ペトロとカタリナの旅を重ねて

あの日、あの時、あの場所で
カタリナと歩いた街、優しい人たちとの折々の出会い・・・
それは、想い出という名の心の糧 

カラヴァッジョ 「聖マタイと天使」

2017年01月05日 |  ∟イタリアの美術館

 ※ 続・ローマとナポリにバロックの奇才を訪ねる旅 (6)

 イタリア・バロックの奇才、カラヴァッジョ(1573-1610)とベルニーニ(1598-1680)を訪ねる旅。
 サン・ルイージ・デイ・フランチェージ教会のカラヴァッジョの 「聖マタイ三部作」から17年のスタート。

 本作に入る前に、聖マタイのことに少し触れておきたい。
 カトリックにおける四福音書のひとつ 「マタイ書」の書記官で、キリストの最初からの弟子、十二使徒のひとりである。

 彼自身がそのマタイ書9章で、“ マタイという人が収税所に座っているのを見て 「私に従ってきなさい」と言われた。すると彼は立ちあがってイエスに従った ” と、記している。

 そのマタイが天使にスコラ哲学を教授される場面を描いた 「聖マタイと天使」(1602年)、左側廊の五番目、コンタレッリ礼拝堂の中央を飾る。

 彼は<当初>、“ 額に皺、眉を寄せイエスの家系をヘブライ語で記述する老人にぴたりと寄り添った天使が、本の上の老人の手を取って導くという奇妙な構図で描いた ” (「カラヴァッジョ」西村書房)とされている。

 が、その作品は例によって<受け取を拒否>され、プロイセン王家のコレクションに加えられた後、ベルリンのカイザー・フリードリッヒ美術館に旧蔵されたが、1945年に消失したという。

 二度目の制作となる本作、“ 天使の衣装、聖人の額の皺や足の汚れ、膝を置く不安定な椅子などに、初版の拒否された理由とされる特徴をいくらか留めている ” ものの、聖人に光輪を与え、かつ独立した威厳ある態度と天使と距離を置いた構図で、珍しく依頼主の要求に応えている。

 それはカラヴァッジョが、本作において、敬虔なカトリック信者が聖書の言葉を通じてのみ、キリスト、即ち神の教えを知るのだ、ということを知らせることに成功した作例、になったということでもあるようだ。
 Peter & Catherine’s Travel. Tour No.1240

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