フラワーガーデン

ようやく再会したハルナとトオル。
2人の下す決断は?

乱れる呼吸

2005年12月17日 20時28分53秒 | 第10章 恋愛分岐編
「だ・・・・・・め。濡れちゃ・・・・・・う」
喘ぐ君の口から言葉が洩れる。

「う・・・ん。すごいよ、ハルナ・・・・・・」
僕は夢中になって君を求めていた。

「え?!違う」
君は突然、その体を起こし真っ赤な顔で僕を見つめた。
その時、初めて僕は自分の服が濡れていることに気が付いた。

「トオル君のエッチ・・・・・・」
君は口までお風呂に浸かると恨めしそうに僕を見つめた。

僕は君の温もりのまだ残る両手を握り締めながら、苦笑いが出た。
しょうがないなぁ。
今日はやっぱりここまでが限界か・・・。
残念だけど。


「ごめん。つい・・・・・・」
「え?!違う。謝ったりしないで」
「ハルナ?」
「私こそごめんなさい」

僕は風呂場を後にして、君の言ったごめんなさいの言葉の意味を考えた。


庭を抜け、廊下を横切り、道場で座禅を組み、ざわざわと胸の中に吹き荒れる、欲望を必死で押さえ込もうとした。
理性で律しきれない感情があるなんて、僕は、ハルナ、君に出会うまで知らなかった。


道場の中に隙間から風が吹き込んできた。
雑音はやがて静かな木々の梢を渡る風の音に変わり、鳥の羽ばたきの音に変わっていった。


静かな時間が流れる中、ふと僕の隣りに、シャボンの柔らかい匂いがし、君の存在を伝えた。

「どうすればいいの?」
「手はこう、君は正座で。・・・そう。
それから目は閉じきらないまま斜め下をじっと見つめて、10秒息を吸って、10秒で吐くんだ」

ハルナの息遣いが聞こえる。
それだけで、僕の呼吸が乱れる。

「修業が足りんな、トオル」
いつの間にか、背後に警策を持った老師が立っていて、僕の背中に喝を入れた。


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