日経新聞 経営「銀行、革新を恐れるな」=スロベニア中銀総裁 ボシュティヤン・ヤズベツ氏=

2017年12月16日 03時38分01秒 | 経営
日経新聞 2017年12月8日(金) P.7 金融経済面
『銀行、革新を恐れるな』=スロベニア中銀総裁 ボシャティヤン・ヤズベツ氏=

『低金利に順応、収益改善を』

 欧州中央銀行(ECB)の理事会メンバーを兼ねるスロベニア中銀のボシュティヤン・ヤズベツ総裁は日本経済新聞に対し、欧州景気は「正しい方向に向かっている」が、マイナス金利の解消は時期尚早との考えを示した。

域内の銀行は新しい金融技術を取り入れて収益性を高まるべきだと提言した。

 --欧州では景気は上向いていますが、政治リスクが点在しています。

 「地政学リスクがどう景気に影響するのか分析するのは難しい。
欧州安定のために、ほかに地道に取り組むべきことがある。

例えば銀行の不良債権処理。

焦げ付いた融資が域内に残っており(政治リスクを考えるより)この問題を解決する方が優先順位が高い」

 「各国が担ってきた銀行監督を統合する『銀行同盟』を完遂することも必要だ。
検査・監督は一元化したが、預金保険制度の一元化はまだできていない」

『必要見極め判断』

 --マイナス金利で銀行の収益を圧迫する一方、銀行システムの健全化を目指すという政策は矛盾していませんか。

 「逆に問うが、仮にECBがマイナス金利を導入しなかったら、どうなっていたのか考えてほしい。

事態はもっと悪くなっていははずだ。
適正な政策だった」

 「銀行は低金利が長く続く状況に順応すべきだ。
低金利だけが収益を圧迫している要因だとは思わない。

ビジネスモデルを再構成し、効率化を進めたらどうか。
(フィンテックなど)新しい技術を取り込むのも一考だろう。

世界は変わった。
監督当局も技術革新による変化を恐れるべきではない」

 --マイナス金利は解消できないとみているのですか。

 「利上げすれば景気に水を差す。
不必要なショックを市場に与えることにもなるだろう。

必要ではないと判断した際に、金利水準を見直す」

『下振れなお懸念』
 --2%という物価目標は高すぎるのではないでしょうか。

 「ECBの政策目標は2%以下で、その近辺。
そう決まっている限り、目標値の是非については論じたくない」

 --次の一手を告げるのは2018年半ばとの観測があります。

 「それを言うのは時期尚早だ。
経済指標は景気が正しい方向に向かっていると示しており、それを金融政策で支える。

まだ下振れリスクもあり、次のステップを語るのは無責任だ」

 --ECBは量的金融緩和の規模を減らしているのに「テーパリング」という表現を避けています。 市場が驚くのを心配しているのですか。

 「金融市場は中銀の意図を理解できるようになってきていると思う。
一方、中銀も数年前よりは金融市場の反応が読めるようになっている。

言えるのはそれだけだ」

▼ボシュティヤン・ヤズベツ
 国際通貨基金(IMF)などを経て2013年から現職。

ECB理事会メンバーを兼ねる。
47歳。

(聞き手は欧州総局編集委員 赤川省吾)


●関連日経記事
:2017年12月12日グー・ブログ「息子たちに読んで欲しい日経記事」投稿記事参照
 日経新聞 経営「これまでの仕事は一体・・・」=もう「メガ」じゃない ②=』(12月6日付)

●関連日経記事:2017年12月10日グー・ブログ「同上」投稿記事参照
 日経新聞 インターネット「5億人の決済牛耳る」=「Mega Player」 アリババ (上)=』(12月5日付)

●関連日経記事:2017年12月16
日グー・ブログ「息子たちに読んで欲しい日経記事」投稿記事参照
 日経新聞 経済『「地銀に危機の芽」警鐘』=中銀・中曾副総裁発言の舞台裏=』(12月8日付)

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日経新聞 経営『もうからぬ「本業」』=もう「メガ」じゃない ④=

2017年12月15日 06時35分18秒 | 経営
日経新聞 2017年12月8日(金) P.2 総合1面
特集連載『迫真』

『もうからぬ「本業」』=もう「メガ」じゃない ④=

 「年利0.5%なんて太刀打ちできないよ」。

埼玉県内の信用金庫に勤める40代男性職員はため息をつく。
取引先の年商は約10億円。

メガバンクが本来対象としにくいはずの中小企業に低金利を仕掛けてきた。

「案件がある時だけ訪問しに来る。 月1回、地道に通っているが、取引先も金利になびいちゃう」

 メガが量拡大に走る理由は厳しい台所事業だ。
モノの販売に例えれば日銀が決める政策金利は売値などの基準価格。

これがマイナス域に突入し様々なきしみを生んだ。

メガで唯一カンパニー制を敷くみずほフィナンシャルグループの部門別決算が厳しさを物語る。

中核であるはずのリテール・事業法人カンパニーの業務純益が4~9月期、81億円の赤字に沈んだからだ。

 3メガ行員1人当たり平均の年収は今年3月末で777万円(臨時や嘱託除く)。

1人当たり業務純益は今期決算で1000万円を割り、年収と逆ざやとなる可能性も現実味を帯びる。

 「Uneven」。
日本語に訳すとデコボコという意味だ。

国際通貨基金(IMF)は10月の金融安定報告書の中で世界の巨大金融機関をこう表現し、収益力の弱さに警告を発した。

矛先は日本の3メガだ。

 2021年にも世界の巨大銀行に導入される新しい自己資本比率規制。
余裕をもってクリアできる資本をメガが確保できないのではないか、との懸念だ。

日本は「先進国で一番金利が低く、中小企業・個人に最も優しい国」。
メガ首脳がこう語る金看板も下ろす時期は近い。

 「自己資本規制が重く、持つ余裕がなくなった」。
三井住友フィナンシャルグループの幹部は本音を語る。

関西アーバン銀行の保有株をりそなホールディングスに手放したのは、聖域なき事業仕分けの一環だった。

 「中小には担当者を貼り付けず、ネット上で審査から融資実行まで完結できないか」。
三菱東京UFJ銀はこんな議論までした。

明治以降、100を超える銀行が合流してできた”しがらみ銀行”ゆえに中小取引からの撤退は困難。

それでも不採算事業を続ける余裕はなく、大なたを振るう可能性もある。

 旧都市銀行が次々再編してできたメガ。
図体は大きいが、寄り合い所帯特有の縦割りで意思決定は遅く、ぜい肉もたっぷりだ。

超低金利やネット経済化の大変革期。
「もうメガじゃない」。

こんな柔らかい発想で銀行をつくり替えていけば、まだまだチャンスはある。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・
 玉木淳記者、亀井勝司記者、奥田宏二記者、渡辺淳記者、大島有美子記者が担当しました。


●関連日経記事:2017年12月13日グー・ブログ「息子たちに読んで欲しい日経記事」投稿記事参照
 日経新聞 経営『「ヘンな銀行」作れるか』=もう「メガ」じゃない ③=』(12月7日付)

●関連日経記事
:2017年11月14日グー・ブログ「同上」投稿記事参照
 日経新聞 経営「株持ち合い解消 最終章」=「米会計基準改正」が促す企業統治改革=』(11月8日付)

●関連日経記事
:2017年11月14日グー・ブログ「同上」投稿記事参照
 日経新聞 インターネット「AI融資1秒、人手はゼロ」=「Mega Player」 アリババ (中)=』(11月8日付)

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日経新聞 経営『「ヘンな銀行」作れるか』=もう「メガ」じゃない ③=

2017年12月13日 04時34分05秒 | 経営
日経新聞 2017年12月7日(木) P.2 総合1面
特集連載『迫真』

『「ヘンな銀行」作れるか』=もう「メガ」じゃない ③=

 「みずほ自動銀行」「みずほ完全自動運転銀行」。

登録商標の検索サイトでみずほフィナンシャル・グループと入力すると、へんてこな名前が続々と出てくる。

登録日は今年6月1日。

 申請したのはIT専任役員の山田大介(57)が率いるデジタルイノベーション部。
融資や運用だけでなく経営判断までロボットが担う究極の自動化をひそかに研究している。

 「マイナス金利下での経営戦略だって自動化できる」。
研究を担う長谷川真智子(42)は話す。

長谷川は東大物理学科を卒業し今年2月にみずほにデータサイエンティストとして入社した「リケジョ」だ。

オフィスの壁一面を埋め尽くすのはホワイトボード。
さながらシリコンバレーのベンチャー企業だ。

「銀行の枠を超えてものを考えて」。
山田はハッパをかける。

 「これから銀行は行くものではなく、来るものになります」。
11月6日、都内の日銀本店近くのビル。

ジャパン・デジタル・デザイン(JDD)CEOの上原高志(45)は同社の開所式でこうぶち上げた。

スマホを操作すると、ATMを積んだ自動運転車が自宅に到着するという。
JDDは三菱UFJフィナンシャル・グループからスピンオフした企業だ。

今年4月施行の改正銀行法で可能になったフィンテック推進の器だ。

 かってなら銀行の合理化は店を統廃合しておしまいだった。
ただ三菱UFJ社長の平野信行(66)は「デジタル技術の進展で補いうる」という。

合理化とデジタルで可能になるサービスの利便性向上を「セットで打ち出せ」と社内に指示した。

 「三菱東京UFJ銀行東京テレビ窓口センター」。
東京・新宿の高層ビルの一角にはこんな看板がかかっている。

支店ATMコーナーなどに設置されたテレビ窓口の「向こう側」だ。

店頭は平日午後3時で閉まるが、テレビ窓口は土曜祝日も含め午後6時までオペレーターが出て手続き可能だ。

2023年度までに全516店のうち70~100店を置き換えるという「機械化店舗(仮称)」のけん引役だ。

 IT(情報技術)で新たな金融サービスが続々登場。

決済を席巻する米アップルや中国アリババなどとの戦いは激しく、メガバンクも成長分野へ経営資源を移す合理化が必須だ。

それもやり過ぎるとサービスの改悪と受け止められかねない。

ほぼすべての業務をロボットなどで自動化した「ヘンな銀行」への脱皮はリスクも伴う。


●関連日経記事:2017年12月12日グー・ブログ「息子たちに読んで欲しい日経記事」投稿記事参照
 日経新聞 経営「これまでの仕事は一体・・・」=もう「メガ」じゃない ②=』(12月6日付)

●関連日経記事:2017年12月12日グー・ブログ「息子たちに読んで欲しい日経記事」投稿記事参照
 日経新聞 インターネット「AI融資1秒、人手はゼロ」=「Mega Player」 アリババ (中)=』(12月6日付)

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日経新聞 経営「メガバンク、従業員の自然減とは?」=マイナス金利下の銀行経営改革=

2017年12月12日 11時28分00秒 | 経営
日経新聞 2017年12月6日(水) P.21 マーケット総合2面
連載コラム『大機小期』

『従業員の自然減?』

3メガバンクがついに大規模な構造改革に着手した。

長引く低金利政策が金利収入を奪い、フィンテックの攻勢が手数料収入にも影響を及ぼし始めている。

 当初はデジタル技術活用による効率化などで、三菱UFJフィナンシャル・グループは9500人分、みずほフィナンシャルグループは1万9000人分の「業務量」削減を掲げた。

その後、三菱UFJは、うち6000人を、みずほは1万9000人すべてを人員削減対象とすると方針変更した。

業務量が減っても人が減らねば経費削減にならないから当然だ。

 疑問に思うのは、削減期間の長さと、その方法だ。
一般に、リストラ期間は短い方が良いとされる。

なぜなら、その間、社内に疑心暗鬼がはびこり士気が低下するからである。

 3メガの場合、最短の三井住友で4年、三菱UFJは7年、みずほの場合は10年だ。
それだけの長期間、本当に顧客に向き合う企業文化が維持できるのか。

 削減方法は新規採用の抑制と「自然減」だという。

 3メガの従業員構成は、合併を重ねてきたこともあり、ワイングラス型になっている。
新規採用の抑制は若手層をさらに薄くする。

それで金融イノベーションに対応できるか。
若手の方がデジタルに強いことは自明の理である。

 それに「自然減」とは何か。
銀行では一般に50歳ぐらいで退職が勧奨される。

それは受け皿があってのことで、通常は関連会社か取引先企業への転職が勧められる。
つまり、行員は「自然」には減らない。

3メガでは、バブル世代の同期生の数が約1000人いるという。
この集団を関連会社や取引先に転籍させることが「自然減」なのだ。

 大量転籍はすでに転籍した先輩の職を奪い、取引先への無理強(じ)いにつながる懸念がある。

「自然減」という言葉の響きとは異なり、抜本的な構造改革は簡単な作業ではない。

いずれ希望退職募集に追い込まれるとの観測がささやかれるのも、こうした実態を踏まえてのことだろう。

 改革後のビジョンはまだ明確ではない。

この改革の行方に加え、従業員に無理を強いることとなるリーダー自らの身の処し方にも各方面から強い関心が示されるであろう。

(万年青〈おもと〉)


●関連日経記事
:2017年12月10日グー・ブログ「息子たちに読んで欲しい日経記事」投稿記事参照
 日経新聞 経営「1.9万人では足りない」=もう「メガ」じゃない ①=』(12月5日付)

●関連日経記事:2017年12月12日グー・ブログ「同上」投稿記事参照
 日経新聞 経営「これまでの仕事は一体・・・」=もう「メガ」じゃない ②=』(12月6日付)

●関連日経記事
:2017年12月12日グー・グロブ「同上」投稿記事参照
 日経新聞 インターネット「AI融資1秒、人手はゼロ」=「Mega Player」 アリババ (中)=">日経新聞 インターネット「AI融資1秒、人手はゼロ」=「Mega Player」 アリババ (中)=』

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日経新聞 経営「これまでの仕事は一体・・・」=もう「メガ」じゃない ②=

2017年12月12日 05時29分19秒 | 経営
日経新聞 2017年12月6日(水) P.2 総合1面
特集連載『迫真』

『もう「メガ」じゃない ②』=これまでの仕事は一体・・・=

 関東の地銀に勤めていた加藤久美子(仮名、31)は入行8年目の昨年、退職した。

地元出身で周囲もうらやむ就職先。
総合職として自由な発想で仕事ができる。

こう考えたが現実は違った。

住宅ローンを担当したが「目標への執着度合いが高すぎて顧客対応がおかしくなっていった」。

加藤は少し寂しそうだ。
「裁量が少なく縦社会。 銀行はもういいかなって思った」

 銀行は新卒採用数、人気ランキングとも常に上位の常連だ。

2018年4月に1000人以上の大卒者を採用するのは5社のみで、うち2社はみずほフィナンシャルグループと三菱東京UFJ銀行。

国公立や有力私大卒業者の上澄みを、巨鯨のごとくのみ込んでいく。

 そんな有能な人材を店舗に張り付かせ、膨大な事務作業に駆り立てる。
わざわざ人が手作業でこなす必要があるのか。

これだけ労働力が逼迫するなかで、こんな疑問を持つ行員は増える一方だ。
メガバンク首脳も「人材の価値を最大限、引き出さないとダメだ」と自戒する。

 「駅前の一等地に午後3時に閉まる店があるのは日本の都市計画上、とても困ります」。

三菱UFJ銀幹部は、大手不動産デベロッパー幹部から言われた言葉が胸に焼き付いている。

目抜き通りの四つ角にメガバンクや地銀が店舗を構えるのはありふれた光景だ。

 三菱UFJ銀の実店舗の来客数は10年で4割減少し、逆にインターネットバンキング利用者は5年で4割も増えた。

重装備の店舗は今やお荷物。

みずほ社長の佐藤康博(65)は「店舗が駅前の必要はなく、住宅地でもいい」と割り切る。

「従業員や店舗数は需要対比で過剰状態だ」。

日銀は金融システムリポートで、日本の金融機関の店舗数は欧米と比べて突出して多く、収益性低下の原因だとした。

 「このままでは仕事が機械に置き換えられる」。
三井住友銀行に勤める30代の中堅行員は焦っている。

自動化が進めば無駄な作業が減る一方で、「真の実力が問われる」。

 翌日訪ねる企業の信用情報や財務状況、プレスリリース、過去の新聞記事・・・。

最近始まったRPA(ロボティクス・プロセス・オートメーション)が手作業を漏れなく代替してくれる。

「自分たちがしてきた作業は何だったのか・・・」。
三井住友銀はRPA活用で人数に換算で1500人分の業務を減らせるとみる。

テクノロジーが無駄の棚卸を迫る。



●関連日経記事:2017年12月10日グー・ブログ「息子たちに読んで欲しい日経記事」投稿記事参照
 日経新聞 経営「1.9万人では足りない」=もう「メガ」じゃない ①=』(12月5日付)

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日経新聞 経営「1.9万人では足りない」=もう「メガ」じゃない ①=

2017年12月10日 03時24分46秒 | 経営
日経新聞 2017年12月5日(火) P.2 総合1面
特集連載『迫真』

『もう「メガ」じゃない ①』=1.9万人では足りない=

 「リストラ?」。

業界最大手、三菱UFJフィナンシャル・グループ社長の平野信行(66)と9月に面談した大手上場企業首脳は、3メガバンクで最も財務に余裕があるはずの「王者」の意外な一言に胸騒ぎがした。

 「9500人相当の労働量の削減を実現したい。 銀行だけとると、国内スタッフの30%になる」。

面談から程ない9月19日、東京駅前の丸ビル。
平野は講演会の最後に、決して小さくない数字をさらりと持ち出した。

オープンな場で数値目標ともいえる計画を打ち出したのは初めて。
「このことが頭にあったのか」。

企業首脳は合点(がてん)がいった。

    ◆    ◆

 突然のリストラ旋風の震源は日銀のマイナス金利発動だ。
グループ中核の銀行部門の本業のもうけ(実質業務純益)が急減。

民間企業が軒並み最高益というこの時期に、三菱UFJは前年同期比マイナス13%だ。

みずほフィナンシャル・グループは同41%、特殊要因とはいえ、営業に強い三井住友も同40%という構造不況を体現するかのような減益幅となった。

 折しも金融とITを融合したフィンテック風が強まって金融ビジネスの地平が広がる一方、融資から決済まで取りそろえる商業銀行の収益モデルは将来性が危ぶまれる。

「リストラ祭り」(大手銀関係者)の号砲を鳴らしたのが、最も安泰とされる三菱UFJだったことが険しい環境の象徴だ。

 「配置転換ではなく、実数でこの数を減らしていきたい」。
11月13日、東京・日本橋の日銀本店。

中間決算の記者会見に臨んだみずほ社長の佐藤康博(65)は「2026年度末までに1.9万人を減らす」と表明。

表情からは、ライバル三菱UFJに負けたくないとの思いがうかがえた。

 この発言の含意は3つだ。
まず三菱UFJが示した「23年度」よりも期間が長い点。

2つ目はあえて三菱UFJの2倍の目標を打ち出したこと。
そして人数が曖昧な業務量を採用せず実数にこだわった点だ。

3メガで常に株価が最も低いみずほは、厳しい株主の視線を意識し一歩も二歩も先を走らざるを得ない台所事情がある。

 もっとも今回の構造改革案に株価は大きく反応せずじまい。
株主には「物足りない」と映った可能性もある。

みずほの株価は発表の翌14日終値が14営業日ぶりに200円を割り、今もさえない。

 ライバル行の目にも状況はシリアスに映る。
「厳しい決算に驚いた」。

みずほの中間決算を見たライバル行の首脳は一時的に計上された利益額の大きさに目を見張った。

 純利益3166億円のうち3分の2は一回限りの益出しに依存したもので、多くは持ち合い株の売却益などだ。

他行も似たり寄ったりだが、利益に占めるかさ上げ分の割合は三菱UFJの3分の1、三井住友フィナンシャルグループの5分の1と比べ突出して高い。

 期限が来れば融資は低い金利に置き換わり、マイナス金利の国債を買うケースも出てくる。

(人件費などの=)固定費を削らなければ、経営に黄信号がともりかねないところまで来ている。

 監督する側の金融庁は大手行の危機意識がまだホンモノでないとみる。
「単なる自然減だろ?」。

金融庁幹部はみずほの説明を受けた後、説明しに来た幹部に「1.9万人では足りないんじゃない?」と嫌味を言った。

記者会見で希望退職の選択肢はあるのかとの質問に「ない」と明言した社長の佐藤。
三菱UFJも希望退職は念頭になく、4000人分の業務量を減らす三井住友も同様だ。

 バブル期に大量採用した世代の退職を待つ一方で新卒の大量採用を抑えれば達成は難しくない。

そうでなくあらゆるサービスを用意するフルバンキングの看板を下ろしてスリム化に踏み込まないと、字句通りのリストラクチャリング(事業の再構築)には値しない。

金融庁幹部の本音だ。

    ◆    ◆

 「健全なる危機感」。
みずほ銀行頭取の藤原弘治(56)は10月開いた部店長会議でこう表現した。

不良債権処理で生死の際をさまよっていた1990年代後半~2000年代前半。
崖っぷちの時代と異なり今は自己資本も潤沢で突然死の危険は小さい。

「健全」のよりどころではあるが、まだまだぬるま湯といえなくもない。


    ◆

 超低金利にフィンテックや人工知能(AI)の発達。
環境激変で、安定した職業の象徴だったメガバンクですら生き残りへ尻に火が付いた。


●関連日経記事:2017年12月5日グー・ブログ「息子たちに読んで欲しい日経記事」投稿記事参照
 日経新聞 経営「新入社員はロボ」=「生産性考」 危機を好機に ③=』(11月29日付)

●関連日経記事:2017年11月14日グー・ブログ「同上」投稿記事参照
 日経新聞 経営「株持ち合い解消 最終章」=「米会計基準改正」が促す企業統治改革=』(11月8日付)

●関連日経記事:2017年11月30日グー・ブログ「同上」投稿記事参照
 日経新聞 インターネット「中国スマホ決済660兆円」=信用力で特典、消費者呼ぶ=』(11月28日付)

●関連日経記事:2017年12月5日グー・ブログ「同上」投稿記事参照
 日経新聞 海外メディア「AI 中国決断と米の油断」=ワシントン・コメンテーター エドワード・ルース氏=』(11月30日付)

●関連日経記事
:2017年12月10日グー・ブログ「同上」投稿記事参照
 日経新聞 インターネット「5億人の決済牛耳る」=「Mega Player」 アリババ (上)=』(12月5日付)

●関連日経記事:2017年12月11日グー・ブログ「同上」投稿記事参照
 日経新聞 開発「信金でもIT活用」=伝票記入など顧客の手間減らす=』(12月5日付)

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日経新聞 経営「何の要因が生産地を決めるのか」=本社コメンテーター 梶原誠氏=

2017年12月08日 04時53分32秒 | 経営
日経新聞 2017年12月1日(金) P.7 オピニオン面
『Deep Insight』

『何が生産地を決めるのか』=本社コメンテーター 梶原 誠=

 カンボジアの首都プノンペンで、見過ごせない変化を感じた。

企業による「オフショアリング」だ。

プノンペンには先進国はもちろん、賃金の高騰が続く中国などに代わる生産地として、世界の企業が押し寄せた。

    ◆    ◆

 異変が起きたのは昨年だ。

市内の民営工業団地で、ミネベアミツミやコカ・コーラなど90社近い入居企業数を誇る「プノンペン経済特区」の土地買収にブレーキがかかった。

特に典型的なオフショアである輸出加工型の大型入居はぱたりと止まった。
土地売却などを手がける運営会社の収入は昨年、前年比43%も落ち込んだ。

 賃金の高騰が一因だ。
プノンペンでは工員の賃金が昨年までの3年間で70%以上も上昇した。

この会社は誘致の対象を、国民の購買力の上昇を見込んだ内需狙いの企業にシフトした。

一方、輸出加工型企業はタイに隣接しながらタイより賃金が安い、ポトペトの団地に誘致する戦略に変えた。

 ゼネラル・エレクトリック(GE)の最高経営責任者だったジェフリー・イメルト氏は今年、オフショアの発想を「昨日のゲーム」と述べて話題をさらった。

理由は新興国の賃金上昇だけではない。

あらゆるモノがネットにつながるIoTやロボットが普及すれば生産コストは下がり、先進国でも生産可能になる。

 オフショア後の姿を巡る議論も盛んだ。

母国に帰る「リショアリング」や、消費者に近い場所で生産し、輸出せずに保護主義もかわせる「地産地消」が主流になるという声が世界で渦巻く。

    ◆    ◆

 本当にそうか。

 「オフショアの死」に接し、真っ先に気になった工場がある。

韓国・サムスン電子がベトナムの首都ハノイ近郊で運営するスマートフォン(スマホ)工場だ。

雇用は11万人に及ぶ。
輸出額は年400億ドルに迫り、同国の輸出全体の20%を超えた。

巨大なオフショア工場、そして工場に依存するベトナム経済はどうなるのかーー。

 「リショアも地産地消もあり得ない。 スマホは大量生産品なので1カ所で生産した方が効率的だし、輸送費も安いので輸出に向いている」。

A・T・カーニーのパートナーで、サムスン電子の動向に詳しいオットー・シュルツ氏は継続を断言する。

 賃金上昇は響かないのか。

ベトナムの業界筋によれば、同社の製品価格に占める人件費の割合はわずか数%とされ、上昇しても打撃は少ない。

すでに自前のロボットを生産に使っているが、価格が下がればもっと投入できる。

 熱心な誘致を受けたミャンマーを含め、数ある国からベトナムを選んだ理由は膨大だ。
道路、電力、水、労働人口、労使関係・・・・・・。

70億ドル近くを投じた工場でもあり安易に放棄できないだろう。

 オフショアは、岐路にあっても簡単には終わらない。
選択肢が増える分、読みや決断はこれまでより試される。

 検体検査に続く、血球の計測では世界トップを誇るシスメックスの戦略からは、柔軟な発想が見て取れる。

兵庫県加古川市にある工場では検査機器を作っている。
オフショア以前の「母国産」、つまり日本製が看板だ。

国内で部品を調達し、訓練を受けた地元の主婦が組み立てる。

「超円高」の際、株式投資家に文句を言われながらも上質な部品の調達を重視してオフショアを避け続けた。

 一方、検査に使う試薬は日本製へのこだわりを捨てた。
9工場のうち7カ所を世界に分散する地産地消だ。

試薬は検査現場に毎日届ける。
日本から輸出すれば使用期限も近くなり値下げを迫られる。

   ◆    ◆

 生産地を決める「虎の巻」はあるのだろうか。

ボストン・コンサルティング・グループによれば、価格に占める人件費の割合と輸送費の割合の組み合わせが、オフショアと地産地消を分ける。

 衣料品など(鮮度が問題にならず=)輸送費が安く労働集約的な産業は、低賃金の国で作って輸出するオフショアが有利だ。

逆に家具など輸送費が高い製品で、人件費の占める割合が低ければ、賃金が高い先進国でも地産地消が可能になる。

中間の自動車や機械は為替などが生産地を左右する。

 もっとも、現実は2つの変数で決まるほど単純ではない。

巨大な消費市場が生産地の近くになければ、また部品が近くから調達できなければ地産地消は無理だ。

 何より大きな変数は、イノベーションに違いない。

ロボットの遠隔操作が労働者と労働力を分ける「テレロボティクス」の活用は、そこまで来ている。

ロボットを使った先進国の大消費地での生産は、地産地消に見えるかもしれない。

しかし、そのロボットを操作する労働者が低賃金の新興国にいれば、部分的にはオフショアへの逆戻りだ。

 「技術はグローバル化の推進役であり続けるか?」。

スペイン・IESEビジネススクールのパンカジ・ゲマワット教授は今年、米中など6カ国の企業幹部約6000人にこう聞いている。

回答は98%が「イエス」だった。

 焦点は、技術がどんなグロ-バル化を生むのかにある。
そこが経営者の読みどころであり、企業の成長力を決める。

経営環境というルールが変わればプレーヤーも変わらないと生き残れない。
何をどこまで作るのかの「仕様書」を自ら書き、リスクを取る時代だ。


◆父さんコメント:

 イメルト氏の「昨日のゲーム」との指摘、そしてIoTやロボットが普及すれば先進国の工場でも生産可能となる、との指摘は重要だ。

読みを逆にすると「IoTやロボット化で先進国に生産工場を構えることができない業種は今後存続できなくなる」とも理解できる。

 中東やアフガニスタンでアルカイダやイスラム国(IS)をドローン攻撃する米軍は、ネバダ州にある米軍基地からドローンを操縦している。

 今後IoTやロボット化が進展すれば、工場の操業でも同じことが可能となる。

東京や大阪のマザー工場にいながら、タイやインドネシアのオフショア工場にあるロボットラインを操縦できれば、人件費は大きな経営問題とはならなくなる。

●関連日経記事:2015年7月6日グー・ブログ「息子たちに読んで欲しい日経記事」投稿記事参照
 日経新聞 開発「米ドローン、軍も民も」=農業や犯罪捜査へ用途拡大=』(2015年7月5日付)

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日経新聞 経営「裏切られた」=神鋼 地に落ちた信頼 ④=

2017年12月08日 03時22分43秒 | 経営
日経新聞 2017年12月1日(金) P.2 総合1面
特集連載『迫真』

『裏切られた』=神鋼 地に落ちた信頼 ④=

 「信頼していたのに裏切られた」。

9月21日、神戸製鋼所はトヨタ自動車にアルミ板などの品質データを改ざんしていたと報告。

第一報を聞いたトヨタ自動車の幹部はあぜんとした。

 新規採用する部材はトヨタもその品質を点検する。
しかし、神鋼との取引は長い。

「トヨタが厳しい時に支えてくれた」(幹部)こともあり、全幅の信頼を寄せていた。
まさかの品質偽装に動揺が広がった。

 トヨタの取引先は国内で3万社に上る。
部品メーカーが納める製品まで含めると膨大だ。

「この部品は大丈夫か」。
調達などの担当者は気が遠くなるような安全確認の作業に追われた。

 「うちのクルマは大丈夫か」。
神鋼の品質偽装は鉄粉や銅管、鋼線に拡大。

トヨタの販売店に問い合わせが目立ってきた。
安全確認が進むなかで悩んだのは「どこで安全と伝えるべきか」。

販売の落ち込みは避けたいが、安易に安全宣言できない。

他の自動車メーカーと腹を探り合う中でトヨタは10月19日、アルミ板に限った”異例”の安全宣言を業界で真っ先に発表した。

 突然の「神鋼ショック」に、製品を仕入れる企業は揺れた。
発覚から2カ月近くたつ今も、余波を受け続ける企業もある。

 「不正が後から後から出てくる」。
三菱重工業の最高技術責任者(CTO)、名山理介(62)は苦り切った表情を浮かべる。

社運のかかるジェット旅客機「MRJ」、収益の屋台骨を支える発電所のガスタービン、国の威信をかけて飛ぶロケット。

安全確認で大混乱を強いられた。

 三菱重工の製品で偽装素材を採用している疑いが次々に判明したが、旅客機などを解体して調べるのは困難だ。

神鋼のアルミ・銅担当の副社長、金子明(63)は「飛行機は長期戦。 不正を断ちしっかしした製品を納められると顧客が認めてくれるには時間がかかる」と覚悟する。

 日立製作所と共同出資する三菱日立パワーシステムズ(MHPS)。
顧客の発電所内に張り巡らせる配管にまで神鋼のアルミが使われている。

底の見えない事態に「現場は怒りが収まらない」(三菱重工関係者)。

 「安全性能は人命に直結する」。
自動車メーカーの幹部はぼやく。

折しも日産自動車やSUBARUで完成車の不正検査が発覚し消費者の不信感は高まった。
自動車メーカーや三菱重工は神鋼より最終ユーザーに近い。

取引先の信頼を裏切った代償を、神鋼は背負いきれるのか。


●関連日経記事:2017年10月26日グー・ブログ「息子たちに読んで欲しい日経記事」投稿記事参照
 日経新聞 経営「ガバナンス改革の効果は」=神鋼・日産・東芝不祥事の反省=』(10月25日付)

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日経新聞 経営「業界再編で過当競争・低採算を抑制、値上げへ」=石油株に上値のヒント=

2017年12月07日 02時06分37秒 | 経営
日経新聞 2017年11月30日(木) P.22 マーケット総合1面
連載コラム『スクランブル』

『再編・値上げ、業界全体で』=石油株に上値のヒント=

 29日の日経平均株価は3日ぶりに反発した。

高値圏にある相場を支える銘柄で目立つのが石油株だ。
この3カ月間の上昇率は3割近くと業種別でトップに立つ。

背景にあるのが石油製品の販売マージン(利幅)の改善だ。
業界再編などで販売価格が上向いている。

過当競争や低採算に苦しむ他の業界にも同様の動きが広がれば、相場全体を押し上げる材料にもなりそうだ。



 「業界再編による業績改善の余地が小さくないことを示した」。

三菱UFJモルガン・スタンレー証券の芳賀沼千里チーフストラテジストは石油業界を評価する。

株価の推移を見ると、市場の高評価がよく分かる。
8月末を基準にした業種別日経平均「石油」の上昇率は27%と36業種中で首位。

「パルプ・紙」(4%)や「食品」(8%)などを大きく上回る。

    ◆    ◆

 上昇の一因は原油価格の上昇だ。

各社が指標とするドバイ原油価格は今月、1バレル60ドル台を約2年4カ月ぶりに回復した。

原油高は原油在庫の評価益や権益を持つ油田の採算改善につながる。
ただ、市場関係者の注目度がより高いのはガソリンなど石油製品のマージン改善だ。

 かっては20社ほどあった石油元売りは合従連衡(がっしょうれんこう)が進んだ。
今年4月のJXTGホールディングスの誕生で、上位4社の販売シェアは約9割に達する。

企業数の減少などを背景に採算重視の販売姿勢が強まった結果、各社の稼ぐ力は改善している。

 その成果は売上高利益率に表れている。

最大手のJXTGで、原油価格による影響が大きい在庫評価損益を除くベースでみてみよう。

今期の売上高営業利益率(国際会計基準)は4.1%と、旧JXホールディングス時代を含めても過去最高の見通し。

原油価格がピーク時の約半分なのを勘案すると、大幅なマージンの改善がうかがえる。

 内需企業を中心に、かっての石油業界と同じ課題を抱える業界は多い。

 例えばパルプ・紙業界。

供給過剰が慢性化し古紙など原料価格が上昇しても思うように値上げができず、業績は総じて振るわない。

長らく業界再編は必至といわれながら、2000年に王子製紙(現王子ホールディングス)による北越製紙(現北越紀州製紙)への敵対的TOB(株式公開買い付け)が不成立に終わるなど、再編が進んでいない。

 アバディーン投信投資顧問の久保田慶太インベストメント・マネジャーは「食品や小売りといった業界は、再編や商品数の見直しなどで採算を改善する余地がある」と話す。

値上げの動きは一部にあるが、海外の同業と比べれば、価格はもっと引き上げられるとみるからだ。

    ◆    ◆

 もちろん、再編さえすれば値上げや業績の改善につながるという保証はない。

それでも「業界で値上げの動きが広がれば、その業種の株価の支援材料になり得る」(ピクテ投信投資顧問の松元浩常務執行役員)との声は多い。

歴史的な高値圏にある相場を一段と引き上げるヒントといえそうだ。

(荻野卓也記者)

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日経新聞 経営「永守日本電産会長兼社長: 勝負 午後5時まで」=「生産性考」 やり抜く覚悟あるか=

2017年12月06日 06時13分32秒 | 経営
日経新聞 2017年11月30日(木) P.8 特集面
特集連載『生産性考』=やり抜く覚悟あるか=

 生産年齢人口の減少や人工知能(AI)といった技術革新の広がり、経済のグローバル化の一段の進展など大きな変革期にさしかかっている日本。

成長と衰退の分岐点に立ち、「生産性革命」を実現できるかが将来を左右する。
日本の置かれた現状をどう捉え、どんな手を打つべきなのか。

生産性革命に取り組む経営者らの発言から解を探る。


『勝負 午後5時まで』=日本電産会長兼社長 永守重信氏=
 --なぜ今生産性改革が必要なのでしょうか。

 「競争のグローバル化が大きい。

日本企業同士で戦っているうちは感じなかったが、工場が海外へ移転し、言葉や時差など環境が変化するなかで、生産性向上がどうしても必要になってきた。

従業員の価値観も変わった。
経営者が変化に気づくのが遅かった。

今は生産性が低く残業が多い会社には学生は行かない」

 --転機は何ですか。

 「海外企業を相次ぎ買収するうち矛盾を感じた。
欧州の会社では基本的に残業はしない。

夏休みもたっぷりあるが、きちんと利益を出す。
会議や意思決定も速い。

『これは戦いに負ける』と思った」

 --海外のやり方をそのまま日本に適用できるのでしょうか。

 「日本企業は従業員が1つの会社で長く働き、忠誠心も高いという良さがある。
そのまま欧米流の働き方をまねできるわけではないが、今はまず学ぶ時だ。

日本風の生産性向上のやり方を模索していく必要がある」

 --拙速な働き方改革には反発もあります。

 「日本の企業は新しいものに対し否定から入る傾向がある。
成功体験が判断の遅れにつながる。

企業の変革は悪くなってからでは遅い。
経営者も自ら深く(現場に)関与する『ハンズオン』で臨むべきだ」

 --生産性改革はどう進めますか。

 「低生産性の原因の1つは管理者能力だ。
部下の残業などを管理者がコントロールできていない。

もう1つは英語。
営業先や電話応対などで通訳を介すと、人手が2倍必要だ。

この2つが要因の7割を占める。
管理者研修や英語は必須だ」


 --ロボットや人工知能(AI)への期待は。
 
 「今回のブームは過去と違う。

これまでは人の手の代わりをロボが務めていたが、AIで人間以上のものをやってもらうのが主眼。

手から頭脳の合理化に移った」

 --M&A(合併・買収)は生産性向上に役立ちますか。

 「買収は時間を買うことになるし、技術や顧客も得られる。

日本企業による海外企業の買収はうまくいかないケースも多いが、うまくやればふさわしいツールだ」

 --企業への公的救済はどうみますか。

 「いい面、悪い面がある。

弱いところを潰し、強くなるならよいが、死んだところがよみがえるなら、競争力を落とすだけ。

自由競争が企業と人を強くする」

 --働き方改革で競争はどう変わりますか。

 「生産性の高い人は生産性の高い会社に入り、高い賃金を得る。
従業員同士の競争が激しくなり、結果的に成果主義になる。

日本は残業という延長戦で戦ってきたが、これからの勝負は午後5時まで。
働き方改革は必ずしもみんなを幸せにしないかもしれないが、総合的に国を強くする」


▼ことば:「ハンズオン」
 ハンズオン(Hands-on 直訳は「手を置く(手を触れる)」)とは、体験学習を意味する教育用語。

参加体験、実用的体験、インタラクティブ体験、実習、実験、体感など、体を使うことによる学習補助教育手法を指す。

またトレーニングなどにおいては専門家から直接手取り足取り指導を受けることも意味する。

 本で学ぶだけでなく実際に行った方が学習効果が上がるという考えに基づく。

幼児教育から成人の職業教育、音楽やスポーツの体験教室、実用英会話教室まで幅広い範囲で使われる言葉である。

(「ウィキペディア」より抜粋)


●関連日経記事:2017年12月5日グー・ブログ「息子たちに読んで欲しい日経記事」投稿記事参照
 日経新聞 経営「新入社員はロボ」=「生産性考」 危機を好機に ③=』(11月29日付)

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