Wein, Weib und Gesang

ワイン、女 そして歌、此れを愛しまない輩は、一生涯馬鹿者であり続ける。マルティン・ルター(1483-1546)

インタヴュー、時間の無駄二

2016-07-24 | 歴史・時事
未明ニ時の記者会見まで緊張感は続いた。ヴュルツブルクで旅行中の香港人母子が殺害されて、そして週が変わって今度はミュンヘンである。特別対テロ隊がボンから出動することとなった。ドイツ連邦共和国の問題が明らかになって来る。決してイスラム国問題ではないだろう。そしてメディアの問題がエルドアンの独裁と同じようにその使われ方として大きく脚光を浴びるようになってきている。SNSは従来のマスメディア以上に重大な影響を与えるようになってきているいうことでもある。

そうしたメディアの使い方で様々な影響を社会に与えることが出来る訳だが、ネットを探しているうちにミュンヘンで交響楽団の監督をしているゲリギィーエフ指揮のペテルスブルクの座付管弦楽団がシリアのイスラム国から奪還した遺跡でオープンエアーコンサートをしているプーティン政権のプロパガンダ映像に行き当たった。芸術文化への冒涜以外の何ものでもない。この手のものとしてヒトラーの誕生日会のフルトヴェングラー指揮の第九演奏会映像以来の強烈なものだ。もはや我々はあの指揮者を、その全ての活動をボイコットを呼びかけるに充分な内容である。幸いにもこの指揮者にはザルツブルクで「ボリスゴドノフ」上演以外では接していなく、メディアも皆無である。それでも一度だけ接したことでその血糊のような嫌悪感さえを覚える。

さて、指揮者キリル・ペトレンコの「インタヴュー、時間の無駄一」の続きと行きたい。

承前先にあったように、このシーズンのコーミッシュオパーの交響楽コンサートの重点に「望郷」があるということでしたが、映画監督のアンドレイ・タルコフスキーが、ロシア人は移民には向かなくて、故郷を何時も引きづっているというのは事実ですか?それともそれは只のお膳立てでしかないのでしょうか。

いやそれは、ロシア人の外国での振る舞いは屡々奇異に見え、あまり容易ではないようです。世界のどこの国民よりも自国から抜け出て、より幸せにと、喜びに、光り輝く希望を抱いているのです。そして、その希望が外国で満たされないとなると、望郷となります。僕、個人的には、そのロシアに縛られているとは一度も感じたことが無いので、あまり分かりません。それでも友人の多くは、とても生活を難しくしています。そして、ロシアよりも良いだろうかと、思考して、そう自答することを良しとしているのです。イスラエルに移民した友達の多くは、不幸に感じて、目標を果たせていません。それでも戻るつもりはありません。何故ならばロシアでは酷く扱われかねない恐れを感じているからです。彼らは、自己の世界の中に執着していて、フラストレーションと対になっている自己の思索に、ノスタルジーに閉じこもっているのです。僕は、西欧に来て、それに関しては一度も問題を感じたことはありません。しかし父は大変苦労しました。ヴァイオリニストで、オムスクで三十年間も築いてきたその地位を何もかも投げ捨てたのでした。オーストリアに移民して最初の数年はとてもとても厳しかったのですが、徐々に好転してきたときに亡くなりました。

イスラエルの友人について語りましたが、自身はロシアで酷い経験をしたことはありますか?

ええ、それは自分自身は、恐らく友人達のようなことはありませんでしたがです。公にはアンチセミティズムは禁止されてましたが、それは存在していて、広義の余所者排斥としてです。ロシアは、多国的国です。私たちの住んでいたオムスクは、カザフスタンからも遠くなく、沢山のカザフスタン人がいました。一見ロシア人風でない、寧ろモンゴル系の顔立ちの人々です。彼らは付き合いの悪そうな人々だった、でもまたドイツ人もいた。ヴォルガから追い遣られた人々で、当時はとても酷い扱いをされていた。そして今やロシア人の嫌悪はカウカザスへと向けられています。僕の時代はそれは殆ど感じなくて、アンティセミティズムが重苦しかったのです。

それは学校でとか会話で出てきていたということですか?

音楽学校では殆どなかったですが、公共交通機関とかで罵られたりということで、学校ではなによりもからかいですね。大人になると、暴力となります。一人の友人は今イスラエルにいますが、一度血だらけになるまで暴行を受けました。ペレストロイカが進めば進むほど、アンティセミティズムが増えました。ソヴィエトの時は陰険に潜伏していたということです。グラスノストが訪れた時、自己意志を表現することが許され、アンティセミティズムは囲いを取られて明らかになってきました。(続く



参照:
増える射殺される人々 2016-07-21 | 雑感
日本の問題、世界の問題 2016-07-23 | 歴史・時事
コメント
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