ピアノの音色 (愛野由美子のブログです)

クラシックピアノのレッスンと演奏活動を行っています。ちょっとした息抜きにどうぞお立ち寄り下さいませ。

楽しいの「楽」は、楽器の「楽」

2016年05月17日 | レッスンメモ
音楽というのは音を楽しむこと、とよく言われます。ところが言葉の成り立ちからいうと、元々中国で「楽」というのは道具としての楽器のことを意味する言葉だったそうです。昔から、楽器を演奏すると、人は楽しくなるものですから、楽器を表す「楽」という言葉に「楽しい」という意味が後から加わったのだそうです。これってなんだかすごくありませんか? そもそも世の中には「楽しい」と感じられることは他にもたくさんあるわけですが、漢字文化圏ではその楽しいことの代表選手に楽器を演奏することが挙げられているということじゃないですか! 他のどんな楽しみにも増して、楽器を奏で、歌を歌い、踊る。これこそが昔から一番「楽しい」ことだったというわけでしょう。だとすると「音楽」という言葉の意味は「楽器を演奏するのは楽しい!」という風にストレートに解釈してもいいんじゃないかな。音楽には鑑賞の楽しみというのももちろんありますけど、なんといってもやっぱり自分で楽器を演奏して音楽づくりに参加することの楽しみにまさるものはないと私は思っています。

というわけでピアノのレッスンの中でその楽しみをどのように教えていけばいいのか、それが問題です。

まだ小さいお子さんの場合、ピアノを習う始まりの頃は、教室に通うことやレッスンの時間そのものが楽しめるように工夫が必要です。直接その曲に関する指導以前に楽しいグッズを使ったり、あの手この手を使います。そこからごく自然に基本的なリズムや手のフォームなど、始めからきちんとしておかなければ後で苦労することになる基本のところを、少しづつ織り交ぜていきます。

だんだん経験を積んで曲も立派にになっていくと、本人自身が本当に楽曲そのものを楽しめるようでなければ、道のりが長い分、楽しむどころか、苦痛になるかもしれません。そんな時こそ私の方から楽しむコツを教えるときです。本当は、曲自体が素晴らしいんだから、自然にその曲を楽しめるハズなのですが、譜読みの途中で挫折しそうになったり、あるいは、譜読みは済んだけど、なんだかしっくり来なくて、面白くない時とか、ありますよね。

こんな時、例えば、小さなフレーズの中の一部分に注目してみましょう。ほら、音階の断片がメロディに使われている。そもそも音階って本当に美しい。これを優しく幸せそうに弾いてみたり、力強く元気そうに弾いてみたり、あるいは、下降している音形があれば、がっかりした気持ちで弾いてみたり。音程が広く離れて上がっているなら、山登りの頂点を目指すエネルギーを使ってみる。その頂点で喜びを感じるかそれとも虚しさを感じるかなど、色々想定を変えて試してみる。こういうことを生徒さんと話し合いながら曲を進めていくと、楽曲への新たな興味や発見が生まれてくるし、自分自身の可能性も広がってもっともっと楽しむことができるようになってきます。

楽器を演奏するのは楽しい! これこそが音楽の本質です。それを一人でも多くの生徒さんに伝えたいです。

花壇の花たちもますます元気。

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