DNAとしての機能性は低いと考えられているマイクロサテライトDNA(ジャンクDNA)の長さの差によって、外交的な性格と内向的な性格の違いが説明されることが、動物での研究で示唆された。この知見は、自閉症などの疾患を含めてヒトの社会的行動を理解する上で有用なものになると考えられている。
この研究は、米エモリー大学ヤーキス霊長類研究センターおよび行動神経科学研究センター(CBN, アトランタ)の研究者らによるもので、科学誌「Science」6月10日に発表された。
草原ハタネズミ(prairie vole)を用いた研究では、ジャンクDNAの長短2つのグループを対象として、成熟後の雄の子孫を比較した結果、ジャンクDNAの長さは脳での遺伝子発現パターンに影響を及ぼしていることが判明した。
またジャンクDNAが長い雄ハタネズミは、社会的行動および子の世話に関わる脳領域におけるバソプレッシン受容体の発現頻度が高かった。従来の研究で、バソプレッシン受容体遺伝子は多くの種において社会的行動を抑制することが明らかにされている。
ジャンクDNAが長い雄は初対面のネズミに対して素早く近づき、時間をかけて社会的な気配を読み取って、相手との絆を築くことができる可能性が高い。また、ジャンクDNAが短い雄よりも子育てに費やす時間が長かった。
CBN研究者のLarry J. Young氏は「マイクロサテライトの長さ、脳内の遺伝子発現パターンと数種類の種にまたがる社会的行動との間における関係を明らかにした最初の研究である」ことを強調する。
また共同研究者であるElizabeth Hammock氏は、マイクロサテライトDNAの差が個々の性質に対して実際に影響を及ぼしていることを認めた上で、「例えば、このことから社交的な人とシャイな人がいる理由が理解される」と述べている。
(2005年6月9日/HealthDayNews)
05.08.15記