乃琶の独り言

ピアノを勉強している管理人(現在術後療養中)が、日々で想うこと、練習やレッスン、聴いた曲の感想などを徒然に書いています。

20周年のブーニン。

2006年07月26日 17時41分50秒 | ピアノ・音楽

The Portrait~スタニスラフ・ブーニン

先頃、ブーニンのCDを初めて買いました。
ブーニンは今年、デビュー20周年を迎えるのだそうです。
ブーニンが、20周年!!?と聴くと
「もう?」と言う気持ちと「え?まだそんななの?」と言う気持ちが複雑に入り混じります。

1985年のショパンコンクールのドキュメントを観るにつけ、
凄まじい存在感で他を寄せ付けず、圧倒的な強さで優勝したブーニンに
ただただ、すごいなあと毎度舌を巻くばかりです。
しかし、華々しいデビューのあとは、
ソ連が崩壊したり、自身の亡命、病気など様々な困難がありました。

演奏についてもいろいろなことが言われ、
正直言いますと、私も彼の演奏はあまり好きではないのですが^^;
それでも、私と同じ年生まれの、このピアニストの
20年の軌跡を一枚のCDで辿ってみたいな、とふと、そんな衝動に駆られました。

バッハ、モーツァルト、ショパン、ベートーヴェンと、
今までのブーニンの録音から選りすぐった名曲の数々が収録されていますが、
特に私がいいと思ったのはバッハでした。
なかでも、7曲目の「フランス組曲第5番のアルマンド」を聴いたとき、
最初からぐいっと心をつかまれたように、ものすごく惹き付けられました。
温かで清らかで、そして明るくて、聴いているとどんどん心が晴れ、洗われ、
本当に心の底から救われるような気持ちになりました。
それまでも多くはないものの、この曲は何度か聴いたことはあったのに
こんなにいいなあと、心から思える演奏はありませんでした。
ブーニンの演奏を聴いて、「フランス組曲第5番アルマンド」が大好きになりました♪

そう言えば、以前、「題名のない音楽会」にブーニンが出演した際、
ドイツに亡命したとき、辛く苦しい日々を救ってくれたのはバッハだった、と言っていたのを
思い出しました。
そんなエピソードにも想いを馳せつつ、この’93年の録音を聴きますと、
いっそう感慨深いものがあります。

ショパンや他の演奏では(バッハもですが)、
独特のルバートやクセの強さにびっくりしたりもしますが、
これがブーニン、ブーニンなのだ、という一本筋が通った主張が
むしろとても心地良いですね。
すっかり、お気に入りの一枚になりました。

貴重な音の軌跡に出会えて嬉しく思います。


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