サンケイスポーツ スポーツ「錦織、A組2位で4強! 次戦は対ジョコビッチ」=2016ATPツアー・ファイナル=

2016年11月19日 09時43分43秒 | スポーツ
サンケイスポーツ 2016年11月19日(土) 電子版

 男子テニス・ATPツアー・ファイナル第6日(18日、ロンドン)年間成績上位8人による今季最終戦。単の1次リーグA組の最終戦で世界ランキング1位のアンディ・マリー(29)=英国=が、同3位のスタン・バブリンカ(31)=スイス=に6-4、6-2でストレート勝ち、3連勝で同組1位が確定した。

この結果により、同ランク5位の錦織圭(26)=日清食品=が同組2位となり、準決勝進出が決まった。

 2年ぶりとなる錦織の4強入りは、1次リーグ最終戦となるチリッチとの対戦を前に決まった。

 世界ランク1位のA・マリーが同3位のバブリンカに勝利。

これによって、たとえ錦織がチリッチに負けてバブリンカを加えた3人が1勝2敗で並んでも、セット奪取率から、錦織のA組2位が確定した。

 同時に、B組1位を決めていたジョコビッチとの準決勝も決まった。
前世界1位でファイナル5連覇を狙うジョコビッチとは過去2勝10敗。

ただ相手は7月末以来、優勝がないなど元気がない。

 錦織は16日に、マリーと3時間20分のツアーファイナル史上最長試合を戦った。

世界ナンバーワンを相手に引けを取らないパフォーマンスを示しており、2014年全米オープン準決勝以来の金星を手にするチャンスは十分にある。

▲ATPツアー・ファイナル

 男子プロテニスツアーの年間最終戦で、シーズンの獲得ポイント上位8人が出場できる。

1次リーグは2組に分かれ総当たり戦で行われ、各組上位2人が準決勝に進出。

すべて3セットマッチのタイブレーク方式で行われ、トーナメント方式で年間王者を決める。

 賞金総額は750万ドル(約8億円)。

出場するだけで賞金17万9000ドル(約1900万円)がもらえ、1試合勝つごとに、予選は17万9000ドル(約1900万円)、準決勝は54万5000ドル(約5900万円)、決勝は113万ドル(1億2000万円)とポイントが与えられる。

全勝で優勝した場合、賞金は239万1000ドル(約2億6000万円)。
単はジョコビッチ(セルビア)が4連覇中。

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日経新聞 スポーツ「バドミントン男子世界2位・桃田、賭博でリオ絶望的」=嘆かわしい選手の無自覚=

2016年04月09日 06時25分19秒 | スポーツ
日経新聞 2016年4月8日(金) P.37 スポーツ面
『桃田、賭博でリオ絶望的』

『世界ランク2位』=バドミントン男子=

 バドミントン男子シングルスで世界ランキング2位の桃田賢斗と、ロンドン五輪代表の田児賢一(ともにNTT東日本)が東京都内の違法カジノ店に出入りし、賭博(とばく)を行っていたことが7日、明らかになった。

日本男子のエースとしてリオデジャネイロ五輪でのメダル獲得が有望視されていた桃田について、日本バドミントン協会は五輪出場に否定的な見解を表明、リオ五輪出場は絶望的となった。

(本文略)

『嘆かわしい選手の無自覚』

 バドミントン界はやっと育った男子の金メダル候補を失うことになる。

日本協会の銭谷専務理事は「一般社会人としての法令順守の意識が選手にあまりに欠如していた。 本当に申し訳ない」と謝罪しながら、涙で言葉を詰まらせた。

自業自得(じごうじとく)といえばそれまでだが、桃田はショックで所属企業での聴取も満足にできない状態だという。

 国内のカジノは暴力団など裏社会との関係も取りざたされる違法な組織。
その認識がありながら出入りしたことを2人とも認めている。


ここと関わればスポーツをどん底へとおとしめる八百長につながる可能性が高まる。
五輪の道を断たれる厳しい処分になるのは仕方ないだろう。

 20年五輪・パラリンピックに向け、選手強化のために国から巨額の補助金が投じられる。

資金は強化において不可欠な海外遠征・合宿の経費に回るが、桃田らの行為は「賭博に使う金があるなら自分で払え」という意見を招きかねない。

日本オリンピック委員会(JOC)は再発防止のため各競技団体への指導を徹底するという。

 違法と知りながら、桃田も田児もこれほど深刻な事態になると自覚がなかったことが悲しい。

桃田は自分の活躍がバドミントンの普及や、第二の故郷である福島の震災復興のアピールにつながるとも口にしていた。

では、日本を代表するアスリートの愚かな行為は何を招くのか、しっかりと向き合ってもらいたい。

再び世界と戦う日を迎えるためにも。

(北川和徳記者)









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日経新聞 スポーツ『ラグビーの「母国」再生』=ジョーンズ監督、就任4カ月で=

2016年03月16日 05時34分58秒 | スポーツ
日経新聞 2016年3月15日(火) P.37 スポーツ面
『ラグビーの「母国」再生』=ジョーンズ監督、4カ月で=

『イングランド、欧州6カ国対抗制す』

 ラグビーの欧州6カ国対抗で13日、全日本代表ヘッドコーチのエディ・ジョーンズ監督が率いるイングランドが最終戦を待たず、開幕4連勝で5年ぶりの優勝を決めた。

地元開催だった昨年のワールドカップ(W杯)で1次リーグ敗退に終わったラグビーの「母国」再建を託され、就任4カ月で新たな勲章を手にした。

 堅固な防御とセットプレーの安定感を短期間で植え付け、56歳のオーストラリア人監督は「改革を恐れず、素晴らしい成果を成し遂げた。 選手たちが個性を生かしたスタイルを貫いてくれた」と喜びを語った。

新主将にかみつきや頭突きなど過去の度重なる暴力行為を問題視されたフッカーのハートリーを指名し、新戦力も積極起用。

W杯で南アフリカ戦の歴史的勝利など日本を3勝に導いた手腕で立て直した。

 開幕戦でスコットランドに快勝し、第3戦で前回覇者アイルランドを振り切ると、12日はW杯1次リーグで逆転負けしたウェールズに25-21で雪辱(せつじょく)。

北半球で唯一、W杯優勝経験のあるイングランドに初の外国人監督として迎えられ、19日のフランスとの最終戦に敵地で勝てば2003年以来のグランドスラム(全勝優勝)となる。

「われわれはまだ大きな仕事が残っている。 満足感はない。 欧州を完全制覇し、底力を証明したい」と次なる目標を掲げた。

(ロンドン=共同)

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日経新聞 スポーツ「ジョーンズ氏、イングランド代表監督決定」=初の外国人監督=

2015年11月22日 12時16分55秒 | スポーツ
日経新聞 2015年11月21日(土) P.40 スポーツ面
『イングランド監督決定』=ジョーンズ氏=

 ラグビーのワールドカップ(W杯)イングランド大会で日本代表を南アフリカ戦勝利など3勝に導いた55歳のエディー・ジョーンズ前ヘッドコーチ(HC)が、イングランド代表監督に就任することが決まった。

契約期間は4年。
同協会が20日発表した。

イングランド代表では初の外国人監督となる。


 ジョーンズ前HCは、W杯後に世界最高峰リーグ「スーパーラグビー」のストーマーズ(南アフリカ)監督に就任したが、契約解除でストーマーズとイングランド協会が合意した。

 イングランド代表は地元開催だった今年のW杯で1次リーグ2勝2敗。

決勝トーナメント進出を果たせず、スチュアート・ランカスター監督が大会後に辞任していた。

(ロンドン=共同)


『ラグビーの母国、新天地に』=「初の外国人監督」に腕まくり=
 「コーチ人生で一番失望した」とジョーンズHCが話すのが2003年W杯オーストラリア大会。

開催国の監督として優勝を期待されながら決勝でイングランドに敗れた。

 「もう一度、開催国の監督でW杯を」という思いは強かったようだ。

新国立競技場の計画見直しのため、19年W杯の開催国が日本から南アに移る可能性があった8月、「ジョーンズ氏は南アの監督就任を狙っているようだ」と関係者数人は話していた。

続投の既定路線が一転、日本代表HCの退任が決まったのもこの時期。
9月末に19年W杯の日本開催が再確認されると、再び日本の指揮への関心を示してもいる。

 揺れる知将の獲得に参戦したのがイングランド協会。

手腕が疑問視されるランカスター監督の後任として、数カ月前からジョーンズ氏側に接触していたともいわれる。

「母国」初の外国人監督という名誉に本人の気持ちも傾いたのだろう。
日本がまだW杯を戦っている10月上旬には、就任への意欲をにおわすコラムを英紙に寄稿。

両者の思惑が一致し、南アのクラブとの契約を破棄しての転身となった。

 年俸は約9千万円と報じられ、世界最高額との見方もある。
名声も実入りも抜群の分、任務の難易度は高い。

国内リーグの日程は詰まっており、日本のような長期合宿は張れない。
選手、関係者との衝突を辞さない指導法が受け入れられるかも分からない。

ただ、日本を強くした情熱と知識は本物。
4年後に再来日するとしたら、どんなチームを見せてくれるだろうか。

(谷口誠記者)

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日経新聞 スポーツ「選手を『チーム』で支える」=ボロテリー スタイル=

2015年05月27日 16時33分20秒 | スポーツ
日経新聞 2015年5月26日(火) P.41 スポーツ面
連載『ボロテリー スタイル』=選手を「チーム」で支える=

 テニスの全仏オープンが開幕した。

世界ランク1位のノバク・ジョコビッチ(セルビア)が大本命だけれど、ラファエル・ナダル(スペイン)を侮(あなど)ってはいけない。

今季は不調とはいえ、全仏通算66勝1敗。
ローランギャロスは彼の”家”だ。

 アンディー・マレー(英国)もいい。

マドリード・オープンで錦織圭を破ったときはベースライン近くに立ち、佳が守備的なショット、意図が曖昧なショットを打つと積極的に攻め、守るべき時は守った。

もともとフィジカルは強いし、弱点のサーブが良くなった。

精神的にネガティブになりがちな部分を、コーチのアメリー・モレスモ(四大大会女子シングルス2勝)が上手に支えている。

 圭が全仏前にたくさんクレーの大会に出たのを心配する声があるが、あれはコーチの作戦だ。

圭は精神的に強くなる必要がある。

「これだけやっても僕は疲れていない」と自信をつけ、全仏でタフな試合をするためには、あれぐらいは必要だ。

 僕は全仏の前哨戦とされるイタリア国際に行った。
4千人ものコーチが集まるシンポジウムで話すためだ。

1957年からテニスを教えてきた僕は、ツアーコーチのパイオニアかもしれない。
50~60年代、大会に帯同するコーチは皆無(かいむ)に近かった。

ツアーコーチが登場するのは、テニスがプロ化した70年代以降。
この頃は選手の技術、戦術、フィジカル面だけを見ればよかった。

 80年代に入ると、テニスが巨大なビジネスになってきた。
選手はより強くなるために専門家を雇う。

フィットネス、メンタル、コンディショニングなどの側面から選手を支える”チーム”の登場だ。

テニスコーチもテニスを強くするだけでは済まなくなった。

 圭を見ても分かるだろう。
マイケル・チャン、ダンテ・ボッティーニ両コーチにトレーナー、マネージャー……。

客席で見かける人だけでもこれだけいるのは当たり前。
家族ら選手の個人的な人間関係も入ってくる。

常に選手と一緒にいるコーチはコーディネート力、チームを機能させる能力も不可欠になった。

 これを忘れると、テニスコーチは痛い目に遭う。

2000年すぎまで20年以上、年36週間以上(=1年は43週)も選手と世界を回り、身を持って学んだ。

今も圭とザビーネ・リシキ(ドイツ)のチームを手伝いつつ、僕の経験を世界中のコーチと分かち合うこともミッションだと思っている。

(プロテニスコーチ)
=随時掲載=


●関連日経記事:2015年4月18日グー・ブログ「息子たちに読んで欲しい日経記事」投稿記事参照
 『日経新聞 スポーツ「テニス世界ランク5位・圭の四大大会V 甘くない」=ニック・ボロテリー=』(4月17日付)

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日経新聞 スポーツ「テニス世界ランク5位・圭の四大大会V 甘くない」=ニック・ボロテリー=

2015年04月18日 06時09分51秒 | スポーツ
日経新聞 2015年4月17日(金) P.37 スポーツ2面
『ボロテリー スタイル』=テニスコーチ Nick Bollettieri=

『圭の四大大会V 甘くない』

 はじめまして、私はニック・ボロテリー。

男子テニスの錦織圭(にしこり・けい)が練習拠点にするIMGテニスアカデミー(米フロリダ州)の創設者です。

これから圭を取り巻く現代のテニス界について、折に触れて語っていこうと思います。


 日本での関心の的は圭でしょう?
世界トップ5の選手として、ここまでは順調。

ケガによる離脱がないのは一番大きいよね。

 今季、セカンドサーブがより効果的になり、ネットプレーも際立ってきた。
ベースラインプレーヤーの印象が強い圭だけれど、体のバランスがいいからボレーもうまい。

積極的にネットに詰めるようになったね。

フラットで速いボールをバンバン打つ印象があったストロークも、ペースを変えながら打つようになった。

 ただ、圭が好んで使うドロップショットはねえ……。

バウンドしてネット側に戻るぐらいの逆回転がかかってないと、世界ランク1位のジョコビッチ(セルビア)ほど効果的に決まらない。

 テニスはメンタルに加えてハートが強くないと駄目なもの。
メンタルは戦術眼を指し、ハートが強いとは闘志があるかどうか。

食事中も睡眠中も「僕が王者だ」と思うようでないと。
日本人が最も弱い部分さ。

ハートは厳しい競争に勝ち残ってこそ磨かれる。
圭は確かに成長したが、ここから先はこのハート次第だね。

 四大大会優勝?
ちょっと待って欲しい。

世界トップ10の男子選手が初めて生まれた日本の人々が期待を寄せる気持ちはわかるけれど、テニス指導歴60年、コーチとして4大大会優勝も経験した私だからはっきり言おう。

「現実はそんなに甘くない」と。

ラオニッチ(カナダ)ら侮(あなど)れない若手も多いし、ジョコビッチ、フェデラー(スイス)、マリー(英国)ら「ビッグ4」はなお健在だ。

 ジョコビッチはテニス史上最も完成された選手。
欠点がない。

四大大会通算17勝のフェデラーは、キャリアで最もいいテニスをしている。
マリーは何より「テニス頭」が良い。

サービスのリターンも随一で、どのボールにも食らいつく。
ナダル(スペイン)は闘争心にあふれ、コート上では野獣のようだ。

今は故障が心配だけれどね。

 四大大会で優勝するには計7回勝つ必要がある。
そのうち2勝をビッグ4クラスから挙げないといけない。

それがどれだけ大変なことか。
みなさん、圭に興味を持って見守っていてください。

その難しさも分かってくると思います。

    ◆    ◆
 13歳で渡米した錦織圭の成長をずっと見続けてきたニック・ボロテリー氏が、80歳代になってなお衰えぬ情熱で錦織と世界のテニスについて語ります。

四大大会の前後などで随時掲載します。

(全文を電子版に▲Web刊→紙面連動)

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日経新聞 スポーツ「『待たされる』感覚を捨てよ!」=南米気質に見る球ぎわの強さ=

2014年07月01日 07時27分11秒 | スポーツ
日経新聞 2014年6月22日(日) P.28 スポーツ面
特集連載『フットボールの熱源』=吉田誠一=

『「待たされる」感覚捨て』

 サンパウロでミネラルウオーターを買おうとスーパーマーケットに寄ってみると、まさしくスーパーな量の買い物をしている人たちがレジで長蛇の列をつくっていた。

週末だったからなのか、あるいは特別のセールでもしていたのか。
とにかく、勘定には嫌になるほど時間が掛かる。

 そんな状態であるにもかかわらず、レジの店員が買い物客と長々と話し込んでしまったりする。

それでも「早くしろ」などと言う人は見当たらない。
自分の番が来るまで泰然として、待つ。

 「待つ」には「待たされている」という思いが付きものだが、もしかするとブラジル人にはそういう感覚がないのかもしれない。

じっとしていればいつか自分の番が来る。
だから、時が巡ってくるまで待機している。

「待つ」がきわめて受動的なものになっている。
彼らの「待つ」には「あがいても仕方がない」という達観が含まれているような気がする。

 困るのは、レジで長々とおしゃべりをしている人たちに「人を余計に待たせている」という感覚が欠けていることだ。

まあ、それも仕方がない。
とにかく、ブラジルでは飛行場やホテルのチェックインでも、ひたすら待たされる。

 スペイン語に「早起きをしたからといって、夜明けが早く訪れるわけではない」という格言があるという。

焦らずに夜が明けるまで待ち、やるべきことはそれからすればいいという意味だろう。

南米に限らず、海外に出ると、そういう精神性に触れることがよくある。

 この悟りに近い感覚がサッカー選手には必要なのではないか。
日本にやってくるブラジル人の指導者がよく「サッカーは90分」という話をする。

90分が経過したときに1点上回っていればいいのだから、70分でリードされていようが、85分で同点だろうが焦る必要はない。

得点機が訪れるまで、焦らず自分たちのサッカーを続けなさいということだ。

 南米の選手は好機が訪れるまでじっと待つのがうまい。
特にブラジル、アルゼンチンより格下の国には、待つことにかけて一流のアタッカーが多い。

彼らには「いつか好機が訪れるだろうが、その時を早めることはできない」という達観があるのかもしれない。

 だから、いいボールが来なくても必要以上に動き回らない。

ウルグアイのスアレスやコロンビアのファルカオ(今大会はケガで不出場)はその典型だろう。

ストレスをためていないから、時が来たときに鮮やかにしとめることができる。

 「待たされている」という感覚を消し去り、時が来るのを待てるようになると、ぐっと人生が楽になる。

この方が肩の力が抜けて、ここぞというときに効率的に事を成せるのではないか。

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日経新聞 スポーツ「巨大化で失ったもの」=スポーツのライセンスビジネス化=

2014年06月30日 08時37分17秒 | スポーツ
日経新聞 2014年6月29日(日) P.34 スポーツ1面
連載『フットボールの熱源』=巨大化で失ったもの=

 コスタリカーイングランド戦が行われるベロオリゾンテのスタジアムに向かって、両国のサポーターが炎天下、列をなして歩いていた。

試合開催日はスタジアムの周辺2~3キロ圏内の道路が封鎖されるため、入場者はだいぶ手前でバスやタクシーから降ろされる。

 保安上、道路の封鎖は仕方がないのかもしれない。

残念なのは、ファンが歩かされる長い道のりに国際サッカー連盟(FIFA)と契約したスポンサー企業の清涼飲料、ビールを扱う売り子しかいないことだ。

商店はすべて休業し、屋台もない。
途中で足を休め、地元の特産品を味わうなどということはできない。

 場内でも、手に入るのは同じくFIFAスポンサーの清涼飲料とビールとハンバーガー。

近ごろ、Jリーグでは当たり前になっている「スタジアムグルメ」を楽しむことはできない。
しかも飲食物を持ち込むことも許されない。

そういう意味では、W杯とはむなしく、寂しい大会だなと思う。
産業化を極めたことで失ったものがある。

 ずいぶん、もったいないことをしているなとも思う。

世界から人々が集まっているというのに、FIFAによる規制で、サッカーと一緒にサルバドールの味、ポルトアレグレの味、クイアバの味をアピールできない。

「あのスタジアムで食べたバナナのフライがおいしかったね」という記憶は残らない。

この味気(あじけ)なさは毎度のことで、W杯がどこで開かれようと、同じことが起きている。

 これがライセンスビジネスというものだとは理解している。

あらためて思うのは、ライセンスビジネスとは大会の主催者と協賛社が潤うための仕組みであり、試合を楽しむ側のためのものではない。

開催地のためのものでもないような気がする。

 そんなことを唱えると「では、どうやって大会運営費を稼ぐんだ」「いかにサッカーの普及のための資金を集めるんだ」と言い返されるだろう。

その理屈も理解している。
しかし、ライセンスビジネスによる規制が各大会の味を薄めてしまっているのは否めない。

 むなしさについて、付け加えると、大会後のスタジアムの利用問題がある。

ブラジリアのスタジアムは収用7万人、マナウスは4万人。
だが、ともに地元にはブラジル全国選手権の4部リーグのクラブしかない。

 地元記者は「アマゾナス州選手権の決勝でも8000人しか集まらないのに、マナウスに4万人のスタジアムをつくったのだから愚かだろう。 ここでW杯を開催する必要があったのか」と嘆く。

後利用に悩み、州選手権の全試合をここで開催する構想もあるという。

 W杯はFIFAが開催国に場を借りて開かれる。
その舞台は開催国の負担で用意される。

日本の国体と同じで、名目は競技の普及のため。

しかし、求められる舞台はあまりに巨大で、今大会の12スタジアムの総建設費は80億レアル(約3680億円)に膨らんだ。

開催都市が大会後、この舞台を持て余すのは最初から分かっている。

 4年前の南アフリカ大会でもそうだった。
今後、W杯が開催されるロシア、カタールでも同じことが起きるはず。

悲しいかな、巨大な遺跡のようなハコがまた残る。
それを思うと、やはりむなしくなる。

(吉田誠一)

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日経新聞 スポーツ「五輪は一つの通過点」=橋下聖子=

2014年03月05日 05時42分30秒 | スポーツ
日経新聞 2014年3月4日(火) P.41 スポーツ面
連載『スポーツピア』=日本スケート連盟会長 橋下聖子=

『五輪は一つの通過点』

 先月25日、ソチ五輪から帰国した成田空港で大勢の皆さんの出迎えを受けたときは、胸をなで下ろす思いだった。

たくさんの笑顔を見て、何とか期待に応えることができたかなと思った。

 当初心配されたテロの問題もなく、大会はスムーズに運営された。
日ごろの成果を存分に発揮できる環境を与えられ、日本選手も頑張ってくれた。

目標にしていたメダル10個には届かなかったが、金1、銀4、銅3の計8個のメダルは海外の冬季大会としては過去最多。

ただ、私の出身競技であるスピードスケートをはじめ、反省しなければいけないこともある。

 ソチ五輪では、スノーボードやフリースタイルスキーなど歴史の浅い種目から、ジャンプといった伝統競技まで幅広く活躍してくれた。

日本のスポーツの裾野の広さを表していると思う。
近年はスキー人口の減少やスケートリンクの閉鎖が続き、ウインタースポーツを取り巻く環境は厳しい。

今回の日本選手の活躍で、冬のスポーツの魅力を再確認した人が一人でも多く、ゲレンデやスケート場に戻ってくれたらうれしい。

 多様性という点では、日本選手の年齢層もそうだった。

選手団最年少だった15歳、スノーボードの平野歩夢選手からジャンプの41歳、葛西紀明選手まで幅広い年代のメダリストが生まれた。

選手が歩んできた背景はそれぞれだが、彼らは経験の有無や年齢が言い訳にならないことを証明した。

 大会前に期待されながらメダルに届かなかった選手もいる。
でも、そうした選手を失敗したとは思っていない。

もちろん、戦う以上は勝利を目指しているが、世界中のアスリートが4年間ため込んできた思いを五輪にぶつけてくる。

必ずしも強い者が勝つとは限らないのが五輪である。

冬夏合わせて7度、五輪に出させてもらった自分の経験から言えば、人生において五輪は一つの通過点でしかない。

己の限界まで挑戦できた選手は悔いを残さないし、素直に勝者をたたえることができる。
その思いは選手一人ひとりの胸の中にあるだろう。

 4年間、つらく厳しいトレーニングを重ねても、白黒は一瞬でついてしまうのが勝負の世界。

やるせない思いを抱え込む敗北に直面したときにどう振る舞えるか、応援してくれた人や支えてくれた人はそこも見ているはずだ。

「スポーツの力」は勝利のパワーばかりではないと思っている。
その意味でも、ソチで日本選手たちは立派に振る舞ってくれた。

 選手団長、そして日本オリンピック委員会(JOC)選手強化本部長としては今後への宿題も頂いたが、選手はそれぞれ全力で戦い抜いた。

皆さんが彼らの姿にパワーをもらい、子供たちが「将来は自分も」とスポーツを志してくれたら、オリンピアン冥利につきる。

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日経新聞 スポーツ「サプライズの魅力」=本田圭佑の英語によるACミラン入団会見=

2014年01月25日 06時14分22秒 | スポーツ
日経新聞 2014年1月24日(金) P.41 スポーツ面
連載『アナザービュー』=武智幸徳=

『サプライズの魅力』

 「サプライズが好きだよね、彼は。 自分のやっていることが2倍、3倍に伝わるようにする」

 かっての教え子で、1月からイタリアのACミランを主戦場にした本田圭佑につてい、星稜高校サッカー部の河崎護監督が語った言葉である。

 これを聞いてふに落ちたのが全編英語による8日のミラン入団会見だ。

「日本語ならあと3時間はしゃべれた」と当人が話したように、伝える思いの量や精度を重視すれば日本語の方がよかったのだろう。

しかし英語で通したことでインパクトは格段に大きくなった。

 後日、入団会見の感想を川淵三郎・首都大学東京理事長(日本サッカー協会最高顧問)に尋ねた時も「中学、高校の英語教育にいい影響を与える」という話になった。

高校までに習う語彙(ごい)と文法で堂々と自分の考えを述べられる、生きた見本になったからである。

 考えてみれば、選手としての本田も昔から決して速くも滑らかでもなかった。
「流ちょう」という基準で測れば”ネーティブ”に近そうな選手はいくらもいた。

それを本人は引け目に感じる風もなく、胸を張ってその時々の自分を押し出していたように思う。

 未完成な分、最終形への過程をライブで楽しめる喜びがある。

この男はいったい、どこまで行くのか。

本田に人々が引きつけられる一番の理由ではないだろうか。
いい方向で予測を裏切り、驚かせ続けてくれる。

 もっとも、ミランでの道のりは前途多難を思わせる。
レギュラーになれるか、といった心配をしているのではない。

周りの選手に問題がありすぎるように思えるのだ。
攻撃陣のカカやロビーニョに往年の切れ味はなく、バロテリもボールが入った時に何かやるだけ。

 かってのミランの黄金期を支えたのは、今回は本田が背負う「10番」の花形選手以上に守備の力によるところが大きかった。

バレージ、マルディーニ、コスタクルタ、アルベルティーニらはそのままイタリア代表の屋台骨だった。

外国人DFもデサイーやチアゴシウバのような一級品がいた。
それが今は・・・・。

 「環境先行型」を自称する本田はこれまで身の丈(みのたけ)より上の環境に身を置くことで技量を伸ばしてきた。

気になるのは本田よりも現在のミランの丈の大きさなのである。

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