音楽家ピアニスト瀬川玄「ひたすら音楽」

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「con anima」の正しい意味は「魂・心をもって」。間違いは→「活気をもって、いきいきと」

2015年07月16日 | 音楽(一般)

「con anima」という言葉(イタリア語)が
クラシック音楽における楽譜に指示されていることがあります。


この翻訳・解釈について、世間一般に誤解が広がっているようです・・・
インターネット上で「con anima」と検索して挙がってくる説明の間違いの多さに危機感を抱き!
ここに、その正しい意味を検証し、記してみたいと思います。


まず「anima」を単独でインターネットで調べてみると、色々と出てきますが、主に
「魂」とか「心」という意味なのが分かります。英語で言うと「soul」となるようです。


「con」は前置詞で「~をもって、~とともに」英語で言うと「with」となるようです。


「con anima」、英語だと「with soul」、
そのまま日本語にすると
「魂をもって」「心とともに」・・・のようになるはずです。



これだけでは意味が分かりにくいかもしれませんが、言うならば
「祈り」のような場面にこの言葉は合うのだそうです。
すると、そのニュアンスがなんとなく分かりましょうか。


注意すべき!は、
調べていても、「anima」という言葉に「活気」という意味は、あまり見受けられないこと・・・
副次的にそういう意味が無くはないかもしれませんが、
第一には「魂・心」と捉えてよいはずです。


これは、音楽用語として「con anima」よりも多く出てくる「animato」という言葉が
似ているがために起こる解釈・翻訳の誤解なのではないでしょうか。


「animato」は、「生き生きと、活気ある」という意味と捉えて間違いないようです。
あるいは「動いて」という意味もあるそうで、これはすっかり日本語となって定着している
「アニメ」の元々の英語「animation」を思い起こすと想像がつきやすいでしょうか。


「animato」と「anima」、語源は同じところから来ているのでしょうが、
実際に使われる際には、意味合いが
違ってくることに大いに注意しなければならないようです・・・


「con anima」を「活気を持って」「生き生きと」と解してしまうのは
大きな誤解となってしまうようです!

「魂・心をもって」、祈るような気持ちで演奏するのか
「活気をもって」、元気よく演奏するのか・・・
両者は全然違った表現となってきてしまうでしょう!!

「con anima」と指示されている祈るようなところ(例えば教会の中のような?)で
元気よく騒いでしまうとしたら・・・それ、
神性をおかす行為となってしまうのではないでしょうか!?

これは、クラシック音楽の現場・楽譜上にて記載されている箇所の音楽性に
大きく関わる重要な問題です・・・


実際に「con anima」という指示が成されている楽曲や、その部分をよく検証してみると・・・
「animato」とは違う、「心を込めた、祈りのような」表現として
音楽を目の当たりにすることが出来るのではないでしょうか!?


私自身つい数年前まで「con anima」を「活気をもって」と誤解して
ずっとクラシック音楽をやってきてしまいました・・・しかし、
この本来の意味「魂・心をもって」という表現を知り、
それが楽曲の表現とピタリと一致する感覚を幾度も得られ!
そして、これを誤解していた時間を悔しく思ったりしています・・・


だからこそ、ここに「con anima」についてひとつ書きまとめてみようと、
がんばってみました。
誤解が広がらず、正しい意味合いをつかんで、音楽の表現が世界に充実してゆくことを願います。
(日本でしか広がらない!?なぜならこの記事は日本語でしかないから・・・)


最後に、
記憶をたよりに「con anima」という指示が記されている作品を
挙げ連ねてみたいと思います。ピアノ曲ばかりですみませんが・・・


●ショパン《夜想曲 第7番 嬰ハ短調 作品27-1》の中間部後半あたり
●ショパン《夜想曲 第8番 変ニ長調 作品27-2》の再現部、煌びやかなカデンツの後の短調の部分
●ショパン《スケルツォ 第2番 作品31》の3ページ目あたりから。(この難曲に「祈り」だなんて!?)
●メンデルスゾーン《ロンド・カプリチオーゾ 作品14》第2テーマ

・・・ベートーヴェンが「con anima」と書いたことがあったかしら!?今は思い出せず、
他にも沢山の事例があるでしょうが、取急ぎこれにて失礼いたします。


P.S.
・・・もしかすると、
作曲者自身が「con anima」を「活気をもって」というような意味合いで
書き込んでしまうようなことがあるかもしれませんが・・・少なくとも、
数百年の歴史に風化することのない偉大な作曲家達の作品においては
このような間違った言葉の使用は無いものと信じたいです!

P.S.2
「con anima」の実例
●ショパン《マズルカ 第18番 ハ短調 作品30-1》中間部あたり

 

 

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1 コメント

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Unknown (みなと☆)
2021-07-22 19:27:29
私も楽語の知識がありますが、混同していました。
この記事のおかげで、コン・アニマの表現の仕方のイメージが掴めそうです。
バイオリンレッスンの課題で出てきて調べていました。
トーメ作曲、アンダンテ・レリジオーソ op71です。
タイスの瞑想曲のような曲です(^_^)

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