"魔法のカメラ"

知れば知るほどカメラは魔法のように面白く、すごい力を秘めています。

写真家 星野道夫の「旅をする木」

2017年04月05日 | 50mm
写真家「星野道夫」が亡くなって20年。

これまで私には「クマに襲われて亡くなった悲劇の動物写真家」というイメージしかありませんでした。

ところが、つい最近、彼が残した「旅をする木」というエッセイを読んで初めて、彼が、写真家という枠を超えて、素晴らしい詩人でもあったことを知りました。

今になって、それを知ったことを悔やむ思いと、たまたま立ち寄った書店が平積みしてくれていたことに感謝する思いと。

星野道夫は、人を強く突き動かすものはお金でも欲望でもなく、とてつもない想像力と好奇心であることを教えてくれます。
私もずっとそうだと思っていたことを確信させてくれました。

一つ一つのエピソードの全てが心に残るものばかりですが、中でも、彼がマッキンレー山のベースキャンプからルース氷河へスキーで下った時、雪原の中を山の方から氷河の彼方へと一筋に続くオオカミの足跡を発見した時のこと。

「なぜこんな氷河地帯にオオカミの足跡があるのかどうしてもわからなかった。あの4000メートル〜6000メートルもあるマッキンレーの稜線を越えて旅をしてきたのか。」

「ぼくは日々の町の暮らしの中で、ふとルース氷河のことを思い出すたび、あの一本のオオカミの足跡の記憶が蘇ってくるのです。あの岩と氷の無機質な世界を、一頭のオオカミが旅をしていた夜がたしかにあった。そのことをじっと考えていると、なぜかそこがとても神聖な場所に思えてならないのです。」

彼はその夜のオオカミに自分自身を静かに重ねてみたのです。

つまり私たちがここでこうしている時にも、どこかの国で、どこか遠い空の下で、人が、生き物が、花が、大地が、海が、それぞれの時間を営んでいる。

遠く耳を澄ませてその気配を感じること。
 
星野道夫の好奇心と行動力にはとても追いつけませんが、私を旅に誘う形のないものの正体は間違いなくそれに近いもの。


「旅をする木」は文春文庫に入っています。まだ読んでいない方、ぜひ旅をする時に持っていくことをお勧めします。
 
明るい空の下、桜咲く公園のベンチに坐って「旅する木」を読み終えた時、もっと彼のことを知りたいと強く思いました。

生きている彼に会いたかった。


 何年ぶりかでガーンと心を心地よくブローされたような気持ちでいます。
 
新たな気持ちでまた前に進む力をもらった感じ。
 
SONYα7ii F1.4 50mm
 
今日も魔法のカメラを読んでくださって感謝しています。
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