日経新聞 国際「米FRB、資産縮小決定」=段階実施で波紋抑える=

2017年09月21日 18時03分23秒 | 国際
日経新聞 2017年9月19日(火) P.7 国際面
『米、資産縮小決定』=きょうからFOMC=

『段階実施で波紋抑える』

 米連邦準備理事会(FRB)は19~20日に米連邦公開市場委員会(FOMC)を開き、量的金融緩和で膨らんだ保有資産の縮小開始を決める見込みだ。

2008年のリーマン・ショック以降に踏み切った金融危機対応は、完全終結に向かう。

市場には利上げと二重の引き締め圧力がかかるが、米国債などを段階的に圧縮することで、動揺を最小限にとどめる。

 FRBは7月の前回会合後の声明で、保有資産の縮小に「比較的早期に着手する」と表明している。

ブレイナード理事ら利上げに慎重な「ハト派」のメンバーも。早期の資産縮小開始に賛意を示しており、19~20日の次回会合での正式決定が既定路線となりつつある。

 FRBは金融危機後、量的緩和第1弾(08年11月~10年3月)、第2弾(10年11月~11年6月)、第3弾(12年9月~14年10月)と、米国債などを大量に購入する異例の金融緩和に踏み切った(=市場にドルを放出した)。

バランスシートは危機前の9千億ドルから4.5兆ドルに拡大。
危機の食い止めにつなげたが、資産縮小に転じれば引き締め圧力を生むことになる。

 FRBは量的緩和による長期金利の押し下げ効果を1.05%と試算する。

膨張した保有債券をそのまま市場に放出(=し、市場からマネーを吸い上げれば市場のマネーは縮小するので)すれば、2%強にとどまる米長期金利が3%台に急騰しかねない。

そのため、FRBは保有資産の縮小を極めて段階的に進め、最終的なバランスシ-トの規模も危機前の9千億ドルではなく、2兆~3兆ドルにとどめて市場への影響を最小限する考えだ。

 FRBが量的緩和で買い入れた資産は米国債と住宅ローン担保証券(MBS)が大半だ。

6月に公表した資産圧縮計画は、開始当初の米国債の縮小額は月60億ドル、MBSは同40億ドルにとどめる。

1年後には米国債は月300億ドル、MBSは200億ドルへと徐々に増やす。

 実はFRBの保有資産のうち、18年に償還を迎える米国債は4千億ドル強と巨額だ。

17会計年度(16年10月~17年9月)の財政赤字見込みの7割にも相当し、一気にFRBが保有債権を圧縮すれば市場への影響は甚大だ。

ただ、FRBの計画では18年の保有米国債の縮小規模は2290億ドルと半分程度。

そのため、米ゴールドマン・サックスによると、18年の米長期金利の上昇圧力は0.15%程度、19年も0.1%程度と小幅にとどまる。

 課題は海外市場への影響だ。

FRBは15年末に9年半ぶりの利上げを決断したが、市場が十分に織り込んでいたにもかかわらず、年明けには世界同時株安に見舞われた。

巨額の緩和マネーが押し寄せ、新興国の資本流出入は08年~14年に1.5兆ドルの流入超となった。

それが15年、16年は逆に計1兆ドル強の流出超(=ドル高に働く)。

(米国金利が上昇すれば、新興国のマネーは米国に逆流が始まり、ドルが上昇する=)ドル建て債務を抱える新興国には重荷だ。

(ワシントン=河浪武史記者)

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日経新聞 国際「海外からの欧州企業買収 EU、審査強化」=中国念頭、技術流出を阻止=

2017年09月18日 06時49分12秒 | 国際
日経新聞 2017年9月15日(金) P.9 国際1面
『海外からの欧州企業買収』=EU、審査を強化=

『中国念頭、技術流出を阻止』

 欧州連合(EU)の欧州委員会は14日、域外企業による欧州企業の買収に対する審査強化策を発表した。

インフラやハイテクなどの産業を対象に、加盟国ごとにバラバラだった審査基準を統一する。

中国企業による欧州企業買収が増えるなか、安全保障にかかわる重要技術などの流出を防ぐ狙いだ。

 「欧州の利益にとって有害なケースがあるという事実に目を背けることはできない」。

欧州委員会で投資・成長政策を担うカタイネン副委員長は14日の記者会見で、新制度の必要性を強調した。

通商分野を担うマルムストローム欧州委員も新制度で「欧州の戦略的な利益が危機にさらされた時に、守ることができるようになる」と訴えた。

 新制度は、欧州委員会と加盟国が域外からの直接投資を安全保障や治安などの観点から審査できるようにする。

審査基準はEUで共通とする。

インフラやハイテク、安全保障などを巡って重要な情報のやり取りが生じる企業の買収を審査対象をする。

域外企業による買収に、その企業が拠点とする国がどこまで関与したかも精査する。

 欧州委員会は加盟国と連携しながら審査し、買収の賛否について意見を加盟国に提示する。

最終的に買収を認めるかどうかは加盟国が判断する仕組みとする。
今後、欧州議会と加盟国の承認を経て早期の導入を目指したい考えだ。

 新制度導入の背景にあるのは、中国企業による買収の増加だ。
中国家電大手の美的集団は16年、ドイツの産業用ロボット大手クーカの買収を発表。

クーカはドイツが進める製造業の革新プロジェクトを主導しており、技術流出への懸念が広がった。

独政府はフランスなどとともに欧州委員会に外資規制の強化を迫っている。

▼中国勢による主な欧州企業の買収事例
【(欧州企業)独クーカ 〈産業用ロボット〉】=(買収した中国企業・ファンド)美的集団〈家電大手〉: (時期)2017年1月買収完了

【独アイクストロン〈半導体製造装置〉】=投資ファンド : 最終的に買収断念

【独テック4エアロ〈航空機製造設備〉】=上海電気集団〈国有重電大手〉 :16年10月買収完了

【イタリア・ピレリ〈タイヤ〉】=中国化工集団〈国有化学大手〉 :15年買収完了

【スイス・シンジェンタ〈農薬・種子〉】=中国化工集団〈国有化学大手〉 :17年6月買収完了

(ブリュッセル=森本学記者)

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日経新聞 国際「ロシア軍事演習 欧州威嚇」=東欧、部隊駐留に警戒=

2017年09月18日 05時27分41秒 | 国際
日経新聞 2017年9月15日(金) P.9 国際1面
『ロシア軍事演習 欧州威嚇』

『冷戦後最大10万人の見方』=東欧、部隊駐留に警戒=

 ロシアは14日、同国北西部とベラルーシ一帯でベラルーシとの大規模な合同軍事演習を開始した。

北大西洋条約機構(NATO)や欧州諸国は10万人規模の部隊が参加する冷戦後最大級の軍事演習になるとみており、前線に位置する東欧は警戒を強めている。

ロシアは欧州との緩衝地域と位置づけるベラルーシを取り込み、欧州を威嚇(いかく)する狙いと見られる。


 ロシアは「ザーパド(西)」と呼ばれるベラルーシとの合同軍事演習を4年ごとに実施している。

今回の演習はベラルーシと、ポーランドとリトアニアの間に位置するロシアの飛び地カリーニングラード州が敵国から支援を受ける「テロリスト」に侵略されたという想定で、20日まで続く。

 ロシア側の発表では、同国軍5500人、ベラルーシ軍7200人が参加。
戦車約250両、空軍機70機、バルト艦隊10隻を投入するとしている。

ロシア軍は14日「防衛を目的とした演習であり、特定の敵は想定していない」と強調した。

 これに対し、欧州諸国はロシアの発表を大きく上回る部隊が投入されるとみる。

ドイツのフォンデアライエン国防相やエストニア政府はロシア軍「10万人以上」が投入されるとの見方を示した。

ロシア軍は同国からベラルーシへの軍装備や部隊の輸送に4000両を超える鉄道貨車を使ったとの情報もある。

 ロシアも参加する欧州安保協力機構のウィーン議定書では、1万3千人以上の部隊が参加する軍事演習は他国からの監視団に公開し、透明性を確保することを義務付けている。

NATOのストルテンベルグ事務総長は6日、NATOの専門家監視団が3人しか認められなかったと批判した。

 前回13年のザーパド演習ではロシアの公式発表の6倍にあたる7万5千人の部隊が投入されたとされる。

ロシアは翌年、ウクライナに侵攻し、クリミア半島を併合、同国東部にも軍事介入した。

08年にはロシア南部カフカス地方で大規模な演習を実施した後にジョージア(グルジア)に侵攻した。

 ロシアはウクライナ東部への介入を続けながら、欧米に対する威嚇行動を繰り返し、緊張をあおるやり方で欧州諸国を分断しようとしてきた。

来年3月には大統領選を控えており、今回の演習で国内向けにNATOに対抗する大国ぶりを演出する思惑もありそうだ。

 演習後にベラルーシに軍装備を残し、部隊を駐留させ、ベラルーシの支配を強めるロシアの狙いを指摘する声もある。

ベラルーシのルカシェンコ政権は欧州とロシアをてんびんにかける外交を展開し、ロシアから一定の独立性を維持してきた。

ウクライナのポロシェンコ大統領は「演習後に部隊がロシアに戻る保証はない」と警戒感をあらわにしている。

 ロシアのウクライナ侵攻を機にNATOはバルト3国(エストニア、ラトビア、リトアニア)とポーランドに4000人規模の部隊を駐留させた。

NATO側も東欧で軍事演習を展開し、ロシアへのけん制を強めている。
双方が反応し合い、緊張が高まっている面もある。

(モスクワ=吉川英治記者)


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日経新聞 国際「中国、仮想通貨取引所 閉鎖へ」=ビットコイン3割安=

2017年09月18日 03時57分10秒 | 国際
日経新聞 2017年9月15日(金) P.7 金融経済面
『仮想通貨取引所 閉鎖へ』=中国、月内に=

『ビットコイン3割安』

 中国の仮想通貨取引所が9月末までに閉鎖する見通しだ。

大手の一角「BTCチャイナ」が14日付で口座開設の受付を終了、月末であらゆる取引を停止すると発表した。

メディアの第一財経(電子版)は同日、上海市の金融当局が複数の取引所に9月末までの閉鎖を通知したと報じた。

報道を受けビットコイン価格は急落している。

 ビットコインの価格は取引所によって差が大きいが、BTCチャイナは一時1万7千元を割り込み、取引停止の発表前に比べ3割超下落。

他の大手取引所である「OKコイン」「火幣」でも2万元前後まで下げている。

 共産党首脳の人事を決める党大会を10月に控え、中国は金融市場の安定を重視すると繰り返し強調している。

 にもかかわらず取引所閉鎖に動き出すのは、仮想通貨を通じ中国国内の資金が対外流出しているとの見方があり、その防止を優先したためとみられている。

資金流出が続けば人民元安を誘導し、金融システムを不安定にする恐れがあるためだ。

 13日には中国インターネット金融協会が「仮想通貨は資金洗浄や違法な資金集めの温床になっている」とも非難した。

 中国は4日、企業がトークンと呼ぶ代用コインを発行し資金を集めるICO(イニシャル・コイン・オファリング)を禁止すると発表していた。

前週末には当局が取引所を閉鎖する方針を固めたとの報道も伝わり、今後、上海以外にも閉鎖の動きは広がる見通しだ。

 OKコインやBTCチャイナなどは当局の決定に従うと表明し、「相対取引が可能であれば、情報提供などを手がけていきたい」という。

ただ、取引所の閉鎖前に換金しようとする売りが膨らみ、ビットコインキャッシュなど他の仮想通貨も大幅に下落している。

(上海=張勇詳記者)


●関連日経記事:2017年9月12日グー・ブログ「息子たちに読んで欲しい日経記事」投稿記事参照
 日経新聞 開発「危ういICOの錬金術」=VC超えすでに1900億円=』(9月9日付)


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日経新聞 国際『「投資外交」で勢い増す中国』=米ユーラシア・グループ社長 イアン・ブレマー氏=

2017年09月18日 02時49分15秒 | 国際
日経新聞 2017年9月15日(金) P.6 オピニオン面
連載コラム『グローバルオピニオン』

『「投資外交」で勢い増す中国』

 ある国が国際社会において、自らの権益を主張する方法は数多くある。

軍事力を誇示する国や破壊活動をする国、こけおどしの文句を並べる国もある。

中国の場合はアジアやアフリカ、中南米、欧州においてさえ投資をテコに、困っている政府から望むものを得ようとしている。

 最も明白なのはアジアだ。
米国とパキスタンの関係は近年大幅に悪化したが、多くの理由がある。

トランプ米大統領とインドのモディ首相の良好な関係が、パキスタン政府に中国との関係強化に動く格好の口実を与えた。

中国の対パキスタン投資は勢いを増した。

 中国の経済圏構想「一帯一路」の一環である550億ドル(約6兆円)規模の中国・パキスタン経済回廊プロジェクト(CPEC)はパキスタンに成長をもたらし、必要とされる雇用を作り出している。

中国はパキスタン南部グワダル港の開発を認められ、インド洋での存在感を高めるだろう。

 中国は(人権問題などに関する)欧米の批判に反発するフィリピンのドゥテルテ大統領に、開発が遅れている同国のインフラ構築を支援すると約束した。

現時点で中国はあまり多くのことを実行していない。

だがドゥテルテ大統領は支援の約束を取り付けただけでも納得し、中国やフィリピンなど複数の国が領有権を主張する南シナ海について、中国の進出への抗議を控えることにした。

東南アジア諸国連合(ASEAN)の加盟国には親中の姿勢を取る国も多いが、フィリピンも加わった。

 マレーシアのナジブ首相も、南シナ海への中国の進出に対する抗議から手を引いたようにみえる。

同国も道路や橋、特に鉄道への投資を必要としているからだ。

国営投資会社「1MDB」を巡る資金の流用疑惑などもあり、財政が悪化しているからでもある。

 中国は長年、豊富な資金を利用してアフリカにおける影響力を強化してきた。
習近平国家主席は今後数年間で、さらに数十億ドルの支援を約束しているという。

中国は影響力を一段と強めるため、北京を拠点とするメディア「スタータイムズ」を通じ、アフリカ30カ国の家庭に向けたテレビ放送などで中国の世界観を伝えている。

 中国など主要新興国5カ国で構成するBRICS首脳会議の加盟国、南アフリカは、アフリカ南部15カ国で構成する南部アフリカ開発共同体(SADC)への入り口を提供した。

SADCは中国(=約13億人)の成長を支える天然資源へのアクセスと、中国のアフリカ地域への政治的な影響力を強める機会を与える。

中国は南アフリカにとって最大の貿易相手国で、両国は2015年に65億ドル相当の商談に合意しているという。

 南アフリカ政府は中国の投資に報いるためか、チベット仏教の最高指導者、ダライ・ラマ14世の訪問を拒否している。

ダライ・ラマ14世は中国では外交上「ペルソナ・ノン・グラータ(好ましからざる人物)」だが、南アフリカでも09年以降、入国を3回拒否されたようだ。

 ケニアのケニヤッタ大統領は、5月に北京で開かれた一帯一路の国際フォーラムに招かれたアフリカ首脳のうちの1人だ。

ケニアは一帯一路の海上ルートの一部として、中国のインフラ投資の主要受け入れ国になると予想される。

中国はすでにケニアの首都ナイロビと貿易港モンパサを結ぶ高速鉄道を建設している。

ケニア政府は感謝の意を示すため、中国の南シナ海の領有権主張に対する支持を表明し、国際通貨基金(IMF)の特別引き出し権(SDR)への人民元組み入れも支持したようだ。

 中国はかなりの時間と資金をかけて、中南米での影響力の強化にも動いている。
中国はブラジルなどにとって最大の輸出市場になった。

ボリビアは、中国からの輸入がどの国より多くなっている。

同様の状況のパナマは6月、台湾と断交して中国と国交を結び、中国に外交的な勝利をもたらした。

 中国は欧州のギリシャにも投資するようになった。

債務危機に陥ったギリシャは、欧州連合(EU)から押し付けられた緊縮財政と厳しい批判にうんざりしている。

ギリシャは一帯一路の構想を通じ中国の投資を得た。
今では中国の国有企業が、ギリシャ最大のピレウス港を運営する。

EUは6月、国連の人権理事会で中国の人権状況を非難する声明を取りまとめようとしたが、ギリリシャの反対で阻止された。

ギリシャは、中国の南シナ海の領有権主張に対しても支持を表明しているようだ。

 ギリシャのある政府高官は8月、「欧州はギリシャを中世の吸血鬼のように扱うが、中国はお金をどんどん持ってきてくれる」と語った。

米国やEUなどは、ある国がどうしても必要とするプロジェクトへの投資の条件として、政治行動まで変えさせようとする。

米国やEUが学ぶべき教訓が、ギリシャの高官の発言に込められている。

トランプ大統領は米国の力を吹聴するものの、巨額の小切手を切ることに関心はないとはっきり述べている。

中国のやり方は、次にどこで成功するだろうか。

▼Ian Bremmer
世界の政治リスク分析に定評。

著書に「スーパーパワーーーGゼロのアメリカの選択」など。
47歳。

ツイッター@ianbemmer

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日経新聞 国際「アマゾン、米食品スーパー買収 即値下げ」=ウォルマート株は下落=

2017年09月17日 09時58分16秒 | 国際
日経新聞 2017年8月30日(水) P.13 企業総合面
『ビジネスTODAY』=アマゾン生鮮品 初陣=

『米食品スーパー買収 即値下げ』=ウォルマート株は下落=

米ネット通販最大手アマゾン・ドット・コムによる米食品スーパーのホールフーズ・マーケットの買収が28日、正式に完了した。

ホールフーズの店頭では商品を最大で43%値下げするなど、アマゾンは買収効果をすぐさまアピールした。

価格競争が激化する懸念から競合スーパーの株価は軒並み下落。
アマゾンは生鮮品でも業界を揺るがし始めた。


「Farm Fresh!(とれたて)」。
28日朝、全米に約450店あるホールフーズの店舗入り口にこんなのぼりが立った。

山積みにされていたのはアマゾン製の音声認識スピーカー「エコー」。
アマゾン傘下入りを来店客に印象づける試みだ。

ただ売り場ではもっと大きな変化が起きていた。

 アマゾンはこの日、ホールフーズでの生鮮品を中心とした一部の商品の価格を大幅に引き下げた。

以前に比べリンゴは33%、バナナは30%の値引き。
米メディアの調べでは最大で43%の値下げがあったという。

「やればできるじゃないの」。
ニューヨーク、マンハッタン市内の店舗で買い物を終えた30歳代女性は満足げだ。

 ホールフーズが扱う有機野菜や産直の肉や魚などは多くの消費者にとり割高なぜいたく品。

その敷居をアマゾンは1兆5000億円を投じた買収であっさり下げた。

カリフォルニア州パロアルト市の店舗の店員は「商品の再値上げはないよ。 うちは高い価格が問題視されていたからね」と話す。

 8000億ドル(約87兆円)規模とされる米食品スーパー市場でホールフーズのシェアは1~2%にすぎない。

ただアリックス・パートナーズの消費担当アナリスト、デビッド・ガーフィールド氏は「値下げ幅が大きく他社の顧客を奪う可能性がある」と明言する。

 アマゾンの先制パンチは競合する他社の株価にも及んだ。

28日、米小売り最大手ウォルマート・ストアーズや食品スーパー最大手クローガーなどの株価が軒並み下落した。

小売り各社の利幅がさらに低下することを懸念した動きだ。

 アマゾンは値下げの原資を明らかにしていない。
世界首位のクラウド事業で出した利益などを流通業に振り向けるとみられる。

ガーフィールド氏は「小売りだけに頼る既存他社と比べアマゾンは圧倒的に有利」と話す。

 今後、アマゾンはホールフーズの店頭にネット通販の商品を受け取ったり返品できたりする専用ロッカーを設置する。

店舗を配送拠点として使い生鮮品の宅配事業をてこ入れしようとしている。

 競合他社もアマゾン対策に余念がない。

ウォルマートは全米4700の店舗網を生かし、産直品の仕入れ充実やネット注文品の店舗受け取りサービスの拡大を進める。

ダグ・マクミロン最高経営責任者(CEO)は「テクノロジーは全ての答えではない」と言う。

 ただアマゾンのホールフーズ買収の狙いはネットの弱点を補うこと。

地域の顧客・仕入先の囲い込みや鮮度管理など、実店舗の強みを着々と取り入れるとの見方がもっぱらだ。

クローガーの株価が今年に入り4割弱下落するなど、対抗策を打ち出せない既存の流通業は追い込まれている。

 「これはほんの始まりに過ぎない」。
アマゾンは28日、自社サイトにこんなメッセージを掲げた。

ネットとリアルの融合がもたらす新たな競争。
日本勢も対岸の火事ではない。

(シリコンバレー=中西豊紀記者)


●関連日経記事
:2017年6月28日グー・ブログ「息子たちに読んで欲しい日経記事」投稿記事参照
 日経新聞 海外メディア「アマゾン、小売りの極みへ」=英FTチーフ・コメンテーター J・ギャッパー氏=』(6月26日付)

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日経新聞 国際「北朝鮮国籍の口座停止」=中国大手銀、米制裁を回避=

2017年09月15日 09時08分10秒 | 国際
日経新聞 2017年9月13日(水) P.9 国際2面
『北朝鮮国籍の口座停止』=中国大手銀、米制裁を回避=

 中国の中国銀行など大手国有銀行が8月末までに、外交官を含むすべての北朝鮮国籍を持つ人の口座取引の大半を停止した。

北京の北朝鮮大使館などを通じて事前に預金を引き出すよう通知した。

米国の金融制裁の対象となるのを避ける狙いや、核・ミサイル開発を続ける北朝鮮に厳しい姿勢を示す思惑があるとみられる。

 中朝関係筋によると中国銀行のほか中国工商銀行、中国建設銀行、中国農業銀行が昨年から段階的に口座取引を制限し、今年8月末までに入金や送金などのサービスを止めた。

米国は6月、北朝鮮との不正取引に関与したとして中朝国境地帯にある丹東銀行に独自制裁を科しており、中国の他の銀行への波及を警戒する声があった。

ただ、中国にいる北朝鮮人は現金での取引を多用しているとされる。
口座取引停止が北朝鮮に与える影響への期待は大きくない。

(北京=永井央紀記者)

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日経新聞 国際「石化市場、価格競争時代に」=シェール由来の生産開始=

2017年09月14日 09時05分52秒 | 国際
日経新聞 2017年9月12日(火) P.23 マーケット商品面
連載『ぷりずむ』

『石化市場、価格競争時代に』=シェール由来の生産開始=

 石油化学市場が本格的な価格競争時代に突入しつつある。

米化学大手、ダウ・ケミカルは9月、安価なシェールガス由来の石化生産を開始。

石化市場で従来のナフサ(粗製ガソリン)由来と並び、シェールガス由来の製品が本格的に供給される。

今後の価格競争に対し、国内石化メーカー各社は身構えている。

「国内石化製品の値下がり要因になりかねない」。
三菱ケミカルの岡本純一取締役は、こう警戒感を示す。

 ダウ・ケミカルは今月、プラスチック基礎原料エチレンの生産で、主原料にシェールガスから採取されるエタンガスを活用した年150万トンの新工場を稼働させる。

日本の年間エチレン生産量の4分の1にあたる。

これを皮切りに、ほかの企業も今後、北米で100万トン規模の工場稼働を相次ぎ計画している。

 現在、エチレンはナフサを原料に使うのが主流だ。

エチレンの世界生産量約1億7000万トンの6割がナフサからで、2割がエタンガスを原料に使う。

ただ、エタンガス由来の生産が増えれば、この構図が大きく変わる可能性がある。

 日本国内の石化製品の市況にも大きな影響を与える。
国内で取引される石化製品の価格は、ナフサ価格に連動して決めるのが一般的だ。

ただ、エタンガス由来のエチレン生産が増えれば、ナフサが余るのは確実視されており、ナフサ安を通じて国内の石油価格に下押し圧力がかかるからだ。

 エタンガス由来のエチレンはナフサ由来よりもただでさえ割安だ。
国内石化各社は日本ではエタンガスからエチレンを生産する設備を持たない。

「需要が縮小傾向にある国内市場でガス原料の新設備をつくるのは費用対効果が合わない」(石化大手)。

価格競争で苦戦を余儀なくされる「悪夢」に、国内各社は対応を迫られそうだ。

(島)

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日経新聞 国際『米ハリケーン「イルマ」 停電拡大』=オレンジ果汁が高値=

2017年09月14日 00時09分15秒 | 国際
日経新聞 2017年9月12日(火) P.9 国際2面
『米ハリケーン 停電拡大』=「イルマ」上陸=

『オレンジ果汁が高値』

 大型ハリケーン「イルマ」が10日、米南部フロリダ州に上陸した。

11日朝にはハリケーンから熱帯低気圧に勢力を落としたが、停電被害は拡大し、現地では復旧作業が続く。

収穫悪化懸念でオレンジ果汁などの国際商品市況が上がったほか、現地販売店への出荷を中止する日本企業も出てきている。

 イルマを巡る経済損失は最大2千億ドル(約21兆円)にのぼるとの推計もあったが、勢力が弱まったため、最悪のシナリオは回避できる見通し。

米メディアなどでは、経済損失が1千億ドル規模を下回る水準に収まるとの見方も出ている。

 10日朝にイルマが上陸した米フロリダ州南端キーウェストでは大雨や強風で道路が冠水するなど大きな被害が出た。

米メディアによると、フロリダ州内の600万戸近くで停電の被害が出ている。

米紙ニューヨーク・タイムズは11日、これまでにフロリダ州内で少なくとも4人が死亡したと報じた。

 トランプ大統領は10日、ホワイトハウスで記者団に「(イルマへの対応は)とてもうまくいっているが、難しいのはこれからだ」と指摘。

近く現地を視察する考えを示した。

 ハリケーンの被害懸念の拡大は国際商品市況に波及している。

オレンジ果汁の国際指標となる米インターコンチネンタル取引所(ICE)の先物価格は直近安値だった8月下旬と比べて2割上昇。

4カ月ぶりの高値をつけた。
繊維原料となる綿花の国際価格も、産地の直撃が見込まれ上昇した。

 一方、原油価格は下落。

WTI(ウエスト・テキサス・インターミディエート)原油先物は日本時間11日夜の時間外取引で1バレル47ドル台と、前週の高値に比べ3%安い水準。

「経済活動の停滞による需要減が意識されやすい」(野村証券大越龍文シニアエコノミスト)

 日本企業にも影響が出ている。
SUBARU(スバル)、マツダが米フロリダ州の販売店への新車の出荷を中止。

スバル車を扱う販売店が同州に約30あるが、一部休業に追い込まれたという。

(ニューヨーク=平野麻理子記者)


●関連日経記事
:2017年9月11日グー・ブログ「息子たちに読んで欲しい日経記事」投稿記事参照
 日経新聞 国際「米ハリケーン襲来、貴金属・非鉄相場にも波及」=パラジウム高値、金は下落=』(9月8日付)

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日経新聞 国際「韓国企業 中国で苦境」=ロッテ:スーパー縮小検討/現代自:「合弁解消」が浮上=

2017年09月13日 23時09分39秒 | 国際
日経新聞 2017年9月12日(火) P.9 国際2面
『韓国企業 中国で苦境』=THAAD追加配備 影響か=

『ロッテ:スーパー縮小検討』=現代自:「合弁解消」が浮上=

 韓国が追加配備した米軍の地上配備型ミサイル迎撃システム
(THAAD)を巡り、これに反発する中国での韓国企業の苦境が一段と深まっている。

ロッテグループはスーパー事業の縮小を検討。

現代自動車グループは中国メディアによる「合弁解消を検討」との報道で揺さぶられている。

中国側による政治的に対立する国の企業への報復とも取れる措置が、事業戦略の見直しを余儀なくし始めた。


 スーパー「ロッテマート」を中国で約100店舗運営する韓国ロッテグループの幹部は11日、約9割の店舗が休業する現状について「経営環境に合わせて随時見直すのは当たり前」と述べ、事業規模の縮小を検討していると明かした。

 これに先立ち韓国紙・朝鮮日報は、ロッテ関係者の話として「最大でロッテマートの半分を中国企業に売却する方針」と伝えていた。

中国に進出する韓国の流通業で最大のロッテが縮小に動けば、中国市場を成長の柱に据えてきた韓国企業の戦略は大きな転換点を迎える。

 ロッテマートの中国従業員数は1万人前後とされ、休業中の従業員にも給与の一部を払うために人件費負担が膨らむ。

2017年に中国で1兆ウォン(約960億円)の営業赤字を計上するとの報道もある。
韓国同業のイーマートも中国撤退を表明し、タイの大手財閥と店舗の売却交渉中だ。

 中国はロッテグループが韓国南部のゴルフ場をTHAADの敷地用に韓国国防省に提供すると2月に決めたのを機に「経済報復」を始めた。

同社に対して消防法や衛生上の問題などを理由にスーパーの営業停止を指示。
中国人の団体客の韓国旅行も事実上禁じた。

さらに国営メディアを通じてTHAADには中国の国防力を削る狙いがあると訴え、中国の消費者が韓国製品を遠ざけるよう促したとされる。


 「現代自動車との合弁解消を検討している」。

中国共産党系メディアの環球時報(英語版)は、現代自と合弁を組んでいる北京汽車集団の幹部の発言を伝えた。

折半出資の合弁会社、北京現代汽車がコスト削減のために部品調達先を現代自系から中国メーカーに変更しようとした際、現代自側が認めないなど現地に柔軟な姿勢を示していないことが原因だという。

 一般的に中国の合弁契約は長期間で、変更するのは容易ではない。

現状では「合弁解消が目的ではなく、合弁の条件を中国側が改善するための駆け引きではないか」(中国メーカー幹部)との分析が優勢だ。

北京汽車側には合弁の主導権が現代自にあることの不満もくすぶっているもようで、主導権を巡る対立が深まる恐れがある。

 1~7月の現代自の中国での販売台数は前年同期比で45%減った。

同社はグループの起亜自動車を含む今年の中国販売目標をこれまでに2度引き下げ、現在は前年実績比3割減の117万台とされる。

ただ、これさえも達成を危ぶむ声がある。

 韓国紙・毎日経済新聞は、THAADの問題で韓国企業の業績が軒並み落ち込む状況を「悪夢」と指摘。

「中国市場からどんどん締め出されている」と韓国企業の苦闘ぶりを伝えている。

 中韓は自由貿易協定(FTA)を結んでいる。
FTAは関税の撤廃・削減のほか、相手国からの投資を促進する投資保護協定を含む。

外国の投資であることを理由に差別的に扱うことや、投資財産の収容の禁止などが盛り込まれる。

韓国内には、中国の振る舞いはこの合意に反するとの見方がある。


 「世界貿易機関(WTO)のルール違反じゃないか」。

韓国の大手財閥幹部はこう指摘し、WTOへの提訴を含め政府が中国政府に改善を働きかけるべきだと訴える。

 韓国経済に詳しいソウル大の朴相仁教授は「WTOへの提訴は中国人の嫌韓感情を刺激することになり、効果的ではない。 韓国は革新技術を自ら生む出して競争力を高める意識の改革も必要だ」と指摘している。


▼中国に強い韓国主要企業の営業利益は大幅減少

【(企業名)現代自動車】:(17年4~6月期)1兆3444億ウォン/(前年同期比)24%減

【ロッテショッピング(スーパー)】: 873億ウォン / 49%減
【アモーレパシフィック(化粧品)】: 1016億ウォン / 58%減

【オリオン(製菓)】: 190億ウォン / 31%減

(ソウル=山田健一記者、北京=多部田俊輔記者)


●関連日経記事
:2017年4月13日グー・ブログ「息子たちに読んで欲しい日経記事」投稿記事参照
 日経新聞 国際『中国「嫌韓」不買広がる』=現代自の販売、3月半減=』(4月12日付)

●関連日経記事
:2017年9月8日グー・ブログ「同上」投稿記事参照
 日経新聞 国際「現代自: 中国・部品調達難で1工場再停止」=中国リスクを再認識=』(9月6日付)

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