Wein, Weib und Gesang

ワイン、女 そして歌、此れを愛しまない輩は、一生涯馬鹿者であり続ける。マルティン・ルター(1483-1546)

釣べ落としの秋の競争曲

2016-10-02 | 
アルプスから帰って来て、石切り場以外では、初めてボールダーに向かった。四週間近くご無沙汰したのは、左右の足の爪を痛めていたからでもある。痛くはないのだが親指の爪の内側が真っ黒になっているので、生え変わるまで時間が掛かる。そのような状態ではただでさえ小さいボールダー用の靴を履くのは憚られた。今年の秋は天候が良いとはいっても、徐々に陽射しも陰って来るので、思い切って夕方に登りに行ったのだ。

なによりも懸案の庇の下の足の使い方と、同時に体幹を重視した登り方を推し進める課題を選んだ。最初の通常の課題も足に大分立てるようになっていた。理由は重心の落とし方などが徐々に身について来たからだろう。アルゴイで長い距離をリュックサックを担いで同じようなスポーツクライミング感覚で登れたので、重心のスムーズな移動と同時に二年間痛めていた肩の不調の間に高めた技術が全開したからだろう。技術的にとても良い練習になったのだ。

三年前とは完全にグレードアップしただけでなく、安定したボールダーの基礎が身について来たかのようだ。そして靴も大分慣れてきているので足が大分使えている。その勢いで全く足が掛からなかった庇下に足を掛ける練習をした。これも膝の角度も調整しながら、進行方向さえ確りと定めれれば足の支えが効くように工夫した。これも体幹以外の何ものでもないのだが、結局手の力が尽きて、本日終了とした。

不思議なことに夕方には風が出てきたが、晴天で気温も摂氏25度近くまで上がったにも拘らず誰にも会わずだった。それどころか通常ならば尾根筋の道路を走り回る自転車やバイクや車もほとんど通らなかった。理由は全く分からない。どうも風が強く気温が21度ぐらいになると残暑気分の人は出かけないらしい。

自身の頭の中は車の燃料のことしかなかった。それほど減っていない筈なのに残り一リットルの表示が続いていたからである。そして財布を所持していない。だから何としても自宅まで帰り着くか、車の中の小銭2ユーロを途中で給油するかである。帰路のスタンドの位置などを頭に描き、それに集中する。それでも無事に帰宅して、ガレージの鍵を探すとないのである。車中を探して、不明になっていた靴ベラまで見つけるが、鍵はない。夕暮れは迫っている。懐中電灯も無い。

車のキーを取り出すまではあったので、そこから後のところだ。なんとなくポケットが軽くなった気配はあった。さてどうしたものか、先ずは急いでスタンドで給油するしかない。そして、新月の暗闇になるまでに鍵を落としたであろう経路を手探りでたどるしかないのだ。燃料は想定通り一リッター少しを給油する。急いで森へと戻る。

日没との競争である。スピード違反すれすれに駆け抜ける。駐車していた場所に近づく。探す順序を頭に描く。キーを取り出したところまで最悪戻らなければいけないが、森の道の無いところで、更に岩の溝などがあって枯葉が乗っていると、そのままの形で見つけない事には発見不可能だ。更に鍵がないので自宅には戻れないから、車のヘッドライト頼りである。時間に余裕はない。そして駐車スペースに近づく。手前に黒いものが枯葉の上に落ちている。その方向に光を向け乍らアプローチする。車を降りて近づく。紛れもなくケースがそこに横たわる。止めていたトランクから数メートルの距離で、歩いて進入する経路だったところだ。

幸運だった。車中で考えたように、交通が多ければ親切な人はそれを持ち上げて分かりやすい場所に移すか、警察に届けて居たかも知れない。何故かこの晩は今まで経験したことがないほどに交通が無かった。

助かった。鍵が無ければ、鍵師を探して電話して、自宅であることを証明して開けて貰い。更に手数料と新しい鍵が請求されていた。Tシャツの疲れた体で食事が出来ても夜の10時を過ぎていただろう。ボールダーの成果どころではなかったのだ。



参照:
皆目わからない感じ 2015-02-28 | 生活
雑食砂岩での怪我の功名 2016-09-10 | アウトドーア・環境
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