詩人PIKKIのひとこと日記&詩

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読書の秋

2009年10月08日 | 日記
(写真は香港映画「裏町の聖者」より)

落ち込んだ時にいつも読み返すのは、浅田次郎のキンピカシリーズ・・特に③「真夜中の喝采」。腹を抱えて大笑いした後、いつの間にか涙がじんわり・・この本からはいつも生きる勇気をもらっている。

巻末に、ホラーの女王にして、日本SFの金字塔「斎藤家の核弾頭」(原発跡地で人体実験材料にされる社会階層ランク下位の人々が原爆を作って国会議事堂へと発射)作者篠田節子の解説も、何度読んでもうんうんと頷いてしまう。
ぼくが一番好きな登場人物もやっぱり「裏街の聖者」章の尾形医師。でも、同じくらい笑えて泣ける傑作香港映画「裏町の聖者」の下町で診療所をやっている、自信家で女に滅茶苦茶手が早いが劉文=トニー・レオンとはまるで正反対のタイプ。(原作は日本のマンガ「Dr.くまひげ」で、監督は「不夜城」の李 志毅リー・チーガイ監督)

『浅田次郎といえば、「泣かせ」であり、「泣かせ」といえば浅田次郎である。
しかし案外知られていないのは、泣かせを極めたところに、爆発的な笑いが生まれるということだ。適当なところでやめておけば、読者は胸を熱くし涙してくれる。しかし泣きと感動の極限をつきつめて、自虐的笑いを引き出すのは、センスや才能に加えて体力がいる。・・

この章での彼「尾形」は極めて魅力的だ。不細工な容貌、凡庸な才能、不器用な生き方(この不器用とは、男が骨っぽさを顕示するためのいやらしい不器用さではない)、そして孤独と哀しみ。後半、患者を抱えて飛び込んできたマリア(血まみれのマリア婦長)に対する毅然とした対応と、鮮やかな治療の手際には目を見張る。
私はデブ専でもハゲ専でもない。しかしこの「きんぴか」の中で、いちばん好みの男は、と問われたら、私は迷うことなく彼「尾形」を上げる。・・

あくまでもひとまず終わったにすぎない。この作品の舞台はバブルの最盛期から崩壊前夜までだ。それなら、この底無しの平成不況下における、ピスケン、軍曹、ヒデさんの活躍をぜひ見てみたい。
特に後半、迷いと悩みばかり多くて、なかなか動いてくれなかったヒデさんの活躍を期待する。優秀な同窓生や天才ガキの力など借りず、孤高のエリートとして、たった一人で世界を変えてみろよ、とこの場を借りて挑発しておこう。』 (解説  篠田節子)

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