日経新聞 健康『「私の履歴書 江夏豊 ①」 =「江夏の21球」直前に父現る』=覚せい剤取締法違反で逮捕、服役も=

2017年12月09日 02時29分27秒 | 健康
日経新聞 2017年12月1日(金) P.44 文化面
連載『私の履歴書』=元プロ野球投手 江夏 豊(えなつ・ゆたか)=

『父現る ①』
『「江夏の21球」直前、今さら』=長兄がずっと父親代わり=

 お袋の喜美から、父親はおまえが小さいころに死んだ、と教えられて育った。

もうこの世にいないものと思ってきたおやじが現れたのは、広島時代の1979年(昭和54)、日本シリーズで近鉄と戦っていた最中のことだった。

 当時おやじと暮らしていた女性から「お父さんが会いたがっている」と連絡があった。

 それまで何通か手紙が来ていたが、そういう内容と知ってからは一切読まなかった。
お袋の手一つで育って31年。

今さらなにがおやじだ、と思った。
たまたま江夏の名前が有名になったから連絡してきたのだろう。

もし普通のサラリーマンになっていたら、連絡もなかったはずだ。

 しかし、向こうはあきらめず「会ってやって」としつこい。

会いたくないといいながら、自分にも一度はどんな人かみてみたい、という気持ちがあったのは否定できない。

 シリーズ第6戦の前、大阪でおやじに会った。
広島に移籍して2年目のこの年。

阪神、南海(現ソフトバンク)で優勝に縁がなかった自分が、プロ13年目で初めて優勝を経験した。

日本シリーズではパ・リーグの覇者、近鉄に連敗したものの、地元の広島で巻き返して3連勝。

 王手をかけて大阪に舞台を移し、さあ日本一へ、というタイミングで現れたおやじ。
振り返れば「江夏の21球」の直前、ということになる。

 会ってすぐ、この人見たことがある、と思った。
昔住んでいた尼崎市(兵庫県)の家に出入りしていたおじさんだーー。

幼いころの記憶と、目の前の男性が一致した。

 とにかく複雑な家庭だった。
14歳上の房雄、7つ上の雄二という2人の兄がいるが、3人とも父親が違っていた。

おやじとお袋の間に生まれたのは自分だけ。
当時のおやじは「おじさん」の立場だったのだろう。

 兄弟の父親が違うことを知ったのは中学のとき。
多感な年ごろだ。

お袋の顔をみるのも嫌になって家出して、1週間くらい友達の家に泊まった。

 今でこそ、お袋も大変だったんだ、と思う。
戦中、戦後の厳しい時代に、3人の子供を女手一つで育てたのだ。

実際、次兄の雄二は里子に出され、たまにしか会えなかった。

 おやじと会って、何を話したか、よく覚えていない。
お互いに一度会えば、それでよかったのかもしれない。

 自分のなかでは、おやじは昔も今もいない。
父親代わりになったのは房雄兄だ。

野球を教わったのも、右利きから左利きに変えたのも、兄だった。

兄がいなければ、のちに優勝請負人と呼ばれるようになる江夏豊という左腕はいなかったかもしれない。

 そんな自分の野球人生を語る前に、一つ書いておかなくてはならないことがある。

 現役引退後の93年、覚せい剤取締法違反で逮捕、有罪となり、服役した。
「壁」の中の2年は長かった。

なんであんなバカなことをしたんだろう。
もう二度とすまいーー。

社会に復帰してからは、なくした信用を自分の手で取り戻す、と誓って生きてきた。

 ありがたいことに、すべてを失った自分に、温かい手をさしのべてくれる方々がいた。
おかげで野球解説の現場に復帰でき、この欄の執筆の機会をいただいた。

感謝の念を胸に、書いていきたい。


●関連日経記事:2017年11月30日グー・ブログ「息子たちに読んで欲しい日経記事」投稿記事参照
 日経新聞 健康「薬物依存症の専門外来」=国立精神・神経医療研究センター=』(11月27日付)

●関連日経記事:2014年6月23日グー・ブログ「同上」投稿記事参照
 日経新聞 健康「脳の異常は戻せず」=薬物依存 ①=』(2014年6月22日付)

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日経新聞 健康『「見落とし」に潜む医療の闇=東京大学病院医療安全対策センター長 中島勧氏=

2017年12月07日 03時36分16秒 | 健康
日経新聞 2017年11月30日(木) P.31 経済教室面
連載コラム『私見卓見』

『「見落とし」に潜む医療の闇』=東京大学病院医療安全対策センター長 中島勧=

 大学病院でがんの見落としによる患者の死亡が相次いで報告されている。

単純なミスに見えるが、こうした診断に関連するエラーの原因を掘り下げてみると、医療に潜む深い闇が見えてくる。

 名古屋大学病院と東京慈恵会医大病院のケースでは、病院全体としてがんの疑いを診断できなかったわけではない。

いずれもコンピューター断層撮影装置(CT)で検査し、画像診断の専門家である放射線科医が「肺がんの疑いがある」とする報告書を主治医に伝えていた。

 ところが主治医は、検査のきっかけとなった肝硬変など別の病気の治療をして退院させていた。

その後、患者が体調不良などで再び検査を受けた際に見落としに気づいたものの、もはや十分な治療ができない状態だった。

いずれも報告書の見落としだった。

 過去の事例を検証した両病院では他にも同じような見落としが判明し、医師同士の情報共有のあり方を見直すなど再発防止策を打ち出した。

 人口当たりのCT保有台数が世界一の日本では「とりあえず画像検査する」という文化がある。

患者にとってみれば、CTを撮ってもらえれば安心と感じられるためか、「念のため」としてしばしば撮影されている。

 ところが画像検査は血液検査のように結果が数値化されないため、画像を読む医師に適切な診断能力がなければ診断に役立たない可能性がある。

重要なのは撮影することに加えて、正しく診断し、治療につなげることである。

 放射線科医が書いた報告書を見落とすだけでなく、撮影を指示した医師が異常に気づけないこともある。

これはすでに得られている医療情報(診断)を必要時に患者が利用できなかった点で、診断を誤る「誤診」と同根の問題だ。


 両大学病院の公表は、日常的な検査結果の見落とし自体が見落とされている可能性があるという重大な問題提起である。

 あまりに根が深く、問題視することは、パンドラの箱を開けたが如く医療界が混乱に陥る危険性さえある。

 こうした診断に関連したエラーについては、1996年に医療事故の実態を白日の下にさらした報告書『人は誰でも間違える』(邦訳題)をまとめた米国医学研究所が新たな報告書を公表し、世界的に注目されている。

見落としの事実を公表した大学病院の問題提起を改善につなげるためにも、日本も深い闇にメスを入れて取り組むべきだ。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・
 当欄は投稿や寄稿を通じて読者の参考になる意見を紹介します。

〒100-8066 東京都千代田区大手町1-3-7日本経済新聞社東京本社「私見卓見」係またはkaisetsu@nex.nikkei.comまで。

原則1000字程度。
住所、氏名、年齢、職業、電話番号を明記。

添付ファイルはご遠慮ください。
趣旨は変えずに手を加えることがあります。

電子版にも掲載します。


●関連日経記事:2016年6月10日グー・ブログ「息子たちに読んで欲しい日経記事」投稿記事参照
 日経新聞 政治『下水道、資源眠る「地下鉱脈」』=メタウォーター会長 松木晴雄=』(2016年6月9日付)

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日経新聞 健康「薬物依存症の専門外来」=国立精神・神経医療研究センター=

2017年11月30日 04時09分07秒 | 健康
日経新聞 2017年11月27日(月) P.38 社会面
『薬物依存症の専門外来』=国立精神・神経センター=

 国立精神・神経医療研究センターは薬物依存症に特化した治療拠点の整備に乗り出した。
東京都小平市の病院内に9月、専門の外来を新設。

地域の回復支援施設などと連携して重症度に応じた治療プログラムの提供を始めた。
同センターが手がける薬物に関する研究の成果も生かす。

将来は全国の医療機関に治療法を広げ、患者の社会復帰を後押しする考えだ。

『再犯防ぎ社会復帰促す』
 日本国内には薬物依存の治療を専門とする病院が少なく、薬物事件の再犯率の高さの一因とも指摘されている。

 拠点は新たな施設を設けるのではなく、小平市にある同センターの病院の外来に「薬物依存症治療センター」の機能を持たせた。

診療日は週1日で、専門の精神科医3人が診察する。

 患者数は10月末時点で1日約40人前後。

薬物使用者が受診しても、指名手配犯などを除き、直ちに警察に通報しない姿勢で対応する。

医師は刑法で守秘義務が課されているためだ。


 診察では問診などで患者の薬物依存度を見極める。
重症者には入院や回復支援施設「ダルク」への入所を勧める。

比較的軽症な場合は、通院や患者が定期的に集まっては体験を語り合う「自助グループ」への参加などを促す。


 国立精神・神経医療研究センターには治療法の開発や薬物の成分分析をする研究所と病院もあり、研究で得たノウハウを直接、薬物依存症患者の治療に生かせる。

 薬物の中でも覚醒剤は検挙された人に占める再犯者の割合が6割を超え、年々上昇している。

一方で病院はアルコールやギャンブル依存症に比べると薬物への依存患者を敬遠しがち。

専門の医療機関は全国に約30カ所しかないとみられる。

 薬物依存の治療法の知識を持つ医師も少なく、薬物使用者はひとくくりに数日入院させるだけという場合もある。

 薬物依存症治療センターの松本俊彦センター長は「依存症の症状は様々。 その人に合った治療法をしないと、患者の回復や再犯の防止にはつながらない」と強調。

将来的には各地の医療機関やダルク、自助グループなどと連携。
患者に複数の選択肢を与える形のプログラムを普及させ、社会復帰を支援していく考えだ。

 薬物事件の再犯防止で医療機関や民間回復施設が果たす役割は重くなっている。

昨年6月には、有罪判決を受けた薬物使用者などの刑期の一部を猶予できる「刑の一部執行猶予制度」が施行。

対象者は刑の一部を執行された後、保護観察を受けながら、医療機関や回復施設でのプログラムなどに参加することが義務付けられた。


●関連日経記事
:2017年11月20日グー・ブログ「息子たちに読んで欲しい日経記事」投稿記事参照
 日経新聞 健康「トランプ氏、禁酒の誓い 薬物対策に」=鎮痛剤の中毒死、米国でまん延=』(11月18日付)

●関連日経記事:2017年3月5日グー・ブログ「同上」投稿記事参照
 日経新聞 健康「依存症、全国に治療拠点を配置へ」=ギャンブル、アルコール、薬物…=』(3月3日付)

●関連日経記事
:2014年6月23日グー・ブログ「同上」投稿記事参照
 日経新聞 健康「脳の異常は戻せず」=薬物依存 ①=』(2014年6月22日付)


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日経新聞 健康『永六輔さんら「おしゃれ目の会」』=ファッション評論家 ピーコさん ②=

2017年11月21日 01時13分01秒 | 健康
日経新聞 2017年11月20日(月) P.13 医療・健康面
連載『向き合う』=ファッション評論家 ピーコさん=

『永六輔さんら「おしゃれ目の会」』

 がんになっても死は怖くなかった。

手術前、芸能界の師と慕っていた永六輔さんに左目を摘出すると報告した時も「どうしてそんなに冷静でいられるの? 泣いたり叫んだりしてもいいのに」と不思議がられた。

「死ぬのは怖くないの。 今の体は仮の姿」と答えたら、永さんに「そんなかわいくないこと言うもんじゃないよ」と叱られた。

 ただ退院から数週間して、抗がん剤の副作用で髪が抜け始めたのはショックだった。
朝起きるとベッドに髪が落ちている。

鏡の前で髪を確認すると、バサッと抜けた髪が手に付いた。
あっという間にほとんど髪がなくなってしまった。

地肌が見え、まるでお猿さんのよう。

 「四十すぎのおかまで片目。 オランウータンみたいな私を誰が好きになるの」と涙に暮れ、「死にたい」とすら思った。

幸い髪は元通りに生えてきたが、髪の薄い友人に失礼な発言を繰り返していた自分がいかに、愚かだったか思い知った。

 手術後は仮の義眼を入れたが、目の手術痕は治る過程でどんどん形が変わる。
1つ数十万円の義眼を次々交換する必要があった。

それを知った永さんや黒柳徹子さんが呼びかけて、義眼をプレゼントする「おしゃれ目の会」を設立してくれた。

 会長は映画評論家の淀川長治さん、1口1万円で各界の知人約300人が賛同。
「私を嫌っている」と思っていた人の名もあった。

自分勝手に生きてきた自分のために、こんなにたくさんの人が志を寄せてくれた。
約200万円を義眼費用に充て、残りの約100万円は手術を受けた病院に寄付した。

 シャンソンを始めたのもこの頃。
がん転移の検査の際に飲む薬が体に合わないのか、検査後はだるさが1週間ほど続いた。

そんな時に永さんが「歌でも習ったら」と提案してくれた。

 当時、淡谷のり子さんが病気で歌えなくなっていた。

淡谷さんを励まそうと、みんなで代わりに歌うイベント「のり子の前でのり子を歌う」を永さんが企画。

私もまんまと乗せられて、人前で歌う羽目になった。
でも、これが本格的にシャンソンにのめり込むきっかけになった。

 永さんは昨年亡くなってしまったけれど、きっと天国でも変わらず、私のことを「歌手じゃなくてシャンソン・カスだな」とからかっているんじゃないかしら。


●関連日経記事:2017年11月21日グー・ブログ「息子たちに読んで欲しい日経記事」投稿記事参照
 日経新聞 健康「希望でつらさ和らぐことも」=「こころの健康学」 認知行動療法研修開発センター 大野裕=』(11月20日付)

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日経新聞 健康「希望でつらさ和らぐことも」=「こころの健康学」 認知行動療法研修開発センター 大野裕=

2017年11月21日 00時54分48秒 | 健康
日経新聞 2017年11月20日(月) P.13 医療・健康面
連載『こころの健康学』=認知行動療法研修開発センター 大野裕=

『希望でつらさ和らぐことも』

 うつ病などの精神疾患は、こころの病といわれることもある。

こうした精神的変調は体にも変調を引き起こす。

精神面のバランスが崩れることで、ホルモンや自律神経のバランス、免疫の働きが崩れるからだ。

 逆に、身体面の不調が精神的な変調を引き起こすこともよく知られている。
風邪をひくと気分が沈みやすくなるのは、そのよい例だ。

このように精神状態と身体の状態が影響し合うことを心身相関と呼ぶが、それは痛みにも当てはまる。

 痛みに個人差があることはよく知られていて、同じ病変でも人によって痛みの感じ方は違う。

私たちが痛みを感じるときには「苦痛」という言葉で表す身体的な痛みと「苦悩」という言葉で表す精神的な痛みの2つを感じているからだ。

 同じ身体的な痛みを感じていても、その痛みのためにどの程度悩むかによって、感じる痛みの程度は違ってくる。

だからといって、こころをしっかり持てば痛みが弱まるというわけではない。
無理にこころをコントロールしようとすると、かえってつらくなる。

 そうしたとき、痛みは痛みとして受け止めながら、先への希望が見えればつらさが和らぐ可能性がある。

このことを考えたのは、生まれてくる子にどのように育ってほしいか、将来の希望について妊娠中に話し合うことで、出産時の痛みを軽くする工夫をしている産科医と話す機会があったからだ。

 将来の夢や希望を自覚することはもちろん、そのような話ができる医療者や家族がいる安心感も痛みに影響するのだろう。


●関連日経記事:2015年11月2日グー・ブログ「息子たちに読んで欲しい日経記事」投稿記事参照
 日経新聞 健康「楽しい出来事書きとめる」=こころの健康学=』(2015年11月1日付)

●関連日経記事:2017年11月21日グー・ブログ「同上」投稿記事参照
 日経新聞 健康『永六輔さんら「おしゃれ目の会」』=ファッション評論家 ピーコさん ②=』(11月20日付)

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日経新聞 健康「トランプ氏、禁酒の誓い 薬物対策に」=鎮痛剤の中毒死、米国でまん延=

2017年11月20日 09時09分26秒 | 健康
日経新聞 2017年11月18日(土) P.11 国際面
『禁酒の誓い 薬物対策に』=トランプ氏=

『亡き兄の依存症を告白』=鎮痛剤の中毒死 撲滅=

 「兄はいつもこう言っていたんだ。 『酒は飲むな。 酒は飲むな』」ーー。

禁酒で知られ、先の日本訪問時にもコーラを好んだトランプ米大統領がその理由を語り出したのは、薬物依存症対策に関する発表の場だった。

鎮痛剤による中毒死が続発する現状を「非常事態」と宣言し撲滅に乗り出す。
本腰を入れる背景には自らの家族の悲劇がある。

「私自身学んだ」
 10月26日、ホワイトハウス。

医療用鎮痛剤「オピオイド」の過剰摂取で苦しむ家族を持つ人たちに囲まれながらトランプ氏は演説した。

「薬物依存症の死亡者は、銃犯罪と交通事故を合わせた志望者数より多い」。

問題の深刻さを神妙な面持ちで語り「米国人として現状が続くのを許しておくわけにはいかない」と訴えて聴衆の拍手を浴びた。

 突然の告白はその後だった。
用意した台本から目を離すと、静かに話し始めた。

「私自身が学んだことなんだ。 兄は素晴らしい人だった。 人柄は素晴らしかった。 だが問題を抱えていた。 アルコールだ」。

8歳離れた長兄フレッド・トランプ・ジュニア氏はパイロットだったが1981年、43歳の若さで亡くなっている。

アルコール依存症だった。
兄は生前、自身の失敗から弟に禁酒を厳命した。

「きょうこの日まで酒を飲んだことがない。 ほしいとも思わない。 興味もない。 兄はアルコールのせいでとても、とても、とても厳しい人生を送った。 本当だ。 とてもとても厳しい、厳しい人生だった」


 薬物とアルコール。
共に飲み方を誤れば死に至ることもある。

いつも自分のことは誇らしげに語るトランプ氏が珍しく”タブー”に触れてまで、薬物対策に力を入れる理由を説明した。

それほどまで米国の薬物を巡る状況は深刻だ。

「衛生の非常事態」
 ここでいう薬物のオピオイドは、医者の処方箋があれば入手できる合法の鎮痛剤だ。

ケガや病気の痛みを抑える効果が大きいとして90年代に普及した。
規制が厳しい日本と比べ米国ではなじみが深い。

ただ中毒性が高く、依存症になると体を動かせなくなり、重症化すれば死に至る。
国内では200万人を超える中毒者がいる。

2000年以降、中毒死した米国人は30万人を超える。

オピオイドを中心に薬物乱用による死亡者は年々増え、16年は6万4000人に上ったとの試算がある。

 トランプ氏は演説で「我々の世代でオピオイドのまん延は止められる」と述べた。

オピオイドを扱う会社に違法行為がないか取り締まるほか、中毒性が比較的低い医療用鎮痛剤の普及も急ぐ。

国境を越えて薬物を持ち込む密輸入者への取り締まりも強化する。
これまでの政権も不要な処方を減らすなどルールをつくり、処方量は減ってきている。

ただ事態の悪化に歯止めはかかっていない。

 トランプ氏は8月に「国家非常事態宣言」の宣言まで検討したが、今回は「公衆衛生の非常事態」の宣言にとどまった。

長期的な問題の対処にはそぐわないとの理由で、政権内から慎重論が出たためだ。

新たな予算支出はできず、現在の連邦予算の中でやりくりするため、対策の効果を疑問視する声もある。

 オピオイドの問題は約17年ぶりの低失業率に沸く労働市場にもひずみを生んでいる。
「米国の労働市場は二分されている」。

ゴールドマン・サックスは10月末、こんなリポートを発表した。

15週未満の短期失業者の割合が歴史的水準まで下がるなか、長期失業者は上昇傾向にある。

すぐに仕事が見つかる人と、ずっと見つからない人との二極化。
働き盛りの男性が薬物乱用で仕事に就けない影響があると分析する。

 オピオイドで苦しむのは大人だけでない。
過剰摂取した妊婦から生まれたばかりの赤ちゃんが痛みや摂食障害にあえぐ事例も多い。

対策の効果が出るまでは時間を要し、目先の支持率獲得には劇的な効果をもたらさないかもしれないが、トランプ氏は対策を急ぐ責任を自覚している。

(ワシントン=鳳山太成記者)


●関連日経記事
:2014年8月4日グー・ブログ「息子たちに読んで欲しい日経記事」投稿記事参照
 日経新聞 健康「脳神経の『渇望』が呼び込む」=薬物依存 ④=』(2014年7月13日付)

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日経新聞 健康「惣菜店食中毒と同型のO157」=事件発生前も50人が感染=

2017年11月20日 05時48分30秒 | 健康
日経新聞 2017年11月18日(土) P.42 社会面
『惣菜店食中毒と同型のO157』

『発生前も50人感染』=厚労省調べ=

 厚生労働省は17日、群馬、埼玉の両県の惣菜店で起きた腸管出血性大腸菌O157による集団食中毒を踏まえた調査結果を公表した。

同じ遺伝子型のO157による感染が今夏、全国で91人に起き、うち50人は両県での集団食中毒が発生する前だった。

国や自治体の間で情報共有が十分なされなかったことで、調査開始や注意喚起が遅れ、感染源の特定には至らなかった。

『情報共有されず』
 厚労省によると、今夏に「VT2」と呼ばれる毒素を出すタイプのO157の感染者が関東地方を中心に多発した。

9月に全国の自治体に実態調査を依頼。

7月17日~9月1日までに発症した141人のうち116人の菌株を調べた結果、15都県の91人が同一の遺伝子型であったことが判明したという。 

都道府県別では東京が22人で最も多く、次は埼玉県の21人だった。

 患者数を発症日別にみると、「2つの山」があった。
1つ目は7月24日~8月8日までで、11都県で50人の患者の報告があった。

東京都(17人)、神奈川県(14人)、埼玉県(6人)で、いずれも関連性を把握することはできなかった。

 2つ目の山は8月9日~17日だった。
群馬と埼玉にある惣菜店での集団食中毒はこの時期に当たる。

ポテトサラダなどの総菜を食べた24人がO157に感染し、このうち3歳の女児が亡くなった。

 O157の遺伝子型が同じ場合、共通の感染源がある可能性がある。
今回の調査では共通の発生要因を明らかにすることはできなかった。

 報告書では、調査開始の遅れを指摘。

7月下旬から散発的に同じ遺伝子型のO157の感染が起きていたものの、国や自治体の間で情報共有が十分になされなかったことなどを問題点としている。

 厚労省は同じ遺伝子型の食中毒を早期に把握すべく、各地方ごとに地方厚生局や自治体が参加する広域連携協議会を設置する方針。

また、食品事業者の仕入れ先の記録が不十分だったことも原因究明を難しくした理由の一つだとして、対策を今後、検討する。

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日経新聞 健康「車いすの96歳 動かす夢」=「こころの健康学」 認知行動療法研修開発センター 大野裕=

2017年11月10日 02時18分43秒 | 健康
日経新聞 2017年11月6日(月) P.13 医療・健康面
連載『こころの健康学』=認知行動療法研修開発センター 大野裕=

『車いすの96歳 動かす夢』

10月初めに久しぶりに米国フィラデルフィアに出かけた。

私が専門にする認知行動療法を提唱したアーロン・ベック先生にゆかりのある人の集まりに招待されたためだ。

 私が米国留学中に初めてベック先生に会ってからもう30年になったが2日間の会議にずっと出席していた。

だからといって、決して体が健康というわけではない。
目の病気で視力はほとんど失われているし、足も弱くなって車いすの生活だ。

会議前に「懐かしいからといってハグをしないように」というメールが参加者に届いたほどだ。

 しかし、ベック先生に会うと体が不自由だからといって、心まで不自由になるわけではないことがよくわかる。

精神的には全く元気で発言は相変わらずシャープで、その内容はユーモアに富んでいた。

 じつは会議の少し前に、全世界400万人が登録するMedscapeという医療サイトが20世紀に最も影響を与えた医療者のランキングを発表し、ベック先生が4位になったことが仲間内で話題になった。

先生は今では世界的に認められているが、それまでの道のりは平たんではなかった。

自分の考えに誰も耳を傾けてくれないので、当時13歳の娘に話して聞かせていたと、会議の席でも笑いながら話していた。

 そのように苦しい体験をしていても、自分にとって大切な夢を大事にしてきたからこそ頑張り抜けたのだろうし、体が不自由になっている今でも頑張っていられるのだろう。

その様子を見て、私も大きな力をもらうことができた。


●関連日経記事:2016年9月19日グー・ブログ「息子たちに読んで欲しい日経記事」投稿記事参照
 日経新聞 自己啓発「大切なもの、立ち止まり考えよう」=こころの健康学=』(2016年9月18日付)

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日経新聞 健康「虚偽・誇大表現で患者誘導」=病院口コミサイト規制=

2017年11月04日 10時31分34秒 | 健康
日経新聞 2017年11月2日(木) P.46 社会面
『虚偽・誇大表現で患者誘導』=病院口コミサイト規制=

『改善拒めば行政指導』

 厚生労働省は、特定の医療機関に誘導する意図のある医療機関以外が運営するウェブサイトを広告と見なし、規制の対象とすることを決めた。

現在、様々なサイトが口コミ情報や病院ランキングを載せているが、虚偽や誇大など不適切な表現と判断すれば行政指導などを行う。

患者が正しい情報をもとに、医療機関を選べるようにする。


 医療の広告規制を巡っては、現在はテレビCMや看板などが規制対象となっている。

2017年6月の通常国会で成立した改正医療法で新たに医療機関のサイトなども規制対象とすることが盛り込まれた。

改正法は18年6月中旬までに施行される。

 厚労省は口コミサイトなど医療機関以外のサイトも、患者が病院選びの参考にしている実態を踏まえ、広告規制の対象とするかどうか検討。

特定の医療機関に誘導する意図があることが確認された場合は、規制対象とすることを決めた。

 例えば、患者が特定の医療機関での治療の体験談をブログに書き、この行為に対して業者を通じて医療機関から報酬が支払われているケースを想定。

治療実績をもとにした医療機関のランキングサイトの体裁(ていさい)をとりつつも、特定の医療機関のサイトへの誘導で報酬が支払われているケースも規制対象とする。

 こうしたサイトの監視は、厚労省が外部機関に委託し、8月から開始したネットパトロールで行う。

違反が見つかった場合、まずはサイトの運営者に通知して自主的な改善を促すが、従わないときは自治体が行政指導などを行う。

厚労省は17年度中に省令やガイドラインで規制範囲などの細部を定める。
同省は「情報提供を妨げない観点で検討していく」としている。

 法改正は美容医療を巡るトラブルの増加を背景に行われた。
これらの医療機関のサイトで不適切な表現が相次いでいたためだ。


厚労省によると美容医療を提供する医療機関のサイトには、患者に誤解を与える可能性がある「術前・術後の写真」の掲載が目立つという。

このため同省は医療機関が患者の獲得を目的に、手術前後の写真を掲載することを原則禁止とする方針を固めている。

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日経新聞 健康「哺乳類 高い致死性」=中国で流行の鳥インフル=

2017年10月24日 01時27分09秒 | 健康
日経新聞 2017年10月20日(金) P.38 社会面
『中国流行の鳥インフル』=哺乳類 高い致死性=

 東京大の河岡義裕教授らは中国の鳥で流行し人への感染も確認されている鳥インフルエンザウイルス(H7N9型)が、哺乳類の間で飛沫感染して高い致死性を持つことを突き止めた。

世界的な大流行が起きた場合、甚大な健康被害が生じる恐れがあり、警戒が必要という。
ウイルスに対するワクチンの備蓄、製造方針の決定などにも影響するとみられる。

 研究成果は米科学誌(電子版)に20日掲載される。
H7N9型ウイルスは2013年に中国で人への感染が確認された。

病原性が低いタイプのほか、遺伝子が変異し病原性が高まったタイプもある。

高病原性は中国で17年2月、人への感染例が2件報告され、その後も30人近い感染者が見つかっている。

 研究チームは中国の患者から採取した高病原性ウイルスを調べた。
人に感染して細胞で増殖しやすい遺伝子変異が起きていた。

哺乳類のフェレット(=イタチ科の動物)に感染させて調べると、ウイルスが肺や脳でよく増え、致死性が高いことが分かった。


●関連日経記事:2017年10月13日グー・ブログ「息子たちに読んで欲しい日経記事」投稿記事参照
 日経新聞 健康『「犬から人」も初確認』=マダニ媒介の感染症=』(10月11日付)

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