日経新聞 社会『「教育無償化」の議論を深めよう』=大学などへの進学率80.6%=

2017年12月11日 10時04分23秒 | 社会
日経新聞 2017年12月5日(火) P.21 マーケット総合2面
連載コラム『大機小期』

『「教育無償化」の議論を深めよう』

 自民党の憲法改正推進本部で改正原案作りに向けて議論が本格化している。

ここでは教育の観点から改正論を考えてみたい。

 現行憲法は、教育について2つの条文を掲げている。
一つは第26条で義務教育を無償とすると明記している。

もう一つは、公の支配に属しない教育などへの公的支出を禁じる、と定めた第89条である。

 このうち自民党は26条の教育費無償条項を大学など高等教育にまで拡大して明記することを選挙公約に掲げている。

 高等教育機関への進学率が80.6%(2017年度、文部科学省「学校基本調査」)に達している現状からすれば違和感はない。

高等教育卒業者でなければ社会に受け入れられない時代なのだ。

 個人の幸福実現の面からも社会の発展に寄与するという観点からも、大学まで含めた教育の全課程が「公共財」といえる。

この意味で89条の見直しも不可欠だ。
高等教育の過半を民間が引き受けているからだ。

 国際的にみると日本の教育機関への公的支出はあまりにも貧弱だ。

経済協力開発機構(OECD)の16年調査によると、教育機関(全教育課程)への公的支出の対国内総生産(GDP)比は4.5%(10~13年)でOECD平均(5.2%)を大きく下回る。

 一方で教育費が家計の大きな負担となっている。
OECDの調査では、日本の高等教育段階の総支出のうち65%は私費で賄われている。

これはOECD平均(30%)の2倍以上である。
この教育費負担の重圧が出生率低下の大きな要因だとする実証研究もある。

 問題は財源をどうするか。
給付対象者への所得制限の設置は最低限、必要だ。

高所得者層には負担してもらうべきだ。
これは教育の全課程でいえる。

 これまで教育費の負担のあり方が国政の大きな課題になることはなかった。

「子供の教育は親の役目だ、とする意識が浸透しているからだ」と指摘する研究もある(中澤渉「なぜ日本の公教育費は少ないのか」)。

 今回、ことの経緯はともかく、「教育」が国政の重要テーマとなった意味は大きい。
国民投票まで、まだ時間はある。

これを機に議論が深まることを期待したい。

(一直)


●関連日経記事:2017年11月14日グー・ブログ「息子たちに読んで欲しい日経記事」投稿記事参照
 日経新聞 経済学「AIの雇用への影響を考える ③」=労働者に必要な能力が変化=』(11月8日付)

●関連日経記事
:2015年2月17日グー・ブログ「同上」投稿記事参照
 日経新聞 教育「教育格差が未来を奪う」=やまぬ機会不平等の連鎖=』(2015年2月15日付)

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日経新聞 社会『「年収の1/3超」半数』=銀行カードローン借り入れ=

2017年12月02日 01時56分51秒 | 社会
日経新聞 2017年11月29日(水) P.7 金融経済面
『「年収の1/3超」半数』=銀行カードローン借り入れ=

 日本弁護士連合会によると、同連合会に相談した銀行カードローンの債務者のうち、年収の3分の1を超える額を借り入れている人が全体の52%にのぼることがわかった。

消費者金融などの貸金業者には年収の3分の1までしか貸せない総量規制があるが、銀行は対象外。

日弁連はこれが「貸し過ぎ」の要因になっていると指摘している。

 同連合会が8月に実施した「全国一斉銀行カードローン問題ホットライン」の電話相談351件の結果をまとめた。

年収の3分の1を超えて借り入れてる人のうち、年収の8割以上の金額を借りた人は11%、収入がない人も4%いた。

 債務者の内訳は60歳代が32%と最も多く、50歳代が20%で続いた。
借入時に収入証明書を提出しなかったとの回答は53%で、半分以上を占めた。

 全国銀行協会は3月の申し合わせで、融資審査の厳格化や広告の抑制など、銀行の過剰融資抑制に向けて動き出した。

来年1月には各行が即日融資を停止する方針だ。


●関連日経記事:2017年6月14日グー・ブログ「息子たちに読んで欲しい日経記事」投稿記事参照
 日経新聞 社会『銀行カードローン、多重債務の温床に』=「3年内に貸金利用」6割=』(6月13日付)

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日経新聞 社会「竹林管理は宇宙から」=山口の産学官、システム開発へ=

2017年12月01日 04時07分55秒 | 社会
日経新聞 2017年11月28日(月) P.37 四国経済面
連載『中四国ウエーブ』

『竹林管理は宇宙から』=山口の産学官、システム開発へ=

 土木測量の宇部興産コサルタント(山口県宇部市)など県内の産学官グループは、衛星データを使った里山管理システムを開発する。

今年同県にできた宇宙航空研修開発機構(JAXA)の拠点と連携、耕作放棄地などを簡単に検出する仕組みを構築し、保全管理に役立てる。

同県は竹林面積が全国4位で、まず竹林の拡大に悩む宇部市で使い、2019年以降の実用化を目指す。

『衛星情報・AI併用』=「伐採マップ」効率作成=
地球観測衛星の「だいち」などによる森林部分の観測データと実際の調査データを照合し、竹林、耕作放棄地、急傾斜地を抽出する。

10年程度のビッグデータから経年変化をAI(人工知能)を援用して分析、放棄地のマップを効率的に作成するシステムを開発する。

 地方自治体の森林管理は、予算や利用用途の問題で厳しい予算状況にある。
航空写真撮影は5~10年間隔になる。

人力による森林調査は地域からの要望のあった場所が対象で、目的は局所的な防災、伐採が多いという。

リアルタイムの情報が得られる衛星データで正確な把握が可能になれば、自治体の管理負担が大幅に軽減でき、里山環境の保全、新ビジネスの開拓にもつながるとみている。

 政府機関の地方移転で2月、JAXAの拠点と関連施設が山口県産業技術センター(宇部市)と山口大学工学部(同)に設置された。

これを機に地元の産学官でJAXA拠点からの衛星データを使った新事業創出を検討してきた。

宇部興産コンサルタントがシステム開発、ニュージャパンナレッジ(山口市)がアプリケーション開発、常盤商会(宇部市)がデータ解析を担当する。

 宇部興産コンサルタントの堀敬史社長は「地方の魅力は里山にあるが、管理する人も予算も足りない。 衛星データを使ってその手助けができればと考えた」のがきっかけだという。

メンバー構成も、地方発のプロジェクトを意識した。

 山口県は全国4位の竹林面積があり、竹林問題に悩んでいたため、竹に注目した。

初年度は竹林の性質や経年変化を分析、2年目は植生などを把握し、3年目にマップを作成する。

宇部市は竹林管理に活用し、行政コスト削減につなげる。
これにより分析検出手法を確立し、全国どこでも適用できるようにする。

最終的にはパッケージソフトとして販売を目指す。

 竹林は近年、バイオマス発電の燃料としての利用が注目されている。
3月に日立製作所が竹の燃料化技術を確立。

10月に藤崎電気が、山口県小野田市に竹チップ専用の発電所を起工した。

グループではこうした竹発電所と連動させれば、地域の竹林問題解決にもつながるとみている。

『竹林 中四国・九州で拡大』=素材利用減=維持人員足りず=

 竹林は、かってのようにかご素材などの利用やタケノコの採取で伐採管理ができていれば里山と共存する。

近年の竹林拡大は利用の減少や、管理する人手の不足が背景にあるといえる。

 里山で雑木林が放置されると植生が貧弱になり竹が侵入する場合があり、竹が密生すると日光が遮られて土地が荒れやすくなる。

モウソウチクの地下茎は深さは40センチ程度で保水力も弱い

 竹林拡大は中四国、九州地方で進み、継続的な調査と管理が必要だが中山間地管理の人手不足、予算不足で年々対応が困難になっている。

 林野庁によると1970年代後半から全国の竹林面積は拡大し、現在16万ヘクタールと、この30年で15%近く増えた。

竹の侵入率が25%以上の山林を含めると、この3倍になるとみられる。
竹の利用は漁業資材、造園、工芸品などで、生産、需要とも減少傾向にある。

タケノコとともに、安価な輸入品の割合が増えているためだ。

 1万2000ヘクタールと全国有数の竹林面積がある山口県では、年間80ヘクタールの竹林伐採に8千万円近くがかかっている。

竹材の再利用もあまり進んでいないのが現状だ。

(山口支局長 竹田聡)


●関連日経記事:2017年10月22日グー・ブログ「息子たちに読んで欲しい日経記事」投稿記事参照
 日経新聞 社会『「竹前線」破竹の北上』=温暖化で拡大予測=』(10月18日付)

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日経新聞 社会「公共料金の決済 もっと簡単に」=自治体も高齢化社会への対応を=

2017年11月24日 11時08分55秒 | 社会
日経新聞 2017年11月22日(水) P.32 経済教室面
連載コラム『私見卓見』

『公共料金の決済 もっと簡単に』=日本瓦斯(ガス)社長 和田真治=

 日本のエネルギー業界は大きな転換期を迎えている。

2016年4月に電力の小売り、今年4月に都市ガスの小売りが全面的に自由化され、消費者はエネルギーをどこから買うかを自由に選べるようになった。

ただし長い間、規制に守られてきたこともあって非効率な仕組みが業界にまだ残っている。
その代表といえるのが公共料金を支えるオペレーションシステムだ。

 例えばガスと電力はそれぞれ別々に検針を行っている。

当社のように異なる事業者が提供するガスと電力をセットで販売する際、決済方法が異なっていると消費者は不便だ。

電力とガスの両方が自由化された以上、このような決済も統一されるべきだ。
業務効率の改善のみならず、顧客サービスの向上にもつながる。

将来は水道も含めた一本化を検討すべきだろう。

 支払い方法にも大きな問題がある。

現在は引っ越しのたびにガスと電力、水道それぞれの申請書に手書きで記入し、ハンコを押して申請する必要がある。

紙をベースとする非効率なサービスの象徴だ。

人の移動が頻繁な現実に対応しておらず、特に日本に住み始めた外国人にとっては違和感のある作業だろう。

 しかも申請してから口座引き落としが始まるまで2カ月近くかかるケースが大半で、それまではコンビニエンスストアなどで料金を支払わなければならない。

足腰の弱った高齢者には不便だし、その上手数料も負担しなくてはならない。

 銀行口座からの引き落としを好む人は別として、消費者の利便性を考慮すると、携帯電話や仮想通貨での申請や支払いに対応する必要が出てくる。

 そもそも公共料金が高いという問題もある。

都市ガスの導管利用料である託送料金が割高なのはバッチ処理を主流とする非効率なシステムが残り、高コスト体質が温存されていることも一因だ。

こうした課題はIT(情報技術)を上手に使えば解決でき、国全体のインフラ効率化につながる。

だが現実にはなかなか進んでいない。

エネルギー業界が保守的なのが最大の要因だが、消費者の方も同様に保守的なせいではないか。

 自由化はそうした思い込みを突き崩すきっかけになり、消費者の覚醒を促し競争を活性化する。

当社はその先導役になるつもりでフィンテック(金融とテクノロジーの融合)やAI(人工知能)を積極的に経営に取り込んでいる。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・
 当欄は投稿や寄稿を通じて読者の参考になる意見を紹介します。

〒100-8066 東京都千代田区大手町1-3-7日本経済新聞社東京本社「私見卓見」係またはkaisetsu@nex.nikkei.comまで。

原則1000字程度。
住所、氏名、年齢、職業、電話番号を明記。

添付ファイルはご遠慮ください。
趣旨は変えずに手を加えることがあります。

電子版にも掲載します。

▼バッチ処理
 バッチとは「束ねる」という意味で、一括処理のこと。

あらかじめ処理に必要な指示と要素を与えておき、一気に処理をする方式。
これに対して、即時的な処理をすることをリアルタイム処理という。

ユーザーの入力を受け付けて臨機応変に処理するインタラクティブの逆の言葉として用いられることもある。

バッチ処理は、定期的な集計作業やバックアップ、メンテナンスなど、大量のデータの一括処理に向いている。

プログラミング言語では、一定期間ためておいたデータをまとめて処理する方式を指す。

また、一連の作業の手順を登録して、作業を自動化できるようにしたプログラムをバッチファイルと呼ぶ。


(「コトバンク」ネットページから抜粋)


●関連日経記事:2017年2月10日グー・ブログ「息子たちに読んで欲しい日経記事」投稿記事参照
 日経新聞 開発「物流危機、製・配・販の連携で防げ」=米アマゾン「顧客第一」経営のすごさ=』(2月9日付)

◆父さんコメント:
 規制に守られた電力、ガス、銀行、水道などなど既得権益業界の改革の歩みはのろい。

銀行とコンビニの処理スピードの差を見れば歴然だ。
郵便局が、鉄道が民営化された結果どうなったかで「競争」の必要性が改めて認識できる。

既得権益業界を再編するには「競争原理」を持ち込むことに尽きる。

 コンビニが全国のいずれの漁村、山村にも設置され、いつでも熱いコーヒーが飲める便利さがそれを証明している。

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日経新聞 社会「米国事情、You are fired !」=「私の課長時代」 日野自動車社長 下 義生氏 (下)=

2017年11月23日 08時39分17秒 | 社会
日経新聞 2017年11月21日(火) P.14 企業1面 
連載『私の課長時代』

『販売最前線 一から勉強』=日野自動車社長 下 義生氏 (下)=

▼入社してから14年目の1994年から1年、岡山県のトラック販売会社に赴任した。

 技術者が営業と顧客を回り、技術やサービスの要望を聞いて今後の商品開発に生かすという取り組みが始まりました。

係長の私以外は部長級が赴任していました。

後から聞いた話ですが、販売会社からは「うちを軽く見ているのか」と不満を漏らされたようです。

 バス一筋だったので、トラックのエンジンやブレーキなど新入社員のように一から勉強しました。

「この技術や機能はどうなっていますか」。
若い営業マンと一緒に回ると、顧客から質問や要望が飛んできます。

これを調べて説明するのです。
販売の最前線の大変さを痛感しました。

▼99年から商品企画で米国事業に携わる。 日野の経営は厳しく米国では赤字が続いた。

 日野は米国でエンジンの上に運転席があるタイプのトラックを販売し、苦戦していました。

新しい排ガス規制が導入されることもあり、米国で人気の前方が突き出たボンネット型に参入するか、市場から撤退するかの選択を迫られました。

 当時の企画担当の副社長に「専任チームがないと事業の可否を判断できない」と直訴しました。

そうしたら「君がリーダーで」と、ボンネット型のトラックの企画リーダーに任命されました。

バス開発の際に学んだコスト管理を徹底しました。
当時、米国専用車の部品はほぼ全量を日本から輸出して米国で組み立てていました。

これでは関税や輸送費などコストがかさんでしまいます。
現地で調達できる部品を洗い出し、なんとか4割を現地で調達し収益を高めました。

▼北米専用車の立ち上げに成功。 2002年に米国法人の上級副社長として赴任する。


 効率化のため販売店の改廃に着手しました。
赤字の販売会社の社員削減も避けられません。

これが苦しかった。
私の同僚だった米国人の部長が役員から解雇を告げられました。

朝10時に役員の部屋で通告され「一切パソコンに触れるな、家にあるものは全部送り返せ」と言われるのです。

昼間に私にあいさつに来て、午後にはもういませんでした。
経営の厳しさを目の当たりにしました。
 

 北米では厳しい経験をしましたが、希望していた企画や営業など多くを学びました。
会社員にとって人事はままならないことが多いでしょう。

それでも意見や希望をもって、手を挙げて新しい仕事に挑んでみてはどうでしょうか。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「あのころ」
 1997年のアジア通貨危機は、海外売上高の大半を東南アジアに依存していた日野自動車の経営を圧迫した。

日野はトヨタ自動車の子会社となり、米国市場や小型トラック事業のてこ入れなど構造改革に着手。

2007年に初めて海外販売が国内販売を上回るまで成長した。


●関連日経記事:2012年11月27日グー・ブログ「息子たちに読んで欲しい日経記事」投稿記事参照
 日経新聞 自己啓発「自分の強みを知って、生かす」=作家 池井戸 潤=』(2012年2月11日付)

◆父さんコメント:
 一般に外資系企業は給料がいい。

しかしそれは日本の退職金にあたるカネが前払いになって月給に含まれていることを知っておきたい。

通常、「クビ!」を宣告されると、その足で経理部に回り「1~2カ月分の給料ほどの退職金」をもらって会社を後にすることになる。

また、機密情報保護の目的から、クビ宣告されたその時点から「会社関係の機器には一切触れることが禁止」され、私物のみ持って即刻退社を要求される。

 また、部下のクビ切り権限は直属の上司が持っているのが一般的だ。
上司は損益にすべての責任を持たされる代わりに人事権も併せて持っているのである。

上記の記事の「You are fired!」事情は米国ではごく普通に見られる光景だ。

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日経新聞 社会「労働力不足論議の違和感」=高いスキル・強い意欲を持つ女性・中高年の活用へ=

2017年11月17日 12時13分22秒 | 社会
日経新聞 2017年11月10日(金) P.21 マーケット総合2面
連載コラム『大機小機』

『労働力不足論議の違和感』

 労働力不足が盛んに論じられている。

今年の年次経済財政報告は、有効求人倍率は2017年の4月に1.48倍とバブル期を超える水準となり、労働市場における人手不足の状況はバブル期並みにーーと指摘していた。

その通りなのだが、昨今の労働力不足論議の基本スタンスに違和感を禁じ得ない。

 労働力問題というのは本来、生産に必要な手段の問題ではない。
労働力の主体となって働き生活している、生身の我々自身の問題である。

労働する主体は、生活している我々である。
労働力というのは、物的な手段ではない。

 日本経済の成長や発展が強く求められるのは、生活している国民に充実した働く機会を提供する必要があるからなのである。

政府が進める働き方改革も、働かせ方革命ではなく、存分に能力を発揮できる働き口をいかにして新たに作っていくか、という視点から議論してほしい。

 いま失業率は2%台、有効求人倍率は1974年来の水準、完全雇用状態だ。
だが実態は、人材を無駄遣いする形になっている。


主体としての国民として(=生身の我々が働くと)考えると、望ましくない姿になってしまっている。

日本人の潜在能力が存分に発揮され、気持ちの張りと心の豊かさを実感できるような形に作り替えていかなければならない。

 デービッド・アトキンス氏は、高度成長期においても1人当たりの生産性はさほど高くなかった、と指摘している。

戦後の日本のように、移民を迎えず自国民だけで人口を大幅に増やした先進国はない。
高度成長を実現できた主因は、爆発的な人口増加だった。

同氏は、また、イタリアやスペインのように失業率が2桁の国と対比すると、失業率2%の国の実働労働人口は多い。

実働労働人口で調整して考えると、日本人の生産性は決して高くない。

労働力が単純作業に浪費されてしまっていると批判している(=働いている労働者数に占めるパートや非正規作業員の比率が高い)。

 人口減少のいまこそ、人工知能(AI)、ビッグデータをフルに活用して貴重な人材の浪費を排除し、女性・中高年を含め、高いスキル・強い意欲と連動した就業の風土を築いていく。

そうなってはじめて、経済の内奥にある自発的な力が発揮される。
経済の主役は人間である。

(一礫)


●関連日経記事:2017年11月14日グー・ブログ「息子たちに読んで欲しい日経記事」投稿記事参照
 日経新聞 経済学「AIの雇用への影響を考える ③」=労働者に必要な能力が変化=』(11月8日付)

●関連日経記事
:2016年4月25日グー・ブログ「同上」投稿記事参照
 日経新聞 経営『「同一賃金」経済界の本音』=正社員改革にひるむな=』(2016年4月24日付)

●関連日経記事:2017年11月17日グー・ブログ「同上」投稿記事参照
 日経新聞 インターネット「米質問サイト、日本進出」=クォーラ、多言語化を加速=』(11月16日付)

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日経新聞 社会「介護人材不足 道筋示して」=衆院選2017=

2017年10月24日 01時56分07秒 | 社会
日経新聞 2017年10月20日(金) P.39 社会面
特集『介護人材不足 道筋示して』=報酬の格差 解消を=

『養成校入学 7年で半減』

 深刻な人手不足が続く介護現場で、課題解消を求める切実な声が多く上がっている。

介護福祉士の養成学校は定員割れが続き、現場は十分な体制を取れていない。

背景には厳しい賃金事情があり、2018年4月に予定される介護報酬改定への期待感は強い。

社会保障の充実は衆院選(22日開票)で各政党が注力するテーマの一つ。
関係者は「人材確保の確かな道筋を示して」と訴えている。


 和歌山YMCA国際福祉専門学校(和歌山市)の実習室。

10月中旬、介護福祉士を目指す生徒12人がベッドから人を起こし車椅子に乗せる訓練に励んでいた。

実習室の一角には使われない車椅子やベッドが並ぶ。

井之上芳雄校長(62)は「多くの人材を現場へ送り出さなければならないが生徒が集まらない」と話す。

 同校の介護福祉士課の定員は40人だが17年4月に入学したのは15人にとどまった。

同校2年の辻本隼巳さん(20)は「高齢者を支える格好いい仕事だ」と介護職への意気込みを語る一方、「人手不足の施設に就職した場合、一人ひとりの高齢者としっかり向き合えるだろうか」と不安を口にする。

 養成校の定員割れは全国に広がり、日本介護福祉士養成施設協会によると17年度の入学者総数は約7200人で、10年度(約1万6千人)と比べると半減した。

入学者数を定員で割った充足率は46%となり、過去10年で最低だった。

 しわ寄せは介護現場に現れている。
東京都八王子市にある介護老人保健施設では、求人広告を出しても人が集まらない。

常勤と非常勤を合わせて約70人が勤務する現状について、担当者は「少なくとも10人は足りていない。 現場は悲鳴を上げている」と話す。

 政府は業務を効率化して現場の負担を軽減する介護ロボットを推進する方針だが、都内でデイサービス事業を行う男性経営者(42)は、「ぎりぎりの経営状況の中、投資する余裕がないというのが多くの事業者の本音だ」と話す。

 介護業界が求めるのが賃金の引き上げだ。

厚生労働省によると、16年の介護職員の平均給与は月給ベースで月21万5千円で、全産業平均(月30万4千円)の7割程度。

賃金に直結する国の介護報酬は18年春に改定されることが決まっており、「報酬面の格差を解消して」(介護事業関係者)という声は強い。

 人材難は今後さらに深刻化する見込みで、同省は介護職について20年度に約20万人、25年度に約38万人足りなくなると試算する。

各政党も重要課題として衆院選の公約で掲げるが、内容には重なる部分が多く議論は盛り上がりに欠ける。

 介護現場に詳しい近畿大の奥田祥子教授(福祉政策)は「人手不足の解消に向けた財源の確保や具体的なプロセスなどを公約ではっきり打ち出している政党は少ない」と指摘したうえで、「選挙後の取り組み内容を厳しくチェックすることが重要だ」と話した。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
『外国人留学生 活用に期待感』
 政府は介護現場での外国人労働者の受け入れを段階的に拡大する方針で、11月には働きながら技術を学ぶ技能実習制度の対象職種に「介護」が加わる。

介護福祉士の資格を取得した人に在留資格を認める改正入管難民法も9月に施行され、介護業界では外国人材活用に期待が高まっている。

 日本の介護現場への就職を希望する外国人は増えており、日本介護福祉士養成施設協会によると、各地の介護福祉士の養成校に2017年度入学した外国人留学生は計591人で、12年度(計18人)の約33倍に増えた。

国別ではベトナムが最多の364人、中国74人、ネパール40人だった。


●関連日経記事:2017年10月14日グー・ブログ「息子たちに読んで欲しい日経記事」投稿記事参照
 日経新聞 社会『「1人で死を迎える時代」に備えを」=日本総合研究所 斉木乃理子シニアマネジャー=』(10月11日付)

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日経新聞 社会「3メガ銀、カードローンに上限」=過剰融資批判を受け=

2017年10月23日 09時50分45秒 | 社会
日経新聞 2017年10月20日(金) P.9 金融経済面
『カードローンに上限』=3メガ銀=

『過剰融資批判受け』

 三菱東京UFJ、三井住友、みずほの3メガ銀行がカードローンの融資額を利用者の年収の2分の1や3分の1までとする自主ルールを導入したことが19日にわかった。

返済能力を十分確認しない過剰融資が多重債務問題を再燃させかねないとの社会的な批判に対応。

融資額を自主的に抑え、過剰融資の是正に取り組む姿勢を打ち出す。

 銀行カードローンは無担保で使い道が自由な融資。

消費者金融など貸金業者には合計で利用者の年収の3分の1までしか貸せない総量規制がかかっている。

規制対象外の銀行は融資を急速に伸ばしているが、競争条件が不公平だとの批判も出ていた。

 3メガ銀行は自主的な総量規制を導入し、カードローン融資の上限額を他社からの借り入れを含めて利用者の年収の2分の1や3分の1までとする。

 すでに地方銀行では秋田銀行や七十七銀行(宮城県)、百五銀行(三重県)などが同様の対策を講じている。

 金融庁によると3月末の消費者金融による融資残高は2兆7千億円。
銀行カードローンは消費者金融の1.5倍の規模に膨らんでいる。

銀行カードローンを巡っては過剰融資との批判が国会でも取り上げられていた。

『加盟116行の残高、8月末に4.3兆円』=全銀協が初公表=
 全国銀行協会は19日、加盟116行のカードローン残高を初めて公表した。

直近の8月末の残高は前月比0.4%増の4兆3715億円だった。
これまで同ローンは日銀が3カ月ごとに銀行全体の数字を公表してきた。

銀行業界自ら実態把握に取り組む姿勢を打ち出す。
今後は毎月公表する。

 内訳は3メガ銀行を含む大手11行が2兆4237億円で全体の55%。 
地方銀行が1兆5715億円、第二地方銀行が3762億円だった。

初公表の今回は4~8月分をまとめたため、前年実績とは比較できない。
8月末の残高は4月末比で1.4%増えた。

 全銀協は3月に融資審査の厳格化や広告の抑制などを申し合わせた。
日銀の公表データを踏まえ、過去2年間と比べ増加ペースが鈍った。


●関連日経記事:2017年9月28日グー・ブログ「」息子たちに読んで欲しい日経記事」投稿記事参照
 日経新聞 社会「カードローン 地銀も総量規制」=過剰融資批判に対応=』(9月27日付)

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日経新聞 社会『「竹前線」破竹の北上』=温暖化で拡大予測=

2017年10月22日 05時35分39秒 | 社会
日経新聞 2017年10月18日(水) P.38 社会面
『「竹前線」破竹の北上』=温暖化で拡大予測=

 東北大や長野県環境保全研究所などの研究グループは17日までに、温暖化で竹の生育に適した環境が広がり、里山管理などに悪影響を与えるリスクがあるとの予測をまとめた。

温暖化対策を取らずに今世紀末までに平均気温が産業革命前より4度上昇した場合、東日本では竹が育ちやすい地域の割合が最大で83%に達するという。

 北限は北海道の稚内市まで拡大する恐れがある。


 現在の日本の竹林の総面積は15万9千ヘクタール。

主にモソウチク、マダケで構成され、管理が行き届かない竹林の拡大が各地で問題となっている。

 管理放棄された竹林の周縁は1年に最大3~4メートルの速さで広がり、日陰をつくって背の低い樹木を枯らしながら周囲の植生をのみ込んでいくという。

西日本を中心に生物多様性への悪影響が指摘される。
 
 研究グループは2012年、東日本のアメダス145カ所の半径5キロで竹林の有無を調べ、竹の生育に適した環境を調査。

さらに気象研究所の大気気候モデルなどを用い、現在から今世紀末にかけて竹が育ちやすいエリアがどのように拡大するか予測した。

 東日本の面積に占める竹の生育に適した地域の割合は、1980~2000年は35%と予測したが、今後、特に温暖化対策が取られず平均気温が、温暖化の起点とされる産業革命前より4度上昇した場合は77~83%まで広がるとした。

モウソウチクの生育に適した地域の北限は現在は北海道の函館周辺だが、温暖化が進めば道北端の稚内に達するという。

 竹林が拡大すれば、コナラやミズナラなど他の樹木が圧迫され、里山の景観や植物の多様性が損なわれる恐れがある。

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日経新聞 社会「介護の派遣時給上昇」=施設の経営圧迫=

2017年10月22日 04時45分44秒 | 社会
日経新聞 2017年10月18日(水) P.20 マーケット商品面
『介護の派遣時給上昇』=施設の経営圧迫=

『備品などコスト抑制 限界も』

 介護関連の派遣社員の時給が上昇し、特別養護老人ホームなど介護施設の経営を圧迫している。

人手不足で施設運営には非正規職員が不可欠で、人件費の上昇は避けられない。

施設は備品費用といったコスト削減を進めるものの、事業収入を支える介護報酬は2015年度に引き下げられコスト抑制の余地は乏しい。

 「紙おむつやペーパータオルをどれにするかいつも見直している」ーー。

特別養護老人ホーム「第三南陽園」(東京・杉並)の榊美智子園長は日々の経費削減の取り組みを打ち明ける。

上昇気味の人件費を捻出(ねんしゅつ)するためだ。
 
 夜勤と日勤が繰り返され負担が重い介護職場は離職が多く、人手不足が慢性化する。

介護労働安定センター(東京・荒川)がまとめた16年度の「介護労働実態調査」によると介護関連施設で働く人の4割が派遣職員や契約職員。

第三南陽園も約100人のスタッフのうち40人が非正規職員だ。

 経験者が辞める一方、低賃金の未経験者で人手を補うため、介護関連の平均時給は下落していた。

ただここにきて、人材の取り合いから時給は上昇傾向にある。

 人材サービス大手エン・ジャパンによると、三大都市圏(関東、東海、関西)の介護職種の平均時給は9月は前年同月に比べ5%高い1242円。

4カ月連続で前年を上回った。

 介護施設への派遣実績が多いネオキャリア(東京・新宿)の9月の時給は首都圏で1450円程度。

前年同月より6%上がった。
派遣大手のスタッフサービスも9月は3%上昇している。

 辞める人が後を絶たず新しい人を探し続けるのが現状で「現場は常時10人足りない」(榊園長)。

「より時給が高い夜勤を希望する求職者が多い」(エン・ジャパン)といい、介護サービスの品質を確保するには賃金を上げてでも従業員を確保せざるを得ない。

 時給単価の上昇は運営費の負担増に直結する。

特別養護老人ホーム「おおるりの森」(宇都宮市)は「1人あたりの人件費は5年間で25%も上がった。 求人広告の掲載費も増え、利益が減ってしまう」(田中しのぶ施設長)。

経費節減へ、職員はこまめな節電のチェックに余念がない。

 収入の柱である介護報酬は社会保障費抑制の流れで15年度に平均2.27%切り下げられた。

収入が伸び悩むなかで人件費が一段と上がれば、サービスの縮小や廃業に踏み切る事業者が増える可能性がある。


●関連日経記事
:2017年10月14日グー・ブログ「息子たちに読んで欲しい日経記事」投稿記事参照
 日経新聞 社会『「1人で死を迎える時代」に備えを」=日本総合研究所 斉木乃理子シニアマネジャー=』(10月11日付)

◆父さんコメント:
 「100人の職員が必要な職場で、常時10人程度が不足している」との現場の悲痛な声。

これは「90人で100人分の仕事をこなしている」現場であることを意味している。
つまり、通常の1割増の労働負荷が常時現場の職員にかかっていることになる。

 人手不足の職場は「過剰労働」「過密日程」になりやすい。
加えて、疲労の蓄積は職業病である「腰痛」を悪化させかねない。

そんな介護現場は職場の環境改善を求めて離職者が多くなってしまう。

結果的に介護現場は、人手不足→過剰労働→離職者の増加→人手不足と悪循環に陥ることになる。

高齢化が進む社会の大きな問題である。

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