。

間接効果である。
消費者物価上昇率2%目標の達成を阻む構造的要因といえる。

 日銀にとって、さらに思わぬ伏兵が現れている。
政府が打ち出した保育・幼児教育費の無償化、高等教育の一部無償化である。

 中身はまだはっきりしないが、再来年から段階的に保育園や幼稚園の保育料、授業料の免除となる公算が大きい。

財政版、フリー経済だ。
数年前、高校の授業料無償化で物価全体を大きく引き下げた。

今回の措置ではどうなるか。
特殊要因と考えるのだろうか。

 デジタル革命と人づくり革命が生む2つのフリー経済。
「物価ファースト」の日銀にとって変に悩ましい。

内部でどんな議論をしているか聞いてみたいものである。

(横ヤリ)


●関連日経記事:2017年12月23日グー・ブログ「息子たちに読んで欲しい日経記事」投稿記事参照
 日経新聞 国際『FRB、低物価「謎」解けず』=半年ぶりの利上げ=資産高騰 懸念残る=』(12月15日付)

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日経新聞 経済「GPIF、マイナス金利分を負担」=みずほ系信託 預金が重荷に=

2017年12月25日 04時51分21秒 | 経済
日経新聞 2017年12月19日(火) P.7 金融経済面
連載『Q&A』

『GPIF、マイナス金利分を負担』=みずほ系信託 預金が重荷に=
「年金受給者らに直接の影響なし」

 公的年金を運用する年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)が預金にかかるマイナス金利を負担する方針を固めた。

その理由は何か、また、どのような影響があるのだろうか。

Q:なぜマイナス金利の負担が発生するのか。

A:GPIFは預金(短期資金)をみずほフィナンシャルグループ傘下の資産管理サービス信託銀行(TCSB)に預けている。

国債などの購入資金として使えるようにしておかなければならないお金だ。
TCSBは多くを日銀の当座預金に入れて管理していた。

 2016年2月にマイナス金利政策を導入するまでは、当座預金に預けておくと銀行には年0.1%の金利が付くなどのメリットがあった。

しかしマイナス金利政策により、銀行に義務づけた準備預金の法定額を超過した一部には年0.1%の金利を銀行が払わねばならなくなった。

想定外の事態に困ったTCSBは16年からマイナス金利分を負担してほしいとGPIFに申し入れていた。

Q:銀行でなく預金者がマイナス金利を負担する例はあるのか。

A:信託業界ではマイナス金利導入後、民間の運用会社や年金基金などにもマイナス金利で生じる負担を要請しており、すでに応じている事例がある。

TCSBの業績が悪化する懸念が強まったことなども勘案し、GPIFは1年越しでマイナス金利による負担受け入れを決めたようだ。

Q:具体的にどういう形で負担するのか。

A:GPIFは預金を含む短期資産の運用者を新たに公募すると発表した。
まずはマイナス金利分の負担を少なくする方法がないか模索する。

応募する金融機関はマイナス金利分のコストを手数料に含めて提案するとみられている。

Q:年金受給者や保険料を払う現役世代に負担は生じるのか。

A:直接の影響はない。

GPIFの運用資産は156兆円で、7~9月期の運用益は4.4兆円にのぼるのに対し、マイナス金利分の負担は数十億円と見込まれている。

ただマイナス金利は運用に影響する。

マイナス金利政策が長期化すると、主要な資産である国債の金利が低い状態が続き、運用が困難になる。

運用先が株式などリスク資産に偏り、年金資産の変動幅が大きくなってしまう。
株式市場の低迷が長引けば、年金財政にも影響が出る恐れはある。

Q:マイナス金利が長引けば、銀行が一般の預金者からも手数料を取る可能性はあるのか。

A:大半の金融機関は現時点で手数料を否定している。
ただ、有望な貸出先や運用先がないのに預金が大量に集まる状況には手を焼いている。

米国では口座管理手数料を取っている。
日本でも将来に渡り、預金はタダでできるとは言い切れない。

(奥田宏二記者)


●関連日経記事:2017年12月24日グー・ブログ「息子たちに読んで欲しい日経記事」投稿記事参照
 日経新聞 経済「地銀、好況でも迫る危機」=全体の6割減益 体力低下=』(12月16日付)

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日経新聞 経済「海外REIT、今年最大の流出超」=国内株が個人の受け皿に=

2017年12月24日 09時41分38秒 | 経済
日経新聞 2017年12月16日(土) P.20 マネー&インベストメント面
連載『投資トレンド』

『海外REIT、今年最大の流出超』=国内株が個人の受け皿に=

 海外の不動産投資信託(REIT)で運用する投資信託からの資金流出が止まらない。

QUICK資産運用研究所によると、11月の設定額から解約額を差し引いた市場全体の資金流出入額が3324億円の流入超となった半面、海外REIT型は2108億円の流出超と今年最大の規模となった。

分配金引き下げの流れを受け、毎月の分配金受け取りを重視していた個人投資家による手じまい目的の売りが続いている。

 個別では「フィデリティ・USリート・ファンドB(為替ヘッジなし)」(フェデリティ投信)が1044億円の資金流出になった。

同ファンドは11月、1口当たりの分配金を35円と従来の70円から引き下げた。

海外REIT型は毎月の分配金の高さが特色だったが「(海外REITによる)利回りの確保が難しくなっており、運用益を上回る分配は限界にきている」(楽天証券経済研究所の篠田尚子氏)。

同じ海外REIT型の「新光US-REITオープン」(アセットマネジメントOne)や「ラサール・グローバルREIT(毎月分配型)」(日興アセットマネジメント)からもそれぞれ200億円を超える資金が流出した。

 海外REIT型からの資金流出額は16年11月以降、13カ月連続となる。
国内REIT型も8カ月連続の流出超と「REIT型投信離れ」が鮮明だ。

 一方、個人資金の受け皿となっているのが、株式型の投信だ。

国内株式型の資金流入額は744億円と、2016年2月(2116億円)以来の高水準だった。

海外・先進国株式型も17年1月から11カ月連続の流入超となった。

 日本株が対象の投信では「ひふみプラス」(レオス・キャピタルワークス)への流入が目立つ。

ひふみプラスは、インターネット証券各社が進める毎月積み立て型での投信購入で人気の商品だ。

米アマゾンなど米国株やキーエンスといった日本株に投資する「ロボット・テクノロジー関連株ファンドーロボテックー」(大和証券投資信託委託)も人気を集めた。

 株価上昇の継続を見込んだ、新規投信の設定も相次いでいる。

10月設定の「JPMザ・ジャパン(年4回決算型)」(JPモルガン・アセット・マネジメント)は11月、209億円の資金が流入した。

成長期待の強い中小型株の朝日インテックやペプチドリームなどを組み込んだ「いちよし ジャパン・ベンチャー・ファンド」(三菱UFJ国際投信)は143億円の流入だった。

(日経QUICKニュース)


●関連日経記事
:2017年5月8日グー・ブログ「息子たちに読んで欲しい日経記事」投稿記事参照
 日経新聞 経済「投信不信 迷うマネー」=金融庁が批判、「毎月分配」自粛=』(5月7日付)

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