Wein, Weib und Gesang

ワイン、女 そして歌、此れを愛しまない輩は、一生涯馬鹿者であり続ける。マルティン・ルター(1483-1546)

核反応炉、操業停止

2005-05-27 | アウトドーア・環境
政治的に動きがあったので、5月に新たに一炉が操業停止に至った原子力発電に因んで、「エネルギー政策」が「資本主義再考」に続いて再び論議されるのではないだろうか。基本的に、社会民主党と緑の党の与党連合の特に後者は反原子力を党是としているので主張は一貫している。同様に野党キリスト教民主同盟も将来的な全廃を前提とした時間稼ぎの延長措置を主張する事によって、住民エゴを刺激しないような政策をとっている。

つまり2020年には、西ドイツにおける51年間の原子力の商業発電の歴史に終止を打つ。研究施設の炉を除く現在操業中の17個の反応炉は計画に則って停止されていく。決してこの反応炉数は世界的に見て多くはなく、全体の消費エネルギー量の28%に当たるのでこれも決して大きくはない。しかし石炭、亜炭が其々26%、22%、天然ガスが19.4%である事からすると、保護打ち切りで消滅していく炭鉱を読み込むと原子力依存度は高くなる。その時点で代替エネルギーが見つからない場合は、エネルギーを他所から購入することになる。

しかし今週、エネルギー関連の株式が買われ、ソーラー関連が売られたように、政権交代がなされた場合、エネルギー政策は、再び振り戻される観測が強い。既に、デュッセルドルフの議会では調停委員会を挟んで、社会民主党が進めてきた炭鉱保護政策が見直されると言う。経済性の合わない炭鉱への社会民主党の保護は、もともとパートナーである緑の党の反対もあって、そのご機嫌取りとして大判振る舞いされた環境保護関係の予算の突出を招いた。今度は、これら全てが半減すると言う。同様に連邦政府レベルでの政権交代時には、少なくとも原子力発電の全面停止の延期と代替エネルギー開発費の圧縮が読み込まれている。そうなると再び環境問題が政治論議の表舞台へ引きずり出される可能性を秘めており注目に値する。

該当のネッカー河畔のオブリックハイム発電所は、最も古く嘗て放射能漏れなどが指摘されたプラントで、技術的観点からも操業停止には理があったようだ。しかしネッカーヴェストハイムのアウトバーンから見えて御馴染みの発電所の二号炉やプァルツのフィリップスブルクの一号炉へと代替発電の一部は廻されるので、全廃するまでにはまだ長い道のりが横たわる。

一方、嘗て見学したダルムシュタットに近いビブリスの炉は2008年には操業停止となるなど一つ一つカタストロフへの芽は刈り取られる。それでも毎日見える冷却塔の水蒸気が消えない限りは、潜在的に不安な意識と言うのは変わらない。元々冷却塔などを見たことのない人間が、車を走らせながら、日々の生活をしながら、または原子力発電所を見学して感じる不安感というものは、自己体験に基づいたものなので、机上の安全指数神話やイデオロギーとしての嫌悪感とは一線を隔す。

低エネルギー消費と無駄を省くシンプルライフが求められて、それを望む人は多い。しかし簡単なようで実際に難しいのがこれである。ディーゼルエンジンによる乗用車の使用も、見た目のチリさえ取り除けばこの点からシンプルライフに属するのだろう。



参照:デジャブからカタストロフへ [ アウトドーア・環境 ] / 2005-02-19

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